鍛造リング専門店ジュエリーコウキです
私が工房で1つ1つ指輪を手作りします
鍛造(たんぞう)という製法は日本の伝統技法の1つ
鍛えて造るという意味で鍛錬しながら指輪を作ります。
この技術は昔から受け継がれてきた日本の伝統技術で
代々鍛造技術を継承してきた宝飾職人しか作れません。
近年、鍛造という製法が大注目されて鍛造のリングが
増えてきましたがほとんどは鍛造ではなく鍛造風です。
鍛造に似せて作る鍛造風は本物の鍛造と全く違います
昔から伝わる本物の鍛造は鍛冶で職人が手作りします。
ちなみに本物の鍛造で手作りした鍛造リングは全体の
リング市場1%以下しか存在しない特別なリングです
当店は全国でも数少ない本物の鍛造リング専門店です。
こんにちは (*´Д`)
当店ジュエリーコウキの二代目で鍛造職人歴30年です。
私、池田が師匠である父から代々受け継がれてきた鍛造
という技術を継承して工房で1つ1つ手作りしています。
鍛造とは画像のように金槌で地金を叩いて鍛える鍛冶で
手間をかけながら指輪を手作りしていくという製法です。
鍛冶で鍛錬をされた指輪は、密度が増して頑丈な指輪に
育ちますので変形や歪みや傷や衝撃に耐えられるんです
鍛えて造る指輪という意味で「鍛造リング」と言います。
今回、記事の内容は使わないアクセサリーをリフォーム
鍛造という技術を応用してリフォームもしているんです。
さて、ご紹介させて頂くアクセサリーリフォームの内容は
複数のダイヤリングを溶かして一文字リングにリフォーム。
ご依頼を頂いたお客様が何本かある使わないダイヤの指輪を
新しく1本の一文字にリフォームをしたいというご依頼です
ダイヤが入っているリングが複数あるのでダイヤも使います。
※ダイヤの大きさが(直径×厚み)バラバラすぎる場合は、
ダイヤモンドのサイズ的に使えるダイヤを選別して使います。
一文字リングとは(一文字ダイヤリング)
一文字(いちもんじ)リング、一文字ダイヤリングとは?
指輪のセンタートップに石を入れて(ほとんどの石はダイヤ)
まとめて繋げて入れるデザインで一文字リングと言われます。
エタニティリングと似ていますが少し違っていて中央に石を
まとめるデザインで月形リングというタイプの形になります
説明が難しいのでw既に完成した一文字リングを見て下さい。
【一文字リングのリフォーム】
こちらがリフォームをして完成した一文字リングの画像です
めっちゃ綺麗な指輪でしょ? これがダイヤの一文字リング
大きなダイヤを7ピースも使っているので合計1カラット!
もともと何本かのダイヤリングだったのでダイヤの大きさは
全部違っていますが綺麗にまとめてグラデーションで石留め。
ダイヤモンドの大きさが違っていても大きさ順にバランスが
保てるようであれば今回のように月形にしてリメイクします。
ちなみにダイヤモンドはこのような順番で指輪に入れました
3.0mm 3.1mm 3.3mm 3.6mm 3.4mm 3.2mm 3.1mm
センターに1番大きいダイヤを使ってのグラデーション配置
7ピースのダイヤの総カラット数は1カラットになりました
それではこちらの一文字リングの制作工程をお見せ致します。
古いダイヤリングを溶かして
一文字リングにリフォーム!
使わなくなった古いプラチナリングを溶かして作ります
一文字リング以外にも使わないプラチナリング等があれば
一緒に溶かしてリフォーム&リメイクに使うことも可能です
昔のデザインのプラチナリングはリングの裏側をくり抜いて
空洞しにて作っている場合が多いんです(軽くする為にです)
今回の場合も、リングの内側がくり抜いてある軽いリングが
4本あって溶かして1本の重い指輪を作るというリフォーム。
もし地金が足りなくても新しく足せるので心配ありませんし
逆に地金が余っても工賃から金額を引けるので経済的ですね。
※リフォームをする時、お客様がお持ちの地金を溶かします
作業中に地金が火花になって散ったり仕上げ作業で磨く時に
粒子になって失くなる目減りが確実に出るのでご理解下さい。
お客様の貴金属を溶かしてリメイクする方法は3通り
(1)そのままの地金を溶かして目減りが出てもその
重さ内で作れる重さで溶かしてリングを作るリメイク
(2)目減りを計算するとある地金では足りないので
新しい地金を追加して増やして溶かしてするリメイク
(3)地金に不純物が混ざっていたり純度が低い場合
分析専門機関で分析を依頼して綺麗な地金に分析する
ネックレスの場合は溶接が多いので分析を推奨します
プラチナとゴールドのコンビも分析が必要になります
分析は専門機関しかできないので分析費用が必要です。
他にも分析をすれば18金を純金にすることも可能です
18金に含まれた銀と銅を不純物として取り出すんです
不純物の重さで結構な重さが減りますが魅力的ですね。
今回は(1)のリメイクでお客様が持ち込みの指輪が
ダイヤを含めて複数あったので全部溶かせば足ります。
まとめて溶かしたプラチナの塊
ここから鍛造作業が始まります
いよいよジュエリーコウキ自慢の鍛造制作がスタートします
冒頭に少し触れましたが指輪の素材、プラチナを鍛えながら
密度を上げて一文字リングを作っていくという事になります。
まずは溶かしたプラチナ塊を角床と呼ばれる鉄板台に乗せて
ハンマーでガチコンガチコンと叩き上げながら締め上げます。
プラチナ塊を叩いて締めて叩いて締めて密度を上げるんです。
万遍なく叩いて、締めたいので
プラチナ塊を四面から叩きます
バランスよく万遍に地金を叩くことが重要になる鍛冶作業
溶かした時点では丸くなっていますが、四方向から叩いて
丸い地金を四角の角材に成形をしながら伸ばしていきます。
なぜ四角の角材にプラチナ塊を伸ばしていくのかというと
四面から万遍なく叩けるという理由の他に、もう1つ意味
があって指定されたリング幅の広さに合わせる為なんです。
例えば5ミリのリング幅が指定の場合、多少の余分を持ち
ながら5ミリちょっとある角材にする必要があるんですね。
鍛造のメリットは地金の密度を上げる
鍛造で作る指輪、鍛造リングの最大の魅力は頑丈な事です
特に毎日する結婚指輪は変形しにくい、衝撃に強いなどの
メリットがあれば安心して指輪を身につける事ができます。
なぜプラチナやゴールドなどの地金の密度が上がるのか?
それは金槌で叩いて炎で焼いて更に叩いて焼くの繰り返し
地味で地道な作業ですが繰り返す事で締まっていくんです。
同時に地金中にある微量な空気、巣穴の原因となる空気を
鍛冶作業で鍛錬することにより放出させ粒子を整わせます。
それも締まるに繋がるのですが密度が増していくんですね。
【一文字ダイヤリング 作り方】
普通の結婚指輪、例えば同じ幅と同じ肉厚の指輪であれば
角材のまま伸ばしていくのですが一文字リングは違います。
入るダイヤのサイズによって幅と肉厚を変えていくんです
一文字リングの中央のセンターに入るダイヤが1番大きく、
サイドに下がるにつれてダイヤのサイズは小さくなります
1つ1つのダイヤのサイズに合わせてアームも合わせます。
まず月形リングと言われる形に鍛造で成形をしていきます
ほぼほぼ一文字リングというのはベースが月形なんですね。
ダイヤモンドの大きさと
月形リングの大きさが比例
伸ばしたプラチナの幅を見ると中心が厚くて端が薄くなり
また幅も中心が広くて端が狭くなっているのが分かります。
7ピースあるダイヤモンドを1つ1つ計りながら計算して
月形リングの土台となるアームを合わせながら作りました。
石のグラデーションと月形のグラデーションが比例します。
リングと石のバランス=幅や厚みが狂うと石が入りません
一文字を作るのは凄く難しく、熟練された技術が必要です。
伸ばしたプラチナ板を丸める
鍛造作業でプラチナ板が月形の原型になったら丸めます。
丸棒という道具に伸ばしたプラチナ板を当ててハンマーで
叩きながら板を丸棒に巻き付けるイメージで板を丸めます。
丸めていくと繋ぎ目(合わせ目)が出てきますが繋ぎ目に
隙間が出ないようにピッタリと合わせる事がポイントです。
というのも繋ぎ目に隙間が少しでもあると溶接をした時に
隙間が溶けて食い込んだり割れたりという不具合がでます。
溶接に不具合が出ない為にも綺麗に処理をすることが大事。
共付けという難易度の高い溶接
ジュエリーコウキで指輪を作るときは共付け(ともづけ)
という難易度の高い溶接作業をしてリングの溶接をします。
一般的にはロウ付け(ろうづけ)という溶接が普通ですが
当店の場合では鍛造にこだわって指輪を作っていますので
指輪の溶接部分の強度にもこだわっているので共付けです。
共付けとは、リング本体と同じ地金を使って溶かす事です
本体と同じ地金を薄く伸ばして繋ぎ目に挟んで溶かします。
溶ける温度、融点が同じなので一緒に溶けるリスクも当然
ありますが成功すれば同じ地金で相性もよく強くなります。
共付けが成功すれば
完璧なリングの完成
共付けが成功すれば繋ぎ目のないリングの完成となります
リングの形になったら次はお客様のサイズまで伸ばします。
再度、丸棒に月形リングを入れて金槌で叩いて伸ばします
丸棒は先端が細くて根元が太くなっている鉄棒なんですね。
先端の1番細い円柱が1号、根本の1番太い円柱が30号。
ちょうど真ん中あたりが15号という事で、お客様の指の
サイズに合わせて叩いてサイズを伸ばしていきます(^-^)
手作りで一文字リングを作っているのでサイズも自由自在。
出来合いの既製品のように1号単位ではなく0.5号単位
もっと言えば0.1号単位なども手作りなので可能です!
一文字ダイヤリングの幅の広さを合わせる
一文字リングのサイズが確定したらリングの幅を削ります。
けっこう金槌で指輪を叩いていたので幅が広がっています
ダイヤモンド1つ1つの直径を確認しながら削ります。
リングの側面を削る作業は、しっかりと合わせる事が重要。
一文字ダイヤリングの石の両脇に縁を入れるので縁の幅を
統一させないと太い縁や細い縁がでるので縁を合わせます。
一文字リング ダイヤの配列を合わせる
一文字ダイヤリングの石が入る位置を決める超需要な作業。
ここでもし計算ミスをしてしまえば石が入りません(涙)
彫金用コンパスを使ってリングの表面に設計図を書きます。
どれだけ細かいラインが増えても構わないのでミスらない
ように書いたライン上に実際ダイヤを置いて確かめながら
1つ1つの石の位置を決めていく本当に重要な工程ですね。
彫り留め(石留め)をする為の彫金
正確な設計図をリング上に書きこんだら設計図に合わせて
穴を開けたり削ったり彫ったりという彫金作業に入ります。
ダイヤモンド1つ1つの小さな爪を作ったり台座だったり
とにかく細かい作業で、使う道具も小さい道具ばかりです。
例えば先端工具や鏨(たがね)という超小型の彫刻刀です。
ダイヤモンドの石留め作業の事ですが、このように彫って
石を留める手法を「彫り留め」といって伝統技法なんです。
鏨(たがね)で彫ると光るのが特徴的な石留め方法ですね。
一文字ダイヤリングの爪を作る
7つのダイヤを一文字リングに留めるために爪を作ります。
小さいダイヤやエタニティリングなら2つのダイヤを同時
に留める共有爪という手法で留めますが一文字は違います。
ダイヤモンドの1つ1つの大きさがバラバラという事と、
グラデーションにするので爪が一定の大きさになりません。
また、仮に共有爪にしたとしても大きくなってしまいます
そこで、爪を2つに割って小さい爪を作ることにしました。
こうする事で1つのダイヤを4本の爪で押さえる事になり
安全という事と、爪の全体バランスも良いと判断しました。
一文字リングにダイヤを入れて留めます
いよいよ一文字リングの空枠にダイヤが入っていきます!
7ピースのダイヤ全て大きさが違うので間違わないように
確かめながら空枠に石を入れます(間違えたら入りません)
石と石の間隔だけを注意するのではなくて、石と石の高さ
にも気を付けて7つのダイヤが同じ高さになるようにして
高さが合わないなら彫金で石を沈めて高さを合わせます。
ミルタガネで丸い爪にします
割った爪をこのまま寝かせると四角のごつい爪になるので
ミル打ちを入れる時に使うミルタガネ(ナナコタガネ)を
使用してダイヤの丸さに合う形の爪、すなわち丸爪にして
寝かせながらダイヤモンドを1つ1つ丁寧に石留めします。
ミルタガネで爪を寝かせると立体感のある球体になるので
爪がピカピカ光りダイヤモンドの形と輝きがマッチします。
一文字ダイヤリングもエタニティリングも丸い爪がベスト!
1カラットのダイヤモンド
合計7ピースの一文字リング
大中小と7ピースあるダイヤが集まって合計1カラット!
一文字に繋がったダイヤモンドが合計で1カラットあると
一文字リングの画像を見てもすごく華やかに見えますよね。
指輪の画像だけでも見栄えが凄いのですが実物は更に凄く
角度によって7つのダイヤモンドのキラキラが動くんです。
という事は、指に付けて手を動かす度にキラキラ輝きます!
一文字リング 付け心地を良くする
付け心地の良さというのは指輪を作るうえで1番重要です。
どんなにデザインが素晴らしくても付け心地が悪いだけで
指に馴染まないのでストレスを感じて付けなくなります(汗)
指に馴染むようにするには指の形に合うように調節します
指輪の内側を楕円形のように丸くすれば滑らかになります
指と指輪がフィットして馴染むのが楕円形の丸さなんです。
今回の一文字ダイヤリングの総カラットは1カラットです。
1カラットもあるのでリングの幅がある程度広くなります
リング幅が広くなっても内側を楕円形にすれば大丈夫です。
彫金のキズを消しながら仕上げる
作業も終盤です!一文字ダイヤリングを仕上げていきます。
ヤスリでリングの全面を削りまくった彫金の跡があります
深い傷、浅い傷、細かい傷、様々な傷がたくさんあります。
どんな小さいキズでもプラチナリングを綺麗に魅せるには
キズは絶対に消さないと、最後まで残ってしまいますので
耐水性の紙ヤスリで水を含ませながら擦って傷を消します。
※耐水性なので水を含ませる事で研磨砂と水が混ざり合い
色んなキズの奥まで研磨砂が浸透して消えやすくなります。
ちなみにダイヤの部分は石留めの時に磨いてあるのでOK!
研磨ゴムで更に仕上げる
耐水性の紙ヤスリで彫金跡のキズを消したら次の仕上げへ。
紙ヤスリで擦っていたので、紙ヤスリの跡が残っています
細かい髪の毛のような線が無数にあるので消す作業ですね。
シリコンポインターという研磨ゴムを使って消す作業です。
リューターというペン型機材の先端にシリコンポインター
をセットして高速回転で回しながら紙ヤスリ跡を消します。
研磨ゴムには主に2種類の素材があって、細かい研磨材が
入った研磨ゴムで小傷を消してからシリコン製の滑らかな
シリコンポインターでリングを滑らかにしながら磨きます。
一文字リングをピカピカの鏡面にする
シリコンポインターでよく磨いたとしても光沢までです。
鏡のように反射をするレベルの輝きを出すには鏡面仕上げ
という磨きの作業をしないと鏡のような面にはなりません。
ヘラ掛け(へらがけ)という作業が鏡面を出す作業です。
ヘラ棒という工具を一文字リングに押し当てて潰すように
リングの表面を力を入れて撫でていくと鏡面になるんです。
基本的には一文字リングは鏡面に仕上げるのが普通ですが
お好みで艶消しのマット加工にしてもダイヤモンドが逆に
目立つので作り手としての意見ですが艶消しも全然OKです。
最後にバフで一文字リングを磨く
バフ掛け(ばふがけ)これが最後の磨き作業になります。
ヘラ掛け作業で磨いて鏡面仕上げになった一文字リングを
バフという磨き布や磨き紙の集まった束で徹底的に磨きます。
ヘラ掛けで磨いた鏡面が、バフの威力でもっと光るんです。
反射度も上がるので鏡のようになって周りの景色が写ります
ダイヤモンドも一文字リングも光の相乗効果でより輝きます。
使わなくなった古いダイヤの指輪を
一文字リングにリフォームしました!
お預かりした昔のダイヤのリングが一文字リングに変身!
4本あった使わなくなった指輪をリフォームいたしました
7ピースあるダイヤも、まとめれば1カラットになります。
使わない指輪を閉まっておくよりも、リフォームをすれば
デザインも新しくなるし使った方が嬉しいと思います(^-^)
鍛造で鍛えながら作った「自慢の一文字リング」です!
出来合いの既製品の一文字リングは、変形してしまうと
ダイヤを抑える爪が浮くのでダイヤが外れてしまいますが
鍛造は変形しにくいのでダイヤも外れにくいので安心です
記事の最後に、こちらの1カラット一文字ダイヤリングを
動画で撮影しましたので色んな角度からご覧頂きたいです。
一文字リングのリメイクでした。ありがとう御座いました。
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株式会社ジュエリーコウキ
今までリメイクをした過去のリメイク記事が沢山あります
リメイクの参考にご覧下さいませ → 過去のリメイク記事
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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント以下と言われるほど鍛造リングは少ないです
その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為
伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います
指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。
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