鍛造リング専門店ジュエリーコウキです
私が工房で1つ1つ指輪を手作りします
鍛造(たんぞう)という製法は日本の伝統技法の1つ
鍛えて造るという意味で鍛錬しながら指輪を作ります。
この技術は昔から受け継がれてきた日本の伝統技術で
代々鍛造技術を継承してきた宝飾職人しか作れません。
近年、鍛造という製法が大注目されて鍛造のリングが
増えてきましたがほとんどは鍛造ではなく鍛造風です。
鍛造に似せて作る鍛造風は本物の鍛造と全く違います
昔から伝わる本物の鍛造は鍛冶で職人が手作りします。
ちなみに本物の鍛造で手作りした鍛造リングは全体の
リング市場1%以下しか存在しない特別なリングです。
当店は全国でも数少ない本物の鍛造リング専門店です。
こんにちは (*´Д`)
当店ジュエリーコウキの二代目で鍛造職人歴31年です。
私、池田が師匠である父から代々受け継がれてきた鍛造
という技術を継承して工房で1つ1つ手作りしています。
鍛造とは画像のように金槌で地金を叩いて鍛える鍛冶で
手間をかけながら指輪を手作りしていくという製法です。
鍛冶で鍛錬をされた指輪は、密度が増して頑丈な指輪に
育ちますので変形や歪みや傷や衝撃に耐えられるんです。
鍛えて造る指輪という意味で「鍛造リング」と言います。
今回、記事の内容は使わないアクセサリーをリフォーム
鍛造という技術を応用してリフォームもしているんです。
【印台リング リフォーム リメイク】
本日のブログの内容は印台リングにリメイクをします
お客様が超大切にしている宝石、スターサファイアが
入っているプラチナのリングを溶かして作り替えます
スターサファイアを古い指輪から外して、古い指輪を
溶かして新しい印台のデザインにリフォームをします
新しくなる印台デザインは槌目加工でインパクト満点
純プラチナで印台リングの指輪に作り替えるのですが
お客様が持ち込みのプラチナリングだけではリメイク
をする重量が足りないので新しいプラチナを追加して
溶かしてリメイクをしますが結構な重さを追加します
その印台の総重量が40グラム以上という印台リング
ジュエリーリフォームの中でもかなり重い部類ですね。
デザインも伝統模様の1つ、槌目を使った凄い印台です
ここまで圧倒的な存在感を感じる指輪は滅多に無いです
既に指輪は完成しているので、まずは画像をご覧下さい。
【スターサファイア 印台リング】
どうですか! この圧倒的な指輪の存在感とオーラ!
圧倒的すぎて威圧感すら感じるほどのインパクトですw
ちなみに印台リングの総重量は約40グラムあります
印台面の1番広い幅の部分で、13ミリ幅もあります
逆に1番狭い印台リングの下の部分でも約10ミリ程
純プラチナで印台リングを手作りをするのも珍しくて
純プラチナ(プラチナ1000)は柔らかいので印台リング
に向かないのですが鍛冶で鍛練するので可能なんです。
画像のスターサファイアを使った印台リングの指輪が
どんな工程でジュエリーリフォームをしていくのか?
それでは記事の最後までよろしくお願いしますm(__)m
ジュエリーリフォーム やり方
早速、ジュエリーリフォームのスタートになります!
ジュエリーリフォームの内容によって流れが違います
例えば宝石などの石がある、ない、だけでも違います。
リフォームをするジュエリーのデザインによって
リフォームの制作工程が違ってくるという事です
今回の場合は、スターサファイアという宝石を使って
印台リングに作り替えるので宝石の石枠が必要なので
まずはスターサファイアのサイズに合わせて石枠作り。
ジュエリーリフォーム おすすめ
おすすめのジュエリーリフォームは絶対に信用と信頼
と実績がある宝石店やジュエリーショップが絶対です。
お客様が大切にしているジュエリーや宝石を使うので
信頼と実績がないとお客様が心配や不安になります(汗)
そんな事がないように信頼と実績のある店にしましょう
当店は昔から受け継いでいる鍛造でリフォームをします
鍛造でリフォームをする宝石店は全国でも極めて珍しく
リフォームの実績も数多くありますのでご安心ください。
まずは、画像のようにお客様の宝石のサイズに合わせて
宝石の石枠をプラチナで丁寧に手作りで作っていきます。
石のサイズに合わせた石枠作り
お客様がお持ちの宝石の大きさに合わせて石枠作りです
今回の石はスターサファイアという石でオーバルカット。
オーバルカボッションというカットで楕円形で滑らかに
丸くなっているカットでスターサファイアの代表的な形。
石の直径と厚みなど計算しながらピッタリに合うように
手作業で微調整を繰り返しながら石枠を作っていきます
今回のジュエリーリフォームで1番最初の作業工程です!
覆輪留め(フクリンドメ)
スターサファイアが石枠にピッタリに入るようにします
ここで注意するポイントはブカブカのユルユルは駄目!
今、手作りをしている石枠は「覆輪留め」という石留め
方法でスターサファイアを枠にスッポリ入れる手法です。
もしも、枠と石がユルユルのブカブカになってしまうと
石の落ち着きが悪くなって、石が外れる可能性があるし
しかも石が動くことで石にダメージが出るという事です。
逆に、きつすぎて枠に石が入らないのも問題外ですので
隙間がゼロでピッタリに石枠に石が入るのがベストです。
石枠に台座を溶接
石枠と宝石がピッタリ隙間ゼロの石枠ができあがったら
枠の内側にサファイアが落ちないように台座を溶接して
サファイアを落ち着かせ覆輪留めができるようにします
画像を見ると枠の内側に薄い台座があるのが分かります
この薄い台座がサファイアを落ち着かせ落ちないように
する役目になるので薄くても枠にとって重要になります。
分かりやすいイメージで例えると、大きい石枠の中に
小さい石枠をはめこんで溶接をしたという事になります
当店のジュエリーリフォームは繊細で丁寧な仕事です!
石留めの為にフチを作る
覆輪留めのやり方は、枠のフチを鏨(たがね)という工具
で叩きながらフチを寝かせて、額縁のようなイメージで
宝石をフチで包みこむような感じで石留めをするやり方
枠に地金の厚みがあり過ぎると、鏨で叩いても寝なくて
覆輪留めができないのでフチを斜めに落として整えます
こうすることでフチを鏨で叩くと寝やすくなるんですね。
ジュエリーリフォームの重要ポイント
宝石が石枠の中で落ち着くようにする
基本的にスターサファイアの裏側は変形した楕円形です
変形した楕円形の宝石が、石枠で真っすぐに入るように
台座の中もスターサファイアの裏側に合うようにします。
リュータという機材の先端に刃の先端工具をセットして
枠の内側を削りながら宝石が落ち着くように調整します。
ここでの彫金作業は、とくにかく重要で宝石の見え方が
生きるかどうかになるので微調整の繰り返しになります
特にスターサファイアは星が見えるのでより重要ですね。
スターサファイアの
石枠作りが完成です!
ジュエリーリフォームでメインとなるスターサファイヤ
が覆輪留めの石枠にピッタリと収まって落ち着きました。
石留めをする枠作りだけで、こんなに手間がかかります
出来合いの既製品の枠では、ここまでピッタリに宝石を
合わせて落ち着かせる事が難しいですが手作りなら可能。
石の形や石の特徴などを考えながら枠を作っていきます
これがジュエリーリフォーム最大のポイントになります。
ペンダントのリフォームならここで仕上げていきますが
ペンダントではなくて印台リングなので次へすすみます!
ジュエリーリフォーム
スターサファイアの枠が完成したら指輪作りに進みます
指輪のデザインはブログの冒頭に公開をした印台リング。
規格外の指輪の幅と厚みで、その重量はなんと約40g
という事は、40g以上のプラチナが必要になります
彫金作業や磨き作業でプラチナが目減りをするんですね。
お客様の貴金属を溶かしてリメイクする方法は3通り
(1)そのままの地金を溶かして目減りが出てもその
重さ内で作れる重さで溶かしてリングを作るリメイク
(2)目減りを計算するとある地金では足りないので
新しい地金を追加して増やして溶かしてするリメイク
(3)地金に不純物が混ざっていたり純度が低い場合
分析専門機関で分析を依頼して綺麗な地金に分析する
ネックレスの場合は溶接が多いので分析を推奨します
プラチナとゴールドのコンビも分析が必要になります
分析は専門機関しかできないので分析費用が必要です。
他にも分析をすれば18金を純金にすることも可能です
18金に含まれた銀と銅を不純物として取り出すんです
不純物の重さで結構な重さが減りますが魅力的ですね。
今回は(2)のリメイクでお客様が持ち込みの地金が
足りないので新しい地金を追加してリメイクをします。
純プラチナ(pt1000)を溶解
ジュエリーリフォームをしている印台リングの素材は、
純プラチナのプラチナ1000を使って手作りをします。
通常のプラチナ1000は、とっても柔らかい地金です
そんな理由から細い指輪だったり、薄い指輪で作られる
ことは、ほとんどないというのがプラチナ1000です
しかし今回の場合、極太で重厚感のある印台リングです
しかも鍛造という地金を鍛える製法で作るので強いです
通常の純プラチナよりも密度も濃く頑丈なので安心です。
塊になった純プラチナは鏡面
純プラチナは約1770度が融点でドロドロに溶けます
溶解(ようかい)作業をしている時は真っ赤で眩しいです
そして高熱を発するので近すぎると火傷をして危険です。
肉眼で溶解作業は出来ませんので、溶接用のゴーグルを
着けてプラチナの溶け具合を確認しながら溶かします。
溶かしている時は真っ赤で太陽のようですが、冷めると
鏡のように反射をするプラチナ塊になります(銀色と違う)
鍛造で作る 印台リングの作り方
ジュエリーリフォームで鍛造というのは凄く珍しいです
というのも鍛造とは、地金を鍛えながら造る製造方法で
日本伝統技法という事で代々受け継がれてきた技法です
鍛造を継承した宝飾職人しか作る事ができないからです
鍛えて造るという文字の通りに、鍛冶で鍛えて造ります
溶かして塊になった純プラチナを金床(かなどこ)という
鍛冶台に乗せてハンマーで叩いて締め上げていくんです!
地金を叩いて締め上げる
地金を叩いて鍛錬をすることを締め上げるともいいます
金床に乗せたプラチナ塊をハンマーで叩いて鍛錬します。
画像のようにハンマーを力強く振り下ろすのでパワーと
衝撃の力がめちゃくちゃ凄くて強烈なので、しっかりと
ヤットコや頑丈なピンセットで掴まないと跳ね飛びます
基本的に地金を鍛錬していく鍛冶作業は、何度も何度も
金槌で地金を叩き上げて締め上げることで鍛えられます
今回のような重い地金塊の鍛冶は時間が必要になります。
万遍なく締め上げて空気を抜く
今回のジュエリーリフォームの素材は純プラチナですが
プラチナに限らずゴールドもシルバーも同じなのですが
地金内に「す」という微量な空気が必ず含まれています
この空気が地金内に含まれていると巣穴の原因になって
指輪の強度が弱くなってしまうので、巣穴を無くす為に
何度も繰り返してハンマーで締めて空気を放出させます。
プラチナ塊を四面から万遍なくハンマーで叩いて締めて
じっくりと空気を抜いていくと同時に刺激で粒子が整い
地金の密度がぐんぐん増していって強く育っていきます。
焼きなまし
プラチナ塊はハンマーで叩いて締めて鍛冶をしていくと
締まり過ぎて、必ずカチカチに硬く変化をしていきます。
特に今回のジュエリーリフォームのように地金の重さが
結構あると締まり方も強くなるので更に硬く変化します
ハンマーで叩くと硬くて跳ね返ってくるようになります
しかし地金密度をまだまだ高めて密度を更に上げる必要
があるので、ここで鍛冶を辞める訳にはいかないんです
そこで「焼きなまし」という工程をすることになります
硬くなった地金塊にバーナーの炎で炙ることで地金塊が
真っ赤になって締まりの硬さが少し緩めることができて
更にハンマーで叩いて締めて密度を上げる事ができます。
印台リングの作り方
ジュエリーリフォームのメインデザインとなる指輪作り
プラチナ1000の塊から印台リングを手作り致します!
鍛造で手作りをする印台リングは極めて珍しくなります
しかも13ミリ幅もある印台面!かなり希少になります。
画像のようにプラチナ塊に印台面を叩き出していきます
とにかく叩いて締めて造っていく印台リングになります
色んな大きさのハンマーを使い分け叩いて形を整えます。
印台の指輪は バランスが重要
印台デザインの指輪はバランスがとても重要になります
印台面と印台面以外のリングのバランスがポイントです。
頭でっかでかの印台リングになるとバランスが変ですし
逆に頭が小さくてリングが太くてもバランスが崩れます。
今回は、どうして13ミリもある印台面なのかというと
スターサファイアの宝石を使ってジュエリーリフォーム
がメインですが極太で重厚感がある印台リングが欲しい
というお客様からのご要望でこの形に決定したんですね。
印台リングのアームを締める
プラチナ塊に13ミリの印台面を確保したら、その他の
リングの部分となるアームを叩いて締めて伸ばします。
真っ平でストレートな板状だったプラチナ塊が、徐々に
印台面とアーム部分との区別が出てきたのが分かります
アームの幅と厚みを叩いて締めて狭くしていくんですね。
やっている事は鍛冶作業ですので、やはり締まり過ぎて
硬くなっていくので炎で焼きなましをしながら鍛冶作業。
素手で感触を感じながら叩く
怪我が多い宝飾職人ですが、ジュエリーリフォームでも
指輪制作の流れは同じ事が多いので怪我も変わらずです。
というのも、地金塊をヤットコなどで掴んで固定をして
ハンマーで叩くことが多いのですが繊細な部分になって
くるとヤットコやピンセットでは感覚がズレてしまって
より精密な形を求めるとなると素手での作業が必須です。
宝飾職人さんは、指先の感覚が研ぎ澄まされているので
素手で鍛冶作業や彫金作業をする人が本当に多いんです
ハンマーで指を潰したりすることもあるので要注意です。
印台リングのベースが完成!
研ぎ澄まされた職人技術で印台リングのベースが完成!
チャンピオンベルトに見えるほどのインパクトですねw
まだ地金板の状態ですが、この成形された地金板を指輪
の形に丸めていくと印台リングになるということですね。
ちなみに、印台面は13ミリありますが、印台面からの
アームの部分で1番狭いところでも約10ミリあります
最低でも10ミリの幅があるという超極太の印台リング。
リングに刻印を打ち込む
ジュエリーリフォーム最中の地金に刻印を打ち込みます
ジュエリーリフォームで使った地金はプラチナ1000です
純プラチナの刻印は「PT1000」になるので打ち込みます
同時に、ジュエリーコウキの鍛造制作を証明するための
JK のマークが入った刻印をリングの内面に打ち込みます。
伸ばした地金板を丸める
印台の形に伸ばした地金板を印台リングの形に丸めます
リングの形に丸めると、ようやく印台リングになります。
かなり幅と厚みがあるリングなので、丸めるのも一苦労
普通サイズのリングと違って規格外のサイズなので道具
を使って丁寧に丸めていく事がポイントになってきます。
丸棒という道具に印台ベースの地金板を巻き付ける要領
で木槌で地金板を叩きながら丸めていくことになります。
ファイヤアアアアアアアー!
ジュエリーリフォームの工程も中盤に突入いたします!
リングの形に丸めた純プラチナリングを溶接で繋ぎます。
一般的にジュエリーの溶接のことをロウ付けといいます
これは地金同士を溶接で繋ぐ際に、ジュエリー本体より
溶けやすい弱いロウ地金という地金で溶かす作業のこと。
しかし、今回のジュエリーリフォームで作り替えている
印台リングは幅が超極太で、厚みの重厚感も規格外です
しかも鍛造リングということで強さが売りのリングです。
そこで、ロウ付けよりも難易度が高いハイレベルな溶接
共付けという溶接で地金同士を溶かし合わせて繋ぎます
印台リング本体と同じプラチナで溶かすということです
同じ純プラチナ同士なので融点も全く同じということで
指輪が食い込んで溶けるという荒技ですが同じ地金同士
で相性が良くて、しかも頑丈なので鍛造にピッタリです。
叩き出して印台リングを整える
純プラチナリングの共付けが完了したら更に叩きます!
地金板から、リングの形になると歪む箇所も出てきます
その歪んだリングの部分を叩いて印台リングを整えます
共付けが完了したら、純プラチナリングを丸棒に入れて
印台面からアームの部分まで細かくチェックをしながら
指輪のバランスを保ちながらハンマーで叩いて整えます。
印台面が綺麗な四角になるように
ヤスリで削って印台面を整えることもできるのですが、
今回のジュエリーリフォームの最終デザインは槌目です
槌目模様というのはハンマーの打痕が魅力的なデザイン。
金槌や鏨(たがね)で叩いて、打ち出して模様を作る指輪
あえてヤスリで指輪の印台面を削ってしまうとヤスリの
削った彫金跡が残ってしまう可能性があるので削らずに
ハンマーで叩いて印台面を綺麗な四角に整えていきます。
ジュエリーリフォーム最大のポイント
スターサファイアの枠の位置を決める
ジュエリーリフォームの最大のポイントとなる石の位置
スターサファイアを収める位置を決める重要な工程です。
スターサファイアはオーバルの楕円形で真ん丸ではなく
サファイヤの縦の長さと、横の長さのサイズが違います。
指輪の印台面に石を縦に使うか横に使うかでデザインの
見え方が、凄く変わってくるとても重要なポイントです。
今回のジュエリーリフォームの場合は、バランスを重視
してスターサファイアを縦向きに使う事に決定しました
そこで指輪の印台面に石と同じサイズの下書きをします。
石枠のスペース作り
指輪の印台面に書いた宝石の石枠に合わせてスペースを
作る為にドリルや先端工具を使って穴を開けていきます。
普通の印台の指輪だった場合は、この時点で宝石の石枠
にピッタリと合わせて穴を開けてスペースを作りますが
手作りをしている印台の指輪は、更に表面を叩いて槌目
を打ち込んでいくので、枠にピッタリと合わせていくと
槌目を叩いた時に穴が歪んでしまうので余白を作ります。
印台リングに槌目を打ち込む
いよいよ!ジュエリーリフォームをした印台リングに
渾身の鏨(たがね)で叩いて、槌目模様を打ち込みます!
槌目(つちめ)とは、金槌で叩いた打痕をデザイン化した
模様のことを言いますが、デザイン化とは適当に叩いた
打痕は打痕のままで、槌目にするにはデザイン化が必須
叩いた打痕の配置や、深さや、重なり具合など、様々な
要員を総合的に見て模様になればデザイン化ということ
正直、槌目模様に慣れていないと超難しいデザインです。
オリジナルの鏨で打ち込む!
細かく説明をすると、金槌で叩いて入れる模様が槌目で
鏨で叩いて入れる模様は打ち出しや叩き出しといいます。
今回の印台の指輪には、私がオリジナルで手作りをした
鏨を使いますが、普通の鏨ではなくて刻印を入れる時に
使う刻印専用の硬い丈夫な鏨をオリジナルで作りました
普通の鏨と違って、鏨の先端が太くて金槌に近いことで
実際に地金を叩くこの鏨のパワーも金槌と同等な事から
私はこの鏨を使って叩き入れても槌目模様と表現します。
印台リングの隅々まで槌目を入れる
印台リングの表面の隅々まで槌目を打ち込んでいきます
あくまでも指輪の表面までで、側面には打ち込みません。
印台リングの表面一面に、槌目がビッシリと入るように
丸棒に指輪を入れて回すようにして鏨を目一杯入れます。
隅々まで叩くことで更に強度が増す
プラチナ1000は柔らかいので何回も何回も叩きます
プラチナ1000が塊だった時点から数えて何千、何万
とハンマーや鏨での鍛冶作業が続いているという凄さ!
リングの形になる前からの鍛冶で強くなってはいますが
鏨で更に叩いて槌目を入れる事でもっと強くなるんです。
万遍なくバランスよく凹凸を打ち込んでいくのがベスト
一部に凹凸が偏ってしまわないように万遍なく叩きます。
印台の指輪は、下部分が弱い
印台リングのフォルム全体をよく見ると分かるのですが
印台面の上部分は、地金が幅広くて分厚くなっています。
しかし印台リングの下にいくに従って、指輪が細くなり
厚みも薄くなっていきます(これが印台リングの形です)
ということは、薄い下の部分が変形しやすいということ
印台リングの下部分の平打ち部分もガッツリと叩きます
槌目を重ねながらデザインの模様を作りながら叩きます
そうすることで、印台面にも負けない強度が得られます!
槌目の印台リングが完成!
どうですか槌目の印台は!めっちゃ凄くないですか!?
イケてるという一言で片付けられないこのインパクト!
槌目模様のバランスがハマると、ここまで凄くなります
一般的によくある印台とは別次元の凄味を感じられます
私が継承した鍛造のジュエリーリフォームは凄いんですw
槌目模様は、金槌や鏨の形、打ち込む力加減、配置など
様々な要因が重なり合って生まれる唯一無二の模様です
そして宝飾職人のセンスと技術が最も重要になります!
印台リングの石枠をピッタリ沈める
枠の大きさピッタリのジャストサイズに穴を開ける事が
とても重要になりますが、石枠の高さも同じく重要です。
石枠の沈み具合で、スターサファイアが浮き上がったり
沈んだりするのでリングに穴を開けながら高さも微調整。
印台リングとスターサファイアの石枠が合体したときに
バランスが1番良く見えるようにするのがポイントです
これはもう熟練された宝飾職人しか分からない所ですね。
印台面に石枠をロウ付け
印台リングの印台面にスターサファイアの石枠を沈ませ
ロウ付けをして溶接をすればリングと石枠が融合します!
ロウ付けをする部分にしか極力、火を当てたくないので
他のプラチナリング部分は火が当たらないように保護を
しながらロウ付けを素早くするというのがポイントです。
長時間、火を当て過ぎてしまうと焼きなまし効果がでて
プラチナ1000が柔らかくなってしまうので注意です。
それでも溶接部分は多少なりとも焼きなまし効果が出て
しまうので、その部分だけ鏨で叩いて締め直しをします。
印台リングのサイズ調整
印台のリングにスターサファイアの石枠が溶接されたら
火の当たった溶接箇所を中心にして鏨で叩いて締めます。
印台面だけを叩くとリング全体のバランスが歪む可能性
がありますので、印台リングの全面を万遍なく叩きます。
そして鏨で叩いて締めながら指輪のサイズを伸ばします
最初から何度もリングを叩くことを想定していたので、
予め小さ目のサイズで印台リングを作っていたんですね。
スターサファイア 覆輪留め
ジュエリーリフォームのメインとなるスターサファイア
この宝石を石枠に入れて覆輪留めで石留め作業をします。
スターサファイアが石枠の中で傾かないように入れます
そして、石枠のフチを石留め専用の鏨を使って叩きます。
枠縁の一部分だけを叩くのは絶対にやってはいけません
一部分だけを叩くと、そこだけ凹んで他の場所に隙間が
出てしまうので同じ力加減でフチ全面を叩いていきます。
覆輪留めの仕組み
覆輪留めは、枠の縁を鏨で叩いて寝かせて留める仕組み
枠の縁全体を均等に叩いて縁を寝かせ額縁状態にします
額縁の中にスターサファイアが入っているイメージです。
プラチナの枠縁が寝るということは、それなりのパワー
でフチを叩いているので宝石に絶対に当たらないように!
もしフチを叩いている鏨が滑ってしまったら簡単に宝石
は欠けるか割れるかしてしまうので慎重に丁寧にします。
フチも槌目模様で仕上げる
覆輪留めの枠縁にも超こだわります!槌目模様にします
プラチナリング全体が槌目模様になったデザインなので
覆輪留めのフチも槌目模様にすることでデザインが統一!
まるで槌目の印台リングから枠が生えているみたいです
ここまで細かい部分まで超こだわれるのも手作りの魅力。
一般的なジュエリーリフォームでは、ここまでこだわる
ことは出来ませんし、ここまでする技術力も必要ですね。
着け心地が良い印台リング
基本的にどんな指輪でも着け心地の良さは最も重要です
どんなに指輪のデザインが良くても、つけ心地が悪いと
ストレスが溜まっていって指輪を着けたくなくなります
特に、今回のジュエリーリフォームで作り替えたような
超極太幅があって肉厚もあって、重量もあるとなったら
リングの着け心地を良くしないと違和感を感じるんです。
リングの内側を内甲丸(うちこうまる)という形にします
早い話が、丸い甲丸デザインが内側にできるということ。
リングを内甲丸にするメリット
さすがにリング幅が広すぎて、ふっくらした内甲丸には
なりませんが、それでも角が取れて滑らかにはなります。
印台リングの内が画像のように滑らかさになるとGOOD
とても幅と厚みがあるリングですが着け心地が良くなり
指を曲げても痛くないですし、水はけも良くなります!
着け心地が良くなるだけでなく水はけの良さもポイント
リングの内側に水分があると気持ち悪いのと、ふやけて
指が真っ白になったりしにくくなって衛生的なんですね。
プラチナリングの傷を消す
ヤスリで地金を削る彫金作業でプラチナに傷が残ります
主にプラチナリングの側面と内面をヤスリで削って彫金
をしたのでヤスリで削った跡が残っている状態なんです。
そこで耐水性のサンドペーパーを使い仕上げていきます
耐水性なので水を含ませてプラチナリングを擦ることで
水と研磨砂が混ざり合って傷の奥まで浸透していきます。
キズの大きさや深さに関係なく浸透するので綺麗に傷を
消しやすいというメリットがあるので使って仕上げます。
シリコンポインターで更に仕上げる
サンドペーパーでリングを擦ると大きな傷は消えますが
今度はサンドペーパーで擦った細かいラインが残ります。
この細かいラインをヘアラインといって、デザイン加工
としてリングを仕上げることも出来ますが今回の指輪は
槌目の印台ということで光沢にするので綺麗に消します
シリコンポインターという研磨ゴムをリュータ機という
機材にセットをして高速回転でゴムを回して仕上げます
細かい線のヘアラインも綺麗に消えて滑らかになります。
純プラチナリングのヘラ掛け
純プラチナをピカピカの鏡面にする為に磨き上げます
ヘラ掛け(へらがけ)という磨き工程をすると輝きます
鏡のように反射をするので鏡面仕上げともいいます。
プラチナを鏡面仕上げにするにはヘラ掛けという特殊
な磨き工程をすることによって鏡面になっていきます。
ヘラ棒という道具でプラチナの光らせたい部分に当て
プラチナの表面を押し潰すように何回も擦っていくと
プラチナの面が光りはじめ鏡のような鏡面になります。
純プラチナリングのバフ掛け
ヘラ掛けで鏡面になったリングの最終磨きをします!
バフ掛け(ばふがけ)といって、鏡面になったリングを
磨き布の束で徹底的に磨きます。これがバフ掛けです。
リュータ機にセットをする小さいバフは、石枠周辺の
隅々まで磨く役割で、印台リングの全体を磨くときは
グラインダータイプの大きなバフ機で磨き上げます。
1つ1つの槌目模様も光らせる
印台リングの下の部分になる平打ちも徹底的に磨いて
印台リング全面がピッカピカになるように磨きます!
1つ1つの槌目模様がピカピカになるように磨きます
色んな角度や深さの凹凸ですが1つ1つを光らせます。
バフ掛けをすることで鏡面が更に反射をしていきます
バフ掛けをしたら超音波洗浄機で洗えば完成です(^-^)
印台のジュエリーリフォームの完成!
スターサファイアをメインにしたジュエリーリフォーム
無事に全ての制作工程が完了してリングが完成しました!
スターサファイアと印台リングのバランスが完璧です
また印台リングと槌目模様のバランスも同様に完璧です
パーフェクトなジュエリーリフォームということですね!
リフォームで使用した宝石はスターサファイアでしたが
どんな宝石でも同じような作業工程でリフォームします。
お客様が大切にしている宝石を新しく生まれ変わらせて
新しい自分好みの指輪に作り替えて頂ければと思います。
動画でもこの印台リングをご覧頂けます
いや~しかし、とんでもない凄いリングになりましたw
約40グラムもあるプラチナ1000の印台リングですら
滅多に無いと思うのに、鍛造製法で作りながらの槌目
をガッツリと打ち込むという技術とセンスの成せる技
画像だけではなくて動く動画でも鍛造の印台リングを
見ていただきたいので動画の撮影もいたしました(^-^)
色んな角度から撮影しましたので是非、ご覧ください。
ジュエリーリフォームをしたスターサファイアの
印台リングはどうでしたか?凄かったと思いますw
普通の印台リングとは、全く違ったイメージですよね!
見た目のインパクトで印台リングの存在感が圧倒的です
こんなにオーラを放っているリングも珍しいと思いますw
見た目だけではなく素材のほうにもこだわっているので
純プラチナを使って鍛造製法で印台リングを手作りする
という事もかなり珍しくて作れる工房は限られています。
プラチナ1000で この雰囲気を出せるのは当店だけです
ハンマーとタガネを使って1つ1つ叩いたデザインです
熟練された宝飾職人だからこそ生み出せる仕上げ方です。
ジュエリーリフォームの詳細
○製造方法 鍛造(たんぞう)
○使用地金 純プラチナ(pt1000)
○指輪の幅 印台面が13ミリ、下の平打ち面が10ミリ
○総重量 約40グラム
○仕上げ方 槌目模様&光沢仕上げ
○デザイン 印台デザイン
○使用宝石 スターサファイア(覆輪止め)
最後に、お客様からのお手紙を一部ご紹介いたします。
新潟県のお客様のご依頼で結婚指輪を手作りしました
ジュエリーコウキにご来店を下さり有難うございました
いつもご丁寧にご対応してくださって感謝しております
ジュエリーリフォームのご依頼を頂きまして超感激です
作り応えのある仕事で本当に楽しませていただきました
また機会がありましたらどうぞよろしくお願い致します。
===========お客様の声============
新潟県 K様より
先日はありがとうございました
迫力ある指輪になりましたね!
指輪、みんなから評判良いです
本当にありがとうございました。
これからもお仕事頑張ってください
機会がありましたら、またよろしくお願いします。
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今までリメイクをした過去のリメイク記事が沢山あります
リメイクの参考にご覧下さいませ → 過去のリメイク記事
お問い合わせは、お問い合わせフォームか
メールやお電話でもご対応をしております
○「お問い合わせフォーム」
○電話番号 0258-27-1771(日曜は定休日)
○メールアドレス j_kouki_ring@yahoo.co.jp
〒940-2003
新潟県長岡市渡場町2-7
株式会社ジュエリーコウキ
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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです
その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為
伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います
指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。
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