結婚指輪の手作りをする宝石店、ジュエリーコウキ
伝統工芸の鍛造でリングを作る珍しい結婚指輪です
ジュエリーコウキ2代目の私、池田が指輪を作っております
職人歴が29年この道一筋で鍛造にこだわって作っています
新潟県の長岡市にある小さな店舗兼工房で1つ1つ作ります
鍛造(たんぞう)製法の事は後で詳しく説明をいたしますが
簡単にまとめれば”地金を鍛えて造る”ので鍛造というんです
昔から受け継がれた伝統技法ですので極めて珍しい製法です
いま流行りの”手作り結婚指輪”ほとんどがロウワックス材で
原型を作って溶かした地金を流し込んで作る”鋳造製法”です
早い話がリングの原型を手作りしただけという事になります
鍛造職人の私が言う手作りとは地金を溶かして叩いて鍛えて
削ったり彫ったり磨いたりと直接地金に触れて作るという事
世の中にあるジュエリーの数%しかないという伝統技法です
画像のようにハンマーで指輪の素材(プラチナやゴールド)
を叩いて鍛えてリングの形に成形をして作っていく手法です
ちなみに画像に写っているのが私、池田でございます(^ω^)
今回の記事でご紹介をさせて頂く手作り結婚指輪は凄いです
何が凄いかというと指輪の幅の広さが太い!しかも男女で!
女性で幅広の結婚指輪は珍しいのと、その作り方も凄いです
金槌で何千、何万と叩き出して作った槌目のリングなんです
すでに完成していますので完成をしたリングをご覧下さい!
【プラチナ製 槌目の結婚指輪】
【槌目(つちめ) とは】
どうですか!凄いインパクトと迫力がありますよね(^ω^)
鎚目(つちめ)とは金槌で叩いて出す日本の伝統技法です
鍛造も伝統技法なのでこれぞ日本の技術!という指輪です
こちらの鍛造の結婚指輪をご依頼のお客様は群馬県の方で
群馬から新潟の長岡まで車でお越しいただいたんですよ!
隣の県とはいっても1~2時間はかかるので感謝感激です
そして群馬県のお客様は何と!ご夫婦で大工さんなんです
大工道具で大切な金槌(玄翁)を愛するご夫婦だからこそ
金槌で出す鎚目模様にこだわりたくてご来店されました!
金槌(玄翁)が共通する仕事ですので全身全霊で作ります
鎚目でリングを作るので鎚目リングという事になりますね
こちらの鎚目の結婚指輪が完成するまでを記事にします!
かなり面白い記事ですので最後までお付き合い下さいませ
槌目の結婚指輪
制作工程を紹介
指輪の素材、プラチナを溶解(ようかい)
鎚目リングをペアで作りますので2本分のリングに必要な
プラチナを用意して溶かします(溶かす事を溶解と言う)
記事の題名でお伝えしたように男女で極太のデザインです
男性が7ミリ、女性が6ミリの超幅広のプラチナリングで
出来上がりの予定重量が約25グラムに設定をしています
2本のペアリングを作って25g程度で完成させる為には
熔解の段階で30~35gの重さが必要になってきます
用意をしたプラチナを溶解皿に入れバーナーで溶かします
プラチナをドロドロに溶かす作業内容を見たいですよね?
そう思いまして動画で撮ってありますのでどうぞ(゚Д゚)ノ
動画のような作業の流れでプラチナは溶けるんですね
ちなみに、プラチナが溶ける温度は約1770℃です
それ以上の火力が酸素バーナーから出ているんですね~
次の作業は溶かしたプラチナの塊を鍛えていく作業です
いよいよ鍛造の始まりという事です!ワクワクしますね!
鍛える地金と書いて鍛金(たんきん)
結婚指輪の素材となるプラチナを鍛えあげます(^ω^)
鍛える地金と漢字で書いて鍛金(たんきん)と言います
鍛金で鍛え上げた地金で造ることを鍛造と言うんですね
※鍛金や鍛造などと似ている言葉を連呼していますがw
一般的に使われている言葉でいうと鍛冶(かじ)ですね
まずは溶かして丸い塊になった地金をヤットコで掴んで
角床(または金床)という鉄板台に置いて叩きあげます
ハンマーで何度も何度もガンガンと繰り返して叩きます
万遍なく四面から叩き上げる
台に地金を置いてハンマーで叩く作業の繰り返しですが
適当に叩くのは駄目です!万遍なく地金を鍛えるように
四面からハンマーで叩いて四角形に成形をしていきます
適当に叩くのは駄目と言いましたが満遍なく叩くという
理由の他にもう1つ、これから手作りをする結婚指輪の
幅の広さや肉厚も考えながら叩いていく事になるんです
鍛造の目的とメカニズム
プラチナをハンマーで叩けば叩くほど鍛えられますが、
鍛えるというメカニズムを詳しく説明をさせて頂きます
ハンマーで地金を何度も叩くと地金が締まっていきます
締まっていく事から職人は”地金を絞める”とも言います
このように地金を絞め上げていく事で地金中に含まれる
微量な空気(スと呼ぶ)が抜けていって更に締まります
同時に粒子も整って詰まっていくので密度が上がります
結婚指輪の素材であるプラチナの地金密度を上げる事が
最大の目的だったという事で、これが鍛造のメカニズム
密度が増した結婚指輪のメリット
鍛造リングは密度の高いリングという事がわかりました
では、密度を上げて結婚指輪を作る目的は何かというと
密度の高い指輪は変形がしにくい
こういう事だったんです!一生で1番長くする事が多い
結婚指輪は丈夫で変形がしにくい事がポイントですよね
鍛造リングのメリットは凄くて「変形に強い&傷に強い」
密度の上がったプラチナは粘り強くて強度も強いんです
今回の結婚指輪はプラチナですがゴールドでも同じです!
※勘違いしてほしくないのが、絶対に結婚指輪が変形を
しないという訳ではなくて、変形しにくいという事です
出来合いの既製品より強いというのは間違いありません
焼きなまし作業
結婚指輪に多い素材、プラチナとゴールドの特徴ですが
何度もハンマーで叩いて締め上げていくと硬くなります
硬く締まり過ぎた地金を更に絞め上げる事は難しいです
という事はそれ以上に密度を上げる事が難しくなります
そこで酸素バーナーの炎で地金を真っ赤に焼き上げます
この工程を”焼きなまし”といって地金が柔らかくなって
更に叩いて締め上げる事が出来るようになります(^ω^)
鎚目リングの幅と肉厚に合わせる
ハンマーで叩きながらプラチナの板を成形していきます
鎚目リングの幅が男性は7ミリ、女性は6ミリですので
指輪の幅が太い男性の7ミリに合わせて伸ばしていきます
指輪の肉厚は男女で同じですので、そのまま伸ばします
女性の指輪幅は6ミリですが後で整えるのでご安心下さい
もう一点、結婚指輪を作るのに重要な工程があります
それは2本分の指輪のサイズに必要な長さにする事です
当然、長さが足りないとサイズも足りないという事(汗)
なんと指輪の99%以上が鋳造の既製品です
鍛造がとても手間のかかる製造方法だと分かりましたが
一般のジュエリーショップで販売をしている出来合いの
既製品は鋳造(ちゅうぞう)と言われる製造方法です
鋳造とは、指輪のデザインの原型に溶かした地金を流して
固めて作る方法で世の中のジュエリーの99%がこれです
大量生産が可能ですので、昔からこの製法が主流なんです
手作りと宣伝をしていてもロウワックスで原型を作る店は
実は鋳造という事になります(作るのは指輪の原型です)
手作りと言っても色々な種類があるという事ですね(汗)
※当店のように正真正銘の鍛造製法の率は1%以下です
また私のように鍛造から彫金までを1人でするとなると
さらに少なくなるので極めて特殊な製造方法となります
1枚の板を2枚にします
鍛金で伸ばした1枚のプラチナ板を2枚にします(^ω^)
男性用のサイズ、女性用のサイズの長さに合わせてカット
例えばですが、10号サイズの指輪を作るのに必要となる
プラチナ板の長さは約55ミリの長さが必要になるんです
もし男女で同じ10号サイズなら合計110ミリ必要です
同じ幅のリングなら、このまま指輪を作っていくのですが
7ミリの太さの指輪と6ミリの太さの指輪を作りますので
板を2枚にカットをしたら女性の分だけ6ミリに縮めます
同じ素材で作る結婚指輪は”絆や愛”を感じられる
ここまでの制作工程を見て頂いて気が付いたかと思います
そうなんです!同じ1つのプラチナから2つの指輪を制作!
私は同じ素材で結婚指輪を作る事に凄くこだわっています
同じ素材で作る事でお互いのリングから絆や愛を感じます!
どこにいても一緒(*´ω`*)そんな感覚を感じてほしいので
手間をかけてでも同じ素材から作る事にこだわっています
ちなみに大量生産の鋳造には真似が出来ない制作工程です
工房で1つ1つ手作りをしているからこそ可能な工程です
こちらが手作り結婚指輪のベースです(^ω^)
7ミリのプレートと6ミリのプレートが出来上がりました
太い指輪になるのが、このベースの時点で分かりますよね
幅が太い指輪はベースの時点から既に太いのでごっつい!
今回の結婚指輪は幅の広さが7ミリと6ミリとなりますが
例えば7ミリと5ミリ、もっと幅をもっと狭くしたい時は
この時点で幅を狭くしたいプレートの幅を潰して縮めます
※リングの幅が異なっていても肉厚は2本揃える事が正解
お客様の指定で肉厚を別々に変える時だけ肉厚を変えます
結婚指輪に刻印を入れる
2枚のプラチナプレートに刻印を打ち込んでいきます
プレートを丸めるとリングの形になりますので、指輪の
内側になる面を決めて刻印を2パターン入れていきます
1つの刻印はプラチナを証明するプラチナ900の刻印
もう1つの刻印はジュエリーコウキで手作り(鍛造)で
ジュエリーを間違いなく作った証明のJKマークの刻印
ジュエリーコウキではこの2種類の刻印を打ち込みます
お客様の結婚記念日の日付などの刻印は最後に入れます
ptプレートをリング状に丸める
刻印を入れたptプレートを丸めてリングの形状にします
刻印を内側にして丸めましょう!刻印の位置を確かめず
丸めてしまうと刻印が指輪の表なんて事にw要注意です
ptプレートの丸め方は、丸棒(まるぼう)という鉄棒に
ptプレートを押しあてて巻き込むように沿わせて叩く!
と綺麗な円になりやすいです(完璧な真円は後でする)
太い指輪は、丸めるのが大変(汗)
リングの幅が太くなれば太くなるほど曲がりずらいです
しかし、丸めずらいからといって適当に丸めては駄目!
というのもptプレートを丸めた時に合わせ口が出ますが
隙間が開かないように合わせる必要があるからなんです
完璧な真円にならないまでも、ある程度は綺麗にします
プラチナリングの溶接の時に合わせた口に薄く伸ばした
ロウという地金(本体よりも溶けやすいプラチナ)を
挟んで溶かすので隙間があると食い込んだりします(汗)
そのような事から隙間が無くなるように合わせるんです
ファイヤアアアーー!!
プラチナリングが太陽のように真っ赤になっています!
酸素バーナーの強烈な炎で繋ぎ目を溶かしているんです
これがロウ付け(ろうづけ)という溶接作業になります
しかし普通のロウ付けは、本体のリングよりも溶けやすい
ロウ地金を使い溶かして溶接をしていますが当店の場合は
リング本体と同じ地金を薄く伸ばしてロウの代わりにして
溶かしている共付け(ともずけ)という溶接をしています
共付けはロウ付けと違って本当に難しい溶接作業です(汗)
共付けで溶接をしたリングは頑丈
難易度が極めて高い溶接ですが(融点が同じなので難しい)
成功すれば同じ地金同士なので相性もよく強度も強いです
例えば溶けやすいロウ地金=弱い地金という事になるんです
溶けにくいロウほど(融点が高いほど)丈夫という事ですね
ただ、共付けは細かい細工のいるジュエリーには不向きです
今回の結婚指輪は極太で肉厚、重厚感のあるプラチナリング
という事で共付けをしても耐えられるという事になります!
ただ幅が広すぎてもロウが溶けにくいので難易度が増します
幅広の結婚指輪のサイズ 号数の合わせ方
結婚指輪のサイズの号数を合わせる”サイズ伸ばし”作業です
男女でリングのサイズの号数が違うので1本づつ合わせます
ptプレートを丸める時に使った丸棒に再びリングを入れます
そして金槌で満遍なくリングを叩いて完璧な真円にします
真円になったのを確認したら指定のサイズまで金槌で叩いて
伸ばして号数を合わせます(サイズ棒に入れて確認をする)
幅が広い指輪は、若干サイズを大きくします(面積が広い為)
鎚目とは?金槌で叩いた跡が”鎚目模様”
幅広いプラチナリングを金槌で何度も叩くと画像のような
凹凸をした模様が浮き出てきますがこれが鎚目(つちめ)
金槌で叩いて浮き出る模様なので”金槌の目と書いて鎚目”
金槌の大きさや形、叩く角度や力加減で模様が全て異なり
偶然の産物である事から同じ模様を出すことができません
画像のように幅広い金槌で叩くと鎚目も平に広くなります
小さい金槌なら小さい鎚目、丸い金槌なら丸い鎚目ですね
金槌の形によって鎚目模様は無限に表現ができます(^ω^)
リングに深い鎚目を入れます
鎚目模様にも色々な形状がある事がわかりましたね(^ω^)
今回の手作り結婚指輪には深めの鎚目を入れていきます
下地に幅広の鎚目を入れると鎚目が重なって奥行きが出ます
小さい金槌の角を使って入れていくので難易度が高いです
やり方は金槌の角をリングに当てて固定をした小さい金槌
の上から他の金槌で叩くという手法で2本の金槌が必要です
金槌で金槌を叩くので(普通の鎚目は金槌1本で打ちこむ)
普通の鎚目模様を出すよりも難しくなって技術が必要です
ロウワックスで削った鎚目は本物の鎚目ではない
この記事を見て頂いている人は恐らく「結婚指輪 槌目」や
「指輪 槌目」などと検索をしてきた方も多いと思いますが
私が今お見せしている鎚目が”正真正銘の本物の鎚目”です
ロウワックスで鎚目のリングの原型を作っているとすれば
厳密に言えば鎚目ではありません(キッパリと言いいます)
鎚目とは金槌で打ち込んだ模様で、ロウワックスで削った
模様は鎚目ではなくカットをして鎚目に似せただけです
鎚目風という事なので勘違いをしないで下さいね(汗)
ほとんどの出来合いの既製品は”鋳造の大量生産”ですので
原型となるリング型の段階で鎚目風に彫られているんです
叩き出した本物の鎚目かどうか店の人に聞けば分かるかと
思いますが鋳造製法で作った既製品はほぼほぼ鎚目風です
鎚目模様はバランスが命
金槌で適当に打ち付けても当然ながら鎚目模様は出ますが
私から言わせてもらえば鎚目は叩けば誰でも出ます(汗)
しかしそれで鎚目模様と言われるとプロとして悔しいです
自分は師匠から鍛造製法を受け継いで25年になりますが
鎚目の付け方は奥が深すぎるので一生修業だと思ってます
25年も鎚目を打ち込んでも全て違う模様になるんですよ
しかし長年していて確実に言える事が鎚目はバランスが命
これだけは間違いなくてバランス良く入れられるかどうか
バランスで見た目の完成度が全然違ってくるからなんです!
バランス重視で鎚目を繋げる
鎚目リングにはバランスが物凄く大事だとお伝えしました
鎚目模様1つ1つのバランスも重要ですが全体で見た時の
鎚目模様の繋がり方も物凄く重要になってきます(^ω^)
鎚目と鎚目が離れていてもスカスカで駄目ですし逆に鎚目
を重ね過ぎても(詰め過ぎても)キッツキツになって駄目
鎚目模様の端と端が上手に自然に繋がる瞬間があります
その瞬間を見逃さない事で画像のように綺麗に繋がります
鎚目模様の1つ1つが違っても模様が繋がっていますよね
位置、角度、力加減で絶妙な鎚目が生まれる
打ち込む位置、打ち込む角度、打ち込む力加減で鎚目の
1つ1つの柄が変わるのが鎚目模様の醍醐味だと思います
まさに一点物の偶然の産物模様になるというのが魅力です
そして全く同じ鎚目模様を付ける事が凄く難しいとしても
結婚指輪は2本のペアリングですので同じように魅せると
いうのも指輪を手作りをするプロの腕の見せ所です(^ω^)
2本の鎚目リングを並べても違和感がなく似ていますよね!
例え結婚指輪の幅の広さが違っていても似せる事が大切です
同じ1つのプラチナから生み出した指輪なので見た目も大事
鎚目を打ち付ける衝撃力はハンパない!
鎚目を打ち付けたプラチナリングの側面を見てみましょう
ボコボコと盛り上がった側面だという事が分かりますよね
金槌で打ち付ける本物の槌目は衝撃力が物凄いって事です
金槌で金槌を叩くという荒業のインパクトは迫力満点です
これほど負荷がプラチナリングにかかってしまいますので
鎚目リングを作る場合は通常のリングよりも肉厚にします
※鏨で叩く打ち出し模様はここまで厚い肉厚にはしません
深い鎚目模様を入れる場合にだけ肉厚を厚くするんですね
結婚指輪の幅の太さが違うので削りながら合わせますが
金槌でガッツリと鎚目模様を打ち付けたのでリングの幅
が広がっている状態で恐らく1ミリ以上広がっています
女性の指輪が6ミリ幅、男性の指輪が7ミリ幅ですので
リングの側面を削って指定の幅になるように合わせます
リングの両側面を同じだけ削る事がポイント
結婚指輪の幅の広さを7ミリと6ミリに削り合わせますが
リングの幅を削る彫金作業で注意をする点が1つあります
リングの側面を削って幅を調節するのですがバランスよく
両方の側面を同じだけ削っていく事が最大のポイントです
結婚指輪に鎚目模様を打ち込んでいる時、鎚目のバランス
を考えて打ち込んでいるので片側の側面だけを削り過ぎて
しまうと鎚目の全体バランスが崩れてしまうからです(汗)
鎚目リングの外角(エッジ)を削り落とす
ずっと長い時間、指に付ける結婚指輪は付け心地が命です
リングの側面を削ると”バリ”という鋭利なエッジが出ます
特に今回の深い鎚目模様は、端の模様に角が出やすいです
そこで、結婚指輪の両端のエッジを斜めに削り落とします
リングの角を斜めに落とす事で付け心地が良くなります!
鎚目リングの内角(エッジ)を落として丸める
鎚目リングの表面の角を削り落としたら次は中面の角です
ここの作業でポイントとなるのは”角を落としたら丸める”
表面は角を落とすだけですが、内面は全体を丸く削ります
内面は角を落としただけでは付け心地が良くなりません
角を落とした後に全体を丸める事で指に馴染みます(^ω^)
内甲丸(うちこうまる)とも言いますが甲丸デザインの
ように内側を丸める事で滑らかになって馴染んでいきます
特に今回の鎚目の結婚指輪は幅広ですので滑らかにします
彫金跡の小傷を消していきます
ヤスリでプラチナリングを削る彫金作業は完了しましたが
ヤスリで削って形を作り出すという事は傷が沢山つきます
彫金作業で出来た小傷を綺麗に消していく作業になります
耐水性のサンドペーパーを使うと効果的に小傷が消せます
傷の消し方は、サンドペーパーに水を含ませて擦るんです
耐水性なので水と研磨砂が混ざり小傷の奥まで浸透します
傷の形や深さに関わらず浸透するので消えやすくなります
この作業で傷をすべて綺麗に消す事がポイントになります
サンドペーパーで傷を消すのは彫金をした地金部分だけで
間違っても鎚目模様をサンドペーパーで擦るのは絶対駄目
鎚目はデリケートな模様ですので、すぐ角が削れるんです
ですので鎚目に傷がつかないように他を仕上げていきます
リングの内甲丸を更に滑らかに
サンドペーパーで小傷を消したら次は更に滑らかにします
内甲丸が更に滑らかになると付け心地も更に良くなります
シリコンポインターという研磨ゴムを使って仕上げます
高速回転で回るリューターという機械に装着して使います
研磨ゴムを高速回転で回して面を滑らかに整えていきます
プラチナリングの磨き作業
指輪の仕上げに使うシリコンポインターの素材は主に2つ
研磨用の硬いゴムと、地金を光らせる柔らかいゴムです
研磨用は主にブラウンのゴムで磨き用は主にブルーのゴム
シリコンポインターの素材は主にこの2種類が主流ですが
ポインターの形状は様々ありますので用途で使い分けます
鎚目の1つ1つを丁寧に磨く
最終段階、鎚目の1つ1つを丁寧に磨いていきます(^ω^)
シリコンポインターやバフという磨き布で磨いていきます
今回の鎚目の結婚指輪は光沢仕上げなので鎚目をピカピカ
に光らせる為に磨きますが、鎚目が艶無しのマット加工の
場合はこの段階で粒子を吹き付けマット状態に仕上げます
光沢仕上げとマット仕上げ、どちらも凄く魅力的ですので
お客様のお好みで艶有りか艶無しかを決めて頂きたいです
鎚目を磨いたら、側面と内面を鏡面仕上げ
結婚指輪のメインとなる鎚目を綺麗に磨いたら次の工程へ
リングの側面と内甲丸になった内面を徹底的に光らせます
側面と内面は、鎚目の光沢よりも更に光らせる鏡面仕上げ
まるで鏡のように反射をするまでヘラ掛けバフ掛けという
磨き方で徹底的に磨き上げます(磨けば磨くほど滑らかに)
鎚目模様は光沢、それ以外は鏡面
ちなみに鎚目模様を鏡面に仕上げると鎚目の境目が反射で
分からなくなるので鎚目は鏡面にすると分かりずらいです
反射を抑えた光沢までの輝きがベストで鎚目が魅せれます
鎚目すべてという意味ではなく今回の鎚目模様は深いので
反射が強くなりますが浅い槌目や平な鎚目などはピカピカ
に光らせても綺麗です(^ω^)鎚目の特徴に合わせています
結婚記念日や入籍日を刻印で入れる
結婚指輪に入れる定番の刻印は日付ですね(^ω^)
結婚式の日、入籍をした日、プロポーズをした日などなど
お客様の中で1番の記念日となる日を入れる方が多いです
日付の他にもお互いの名前やメッセージなどもありますが
最近は何と「刻印はまったく入れないでください」という
お客様のご指定も増えてきているんです!
理由をお尋ねしたら”シンプルにしたいから”という理由で
確かに刻印を入れるという事はリングの内側を彫りますので
ザラザラ感は確実に出ますので刻印無しも正解だと思います
太くて幅広い鎚目のプラチナ結婚指輪が完成
ついに鎚目のプラチナ結婚指輪が完成いたしました(^ω^)
独特な雰囲気というか凄いオーラを感じる結婚指輪ですね
鍛造製法で1つ1つ鎚目を入れる事ができるからこその技
一般的な軽くて薄い感じの鎚目とはレベルが違いますね!
また男性の結婚指輪では幅広いデザインは多々ありますが
女性の結婚指輪では幅広いデザインが、かなり少ないので
6ミリの極太リングは手作りだからこそで大変珍しいです
手作り結婚指輪(鎚目リング)の詳細です
○製造方法 鍛造(たんぞう)
○使用地金 プラチナ900(PT900)
○指輪の幅 男性7mm 女性6mm
○指輪の厚 1.8mm
○フォルム 平打ち
○デザイン 鎚目
○仕上げ方 鎚目は光沢、他は鏡面
○地金重量 2本合わせて約25g
手作り結婚指輪を隅々まで見て頂きたいので
動画で撮りましたので是非、ご覧下さいませ!
記事の最後に手作り結婚指輪のご依頼を頂いた
茨城県のお客様からのお手紙をご紹介致します
ご依頼を頂きまして、ありがとう御座いました
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無事、受け取りました!
あのプラチナの塊が、こんなに素敵な指輪になるなんて…。
カッコイイです!
こんなカッコイイ結婚指輪、見た事がないです。
これから先、どんな事が起こっても
乗り越えられるような気がして来ました
(*´ー`*)感謝します!作ってくれて、
ありがとうございました!大切にします。
お仕事のご依頼やお問い合わせは
お問い合わせフォームからどうぞ
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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです
その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為
伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います
指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に惚れてから
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。
お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。
ネット販売→ジュエリーコウキ ヤフーショップ
結婚指輪の一覧です → ジュエリーコウキ 結婚指輪の一覧
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