鍛造の結婚指輪は曲がりにくく変形しにくい~金槌で打ち出しを入れる

新潟県の長岡市で結婚指輪を手作りしています
手作りジュエリーの専門店、ジュエリー皇妃の
2代目、池田です。よろしくお願いいたします

前回の指輪作りの記事(前編)の続きとなります
参考までに前回(前編)の制作記事はこちらです

結婚指輪の詳細を改めてお知らせすると
下記の通りになるように鍛造と彫金で作ります

結婚指輪の素材はプラチナ
デザインは、打ち出し模様
艶消しにしてラインを彫る
結婚指輪の太さは3ミリ

前編の記事では、結婚指輪に金槌で浅い鎚目を
下地として打ち込んでいる所までお伝えしました
後半の今回の記事では、打ち出しを入れる作業です

 

鏨で叩く打ち出し模様とは

鏨(タガネ)という鋼鉄の工具を金槌で叩いて
結婚指輪の面に、打ち出し模様をつけていきます
タガネで叩いた跡が重なって模様となるんですね

こちらの打ち出し模様を綺麗に打ち込む為には
下地に金槌で鎚目を入れると綺麗に仕上がります
その為の鎚目なんです(手間を惜しまず打ちます)

タガネの形によって模様は当然ですが変わります
そしてこのタガネという工具は職人の手作りです
職人が使いやすいように道具を作るという事です

色々な形のタガネを自分で作って試しましたが
最終的にはオーソドックスな正四角形が1番です
模様を重ねた時に1番綺麗に重なって入るんです

 

 

打ち出しのやり方です

ベース(下地)になっている槌目の上から打ちます
打ち出し模様を入れたい部分に鏨(タガネ)を当てて
金槌で鏨を叩いた衝撃でタガネの跡が模様になります

この鏨の模様を重ねていく事によって立体感というか
奥行きというか深い味わいを出す事が可能になります。

動画で打ち出し作業をご覧ください

金槌でプラチナリングに鎚目を打ち込みベースを作り
そして更に、槌目の上からタガネを金槌で叩いて
打ち出し模様を打ち込む作業の流れとなります(^ω^)

打ち出し模様は、同じものがない

金槌で打ち模様を出す「槌目」も同じ事が言えますが
鏨(タガネ)を指輪に当てて金槌で鏨を叩いて模様を
出す「打ち出し模様」も同じ模様がありません。

というか同じ模様を作る事が出来ない
と言った方が正解かもしれませんね(^ω^)

その理由は、その場で誕生する偶然の産物だからです
鏨の角度、鏨の位置、打ち込む力加減、重ね方など
1つ1つの模様が偶然に誕生する模様だからなんです

結婚指輪ですので模様も合わせる

偶然の産物だからといって、1つ1つの打ち出し方が
違っているとペアリングとして見た時に違和感が出ます
1本なら問題ないのですが結婚指輪はペアリングです

2本の指輪の打ち出し模様を似せるようにするには
2本の指輪を同時にタガネで打っていけば似てきます

時間差がないのでタガネの向きや深さ、力加減などに
対応できるので同時に叩いていく事で解決できますね。

結婚指輪の太さを3ミリに整える

金槌で指輪を叩く槌目、タガネで指輪を叩く打ち出し
ダブルの叩き作業で結婚指輪の幅が広くなっています

3ミリの結婚指輪ですので、広がった分を削ります
ヤスリで指輪の側面を削るのですが両側面を削ります
両方の側面を削る事で、結婚指輪の幅が均等になります

結婚指輪の角を落とす

プラチナリングの側面を削ると、バリという角が出ます
このバリという角が鋭利で危険ですので削り落とします

指輪の角というのは「指輪の着け心地」に大きく関係が
出てくるので痛く感じないように角を落としていきます
実際に私が指輪の角を指にあてながら調節していきます。

角の落とし過ぎには注意です

つけ心地を良くする為には、指輪の角を落とす事が
必要となりますが、しかし角の落とし過ぎには注意!

せっかくの打ち出し模様を、少しとはいえ角を削るので
打ち出し模様の面積が少なくなるので気をつけましょう
かといって削らないと角が痛いので難しい作業(汗)

結婚指輪にストレートな細いライン

打ち出し模様の面に、ストレートなラインが入ります
ラインを深く彫る前に、糸ノコギリで浅めに削ります
細いラインですので、糸ノコギリの太さは細いのを用意

この時に糸ノコギリを滑らせないように注意しましょう
誤って糸ノコを滑らせると打ち出し模様が削れます(汗)

ストレートラインを深くして光らせる

白いツヤ消しがベースとなるマット加工の打ち出しに
輝くストレートなラインが入るとラインが目立ちます

光沢に光沢ラインを入れると、あまり目立ちません
逆に艶消しに艶消しのラインを入れても同じ事です
艶消しに光沢ラインが入る事でラインが生きてきます

糸ノコギリで浅く削る → ヤスリやタガネで深く彫る
深く彫ったラインを研磨ゴムで磨いて光沢を出します。

指輪の内側を丸く削る

結婚指輪は長く身につけるので、つけ心地が重要です
先程の指輪の角を落とす作業と同じ位に重要な作業です

指輪の内側(角を含めた内側全部)を丸く削る事で
指と指輪がフィットして、つけ心地が良くなります
丸過ぎると緩くなるので楕円形くらいが丁度良いです。

結婚指輪の仕上げ

ヤスリでプラチナリングを削る彫金作業は終了しました
ここからは傷消し作業や、磨き作業などの仕上げへ突入!

まず最初は、結婚指輪の側面と内側を削っているので
ヤスリで削った跡(小傷)があるので消していきます

耐水性の紙ヤスリに水分をつけながら指輪を擦る事で
小傷の奥まで研磨砂が浸透して傷が消しやすくなります
打ち出し部分に当たると模様が薄くなるので注意します。

シリコンポインターで研磨

ここでも指輪の表面にある打ち出しに一切触れません
打ち出しを仕上げるのは最後の最後にマット加工のみ

打ち出しを光沢にする時だけ、打ち出しを磨きますが
マット加工の場合は磨く必要がないので最後にします

まずは、紙ヤスリで擦って仕上げた部分を研磨します
シリコンポインターという研磨ゴムで滑らかにします。

指輪を鏡面加工&指輪をマット加工

結婚指輪をピッカピカに光らせる作業に進みます
今回の結婚指輪で光沢させる部分は、内側のみです

打ち出し模様と、指輪の側面はマット加工にします
細かい粒子を吹き付けて艶を消しながら仕上げます

光沢にする箇所は、ヘラ掛け、バフ掛けという
磨くための作業をして艶を出して鏡面に仕上げます。

頑丈で変形しずらい結婚指輪の完成!

ほとんど金槌で作り上げた鍛造リングです
金槌やタガネで何千、何万回、叩いたか分かりません
それくらいに叩いて鍛えて造った鍛造の結婚指輪です

プラチナの密度が、最大限まで詰まっていますので
一般的な既製品の結婚指輪よりも何倍もダメージに
強い結婚指輪です(変形にも強く、傷もつきにくい)

本日の手作り結婚指輪のまとめ

素材はプラチナ900で鍛造制作
デザインは平打ちをベースにした打ち出し
打ち出しを入れる前に槌目を入れています

打ち出し模様は全体的に艶消し(マット加工)
細いストレートなラインは光沢仕上げ
指輪の内側は鏡面仕上げ(記念日の刻印入り)

結婚指輪の制作を頂きましたお客様には
本当に感謝いたします。ありがとう御座いました!
メンテナンスにも対応していますのでご安心下さい

打ち出しの結婚指輪は、使い込むほどに味がでます
使い方によって、打ち出し模様も変化していきます
お客様と一緒に歩んでいける結婚指輪、感無量です!

お仕事のご依頼やお問い合わせは
お問い合わせフォームからどうぞ

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
5パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

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