サイズ直しが出来るハーフエタニティリングの作り方-ダイヤ彫り留め

手作り指輪の専門店、ジュエリーコウキです
新潟県長岡市にある工房で手作りしています

当店2代目で宝飾職人歴25年の私、池田が書くブログ
鍛造(たんぞう)という伝統技術で指輪を手作りします
鍛造とは指輪の地金を鍛えて育てて造る伝統技法です。

刀を作るような鍛冶作業で指輪を作るという伝統工芸
リングの地金をハンマーで叩いて鍛えての鍛冶作業で
作る事から鍛造リングと呼ばれている希少な製法です。

鍛えれば鍛えるだけ密度が増すので強くなるんですよ
密度の増した地金で作るエタニティリングは頑丈です
鍛造のエタニティリングは全国でもほぼありません!

宝飾職人

さて、前回の記事でハーフエタニティリングを鍛造で
作るという内容を書きましたが、その続きになります。

前回は、エタニティリングに入れるダイヤに合わせて
先端工具や鏨を使って彫り出す「彫り留め」の様子を
お伝えしましたが今回は指輪の完成までお伝えします。

前回の記事はコチラ→エタニティリング制作・彫金編

 

ざっと前回の記事のおさらいを簡単に説明いたします

鍛冶で鍛えて伸ばしたプラチナを丸めてリングにして
溶接でリングを繋げてからお客様のサイズまで伸ばす。

そしてハーフエタニティリングに入るダイヤの直径と
隙間と数を計算しながらリングに設計図を描きました。

設計図に合わせて指輪にドリルで穴を開けたり、鏨や
先端工具で削ったり彫ったりで石枠やフチや共有爪を
作り出すという彫金作業で彫り留めで、その続きです!

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彫り留めの終盤は、凄く小さい鏨(タガネ)を使って
ダイヤを留めるのに必要な共有爪を1つ1つ作ります

共有爪とは、一般的には爪で留める石留めの場合は、
1つの石に爪を4本で押さえて留めるのが普通ですが

共有爪というだけあって、石と石の間を爪1本、上下
で合わせて2本になりますが1つの爪を共有して使用

共有爪はエタニティリングにとっても重要な爪

ダイヤモンドが繋がって入るエタニティリングには、
必要不可欠な爪なのでダイヤとダイヤの間に隙間なく
作って尚且つ高さや間隔も均等にすることが必須です。

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サイズ直しが出来るエタニティリング
それこそがハーフエタニティリングです

結婚指輪と婚約指輪を、共有とした記念のリングなので
サイズが変わってもサイズ直しが出来るようにとの事で
ハーフエタニティリングを提案させて頂いていたんです。

エタニティリングは想像以上にサイズ直しが難しいです
その内容も記事にしました→エタニティリングのサイズ直し

作業工程に戻りますが、フルエタニティリングと違って
約半分のダイヤモンドが指輪の表面にずらっと繋がって
入る事になるので、ダイヤモンドの最後の箇所も綺麗に
タガネで真っ直ぐ彫って、彫り留めの端を完結させます。

こういった細かい部分の彫金作業も丁寧に心がける事で
エタニティリングの完成度がアップしていくんですね!

こちらのハーフエタニティリングにはダイヤモンドが
全部で18ピース埋め込まれます(直径1.6ミリ)

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ハーフ(半分)といってもリングの半分以上のスペースに
ダイヤモンドが埋め込まれるので結構な数が入りますね
上から見るとフルエタニティリングとほぼ変わりません。

そしてエンゲージリングとしても使って頂く指輪なので
ダイヤモンド全部がランクの高い質の良い石を使います。

石が小さくても綺麗な上質のダイヤだと輝きが違います
この綺麗なダイヤが並べば必然的に輝きが繋がります!
エタニティリングはダイヤの輝きが繋がるのが魅力です。

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エタニティリングの石留め(彫り留め)

共有爪をミルタガネできっちり寝かせて石留めをします

ミルタガネとは、ミル打ち(ミルグレイン)を打ち込む
為の鏨工具になりますが、この工具で爪を留めると爪が
丸くなって可愛くなりながら綺麗に留まるので超お勧め。

普通の爪留めは、四角か三角の爪の形になるのが主流で
ミル打ちのように丸くなるよう留める方法もお勧めです
エタニティリングにマッチする相性の良い爪の作り方です。

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丸い爪は光るのでダイヤモンドと相性が良い

今回のリングは1.6ミリの小さいダイヤということと
ダイヤとダイヤの間に隙間がほぼナシという設計なので
爪をダイヤとダイヤの間の上下で留める共有爪なんです。

石の上下2ヵ所の爪だけで留める石留め方法になるので
一般的な石留め爪の半分の数まで減らす事が出来るので
余計な爪は使わずスッキリでダイヤを目立たせられます。

ルースとルースの間が空く設計の場合やダイヤが大きい
場合は、爪を増やして1つのダイヤを爪4本で留めます
エタニティリングのデザインによって留め方を変えます。

※当店は基本的に、小さいダイヤをエタニティリングに
使う場合は共有爪を使ってダイヤの石留めをしています。

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ハーフエタニティリングにダイヤが
18ピース全部入って留まりました

指輪とダイヤのバランスと爪のバランスが絶妙で完璧!
1つ1つダイヤを丁寧に留めていくエタニティリングは
手作りとなると石枠作りから石留めまで手間がかかります。

ダイヤモンドが18ピース全部ハーフエタニティリングに
埋め込まれたのでハーフエタニティリングがついに完成!
と言いたい所ですが、まだまだ仕上げ作業が残っています。

確かに手間のかかる彫り留めの、石留めは終わりましたが
ハーフエタニティリングを磨く作業がこれから始まります
この仕上げの傷消し磨き作業も本当に大切な工程なんです。

石留めが綺麗でも、エタニティリングの磨きが汚かったら
それだけでエタニティリングが死んでしまいます(涙)
そんな事にならないように仕上げにも手抜き一切ナシで!

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彫金で出来たキズを消す

ヤスリで削ってでた細かい傷(彫金跡)を更に小さくします
耐水性の紙ヤスリがお勧め(水をつけながら使用します)
紙ヤスリで何度も擦り、傷が目立たなくなるまで擦ります

一部分だけ集中して擦り過ぎると一部が凹んだりするので
例え傷が何カ所もあったとしてもバランスよく指輪全体に
擦るようにするのが綺麗に仕上げるポイントになります。

小傷が目立たなくなるレベルまできたら、次は高速回転の
リューター機というペン型工具(歯医者さんのイメージ)を

リューターの先端にシリコンポインターという研磨ゴムを
セットして紙ヤスリで擦った小傷を消していく作業です。

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プラチナに残ったキズを段階的に
小さくして最終的には完全に消す

この作業も紙ヤスリと同様にバランスよく全体を磨きます
先程のように一箇所に集中してしまうと同じように凹みます。

まず、研磨用の荒いゴム、シリコンポインターで仕上げて
小傷が目に見えなくなるまで何度も磨いて消していきます。

そして傷が消えたら、磨き専用の青いシリコンポインター
で同じようにハーフエタニティリングの全面を磨きます
磨きを繰り返すとハーフエタニティリングが光ってきました。

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このように順番で磨き作業がリレー状態で続いていきます
うまく磨きのバトンタッチができないと、仕上げに影響が
出てしまうので1つ1つの磨き作業を丁寧にこなします。

プラチナにあったキズが全て消えて光沢になってきました
しかし、光沢といってもプラチナ特有の鏡面にはまだです
鏡のような鏡面にするにはヘラ掛けという工程に進みます。

ペンにも似ている超硬ヘラ棒という工具で磨くのですが
磨くというよりも地金に押し付けて滑らせて小傷を潰す?

そんなイメージのほうが合っているかもしれませんね~
なので結構な力で押し付けて磨かないと光らないんです
鏡面仕上げにする為に、ヘラ掛け(へらがけ)をします。

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ヘラ掛けでプラチナを鏡面仕上げ

ハーフエタニティリングのリング全面をヘラ棒で磨きます
ダイヤモンドを抑えている共有爪も小さいですが磨きます
何度も磨いていくと、ピカピカ光る鏡面になっていきます。

この鏡面仕上げ(光沢仕上げ)は、ヘラ棒の磨き方次第で
決まる大事な最終工程なのでムラが僅かでも出ないように
とことん手間をかけて鏡面を生み出す凄く重要な作業です。

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バフ掛け(ばふがけ)

鏡のように反射をする輝きが出たハーフエタニティリング
ヘラで磨きあげたら最後にバフという高速回転の円盤布で
がっつりとハーフエタニティリング全体を磨けば完成です。

写真では、リューターの小さい先端バフで磨いていますが
この後はバフ機という大きな磨き機で仕上げて完成します
これで本当の最後の磨き作業ですので徹底的に磨きます!

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バフ機は物凄くパワフル!

バフ機はとてつもない勢いで回っている円盤型の布なので
ハーフエタニティリングが円盤の回った力で飛ばされない
ようにしっかりと指で掴みながらがっつりと磨き倒します

ちなみに、強烈なパワーすぎて指輪自体が超熱く熱します
素手で掴んでいるので火傷も日常茶飯事、危険な磨き作業
魂を込めて作っている指輪は、磨き作業も命がけでします!

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ハーフエタニティリングが完成しました
鍛造で作り上げたエタニティリングです

ついに手作りのハーフエタニティリングが完成しました!
指輪の素材、プラチナを鍛え上げて作った鍛造リングです
密度が増したプラチナで作ったので変形しにくくてグッド

基本的にエタニティリングはダイヤの石枠の集まりなので
石枠や爪などで地金が少なく強度が弱いというデメリット
がエタニティリングにはどうしても付きまといます(汗)

もしエタニティリングが変形をすれば爪が起き上がるので
ダイヤが外れてしまいます(既製品の修理をよくします)
石が外れるだけでなく石枠が潰れれば直す事ができません。

しかし、鍛造で作るエタニティリングは地金密度が高くて
強度もあるので変形しにくいというのが最大のメリット!
しかもフチもあるので強度が増すので安心感が違いますね。

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鍛造のエタニティリングは手作りでしか不可能

出来合いの既製品のエタニティリングは鋳造製法です
鋳造(ちゅうぞう)とは、エタニティリングの枠の原型に
溶かしたプラチナを流し込んで固める一般的な方法です。

世の中のジュエリーの95%以上がこの鋳造で出来た商品
石枠も爪も流し込んで作るので強度は流し込んだままです
そんな訳で既製品のエタニティリングは曲がりやすいです。

鍛造のエタニティリングは鍛えて造ったプラチナリングを
削って彫って石枠や爪やフチを作るので強いという事です。

当店で制作するエタニティリングは全て渾身の鍛造リング
フルエタニティリングでも、ハーフエタニティリングでも
同じ工程で手間をかけて、とことんこだわって造ります!
記事を最後までご覧頂いてありがとう御座いました(^-^)

 

フルエタニティリングの制作記事もあります!
指輪の全面にダイヤが入っているので凄く魅力的です

記事はコチラ → ダイヤ・フルエタニティリングの作り方

 

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私が作る鍛造の結婚指輪の一覧は→コチラ

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
5パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

結婚指輪の一覧です → ジュエリーコウキ 結婚指輪の一覧
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