カラーダイヤの色は天然と人工がある~珍しい緑ダイヤで婚約指輪を作る

鍛造ジュエリーの専門店・ジュエリーコウキです
当店2代目の私、池田が手作りをするジュエリーを
詳しく解説をしながら作る工程を記事にまとめます

鍛造(たんぞう)は素材を鍛えて造る事をいいます
伝統工芸なので技術を受け継いだ匠しか作れません
世界中でもごく一部の専門店しか販売が出来ません

ジュエリーコウキの場合はメイン商品が指輪なので
鍛造で作る指輪=鍛造リングという事になりますね
鍛造の事は後で詳しく書きますがイメージ写真です

指輪 鍛造職人

2代目の私、池田が鍛造でリングを作っている姿

画像を見て頂ければ分かるかと思いますがジュエリー
の素材(プラチナやゴールド)を金槌で叩いて鍛えて
リングの形に作っていくのが鍛造製法と言うんですね

私は現在44歳、鍛造の職人歴は25年になります

普通のジュエリーを作る作家とは違ったガチの職人で
自分の親父も鍛造職人で今なお現役で頑張っています
親子で小さな工房で日本伝統技法を守り続けています!

 

 

さて、今回の指輪作りの記事でご紹介をする指輪は
エンゲージリングです。日本語では婚約指輪ですね

結婚指輪はよく作らせて頂きますがエンゲージリングは
年々その数が減っている状況で実に淋しいです(;´Д`)

一昔前はプロポーズの時に婚約指輪をプレゼントをして
結婚が決まった時は結婚指輪という流れだったのに(涙)
時代の流れなのか不景気の影響なのか婚約指輪が少ないw

しかし、結婚指輪にダイヤや誕生石などを入れたりして
婚約指輪と結婚指輪を一緒にしたデザインが多くなって
兼用として使われる人が多くなったなと感じます(^ω^)

カラーダイヤモンド エンゲージリング

手作りをさせて頂いた婚約指輪をご紹介いたします
すでに完成しておりますので完成写真をご覧下さい

エンゲージリングのデザインは、人気で定番のシンプル
甲丸リング(バレルリング)と言われる形のリングです
やっぱりシンプルなリングは昔から人気がありますよね

長く指にする機会が多い結婚指輪や婚約指輪ですので
場所を選ばないシンプルな指輪、つけ心地も良いですし
デザインが廃れる心配もないのでシンプルはお勧めです

婚約指輪に使われたカラーダイヤについてになりますが
カラーダイヤにも色々なカラーがありますが今回は緑色
0.3カラットのグリーンダイヤモンドを使用しました

カラーダイヤモンド グリーン

グリーンと言ってもエメラルドのような濃い緑ではなく
アイスグリーンという種類で黄緑というか薄い緑色です
写真を見て分かるかと思いますが結構キラキラ輝きます

無色透明のダイヤと色のついた
カラーダイヤモンドの比較とは?

”見た目が違うじゃん”と一言で片付けるのは駄目ですw
基本的にはどちらのダイヤモンドも石本体は天然石です

中には天然ではなくジルコニアやガラス類もありますが
当店で使うダイヤはどちらも間違いなく天然石のダイヤ

 

基本的に無色透明で凄く綺麗な
ダイヤであれば着色はしません

グレードのランク、石のレベルが高いダイヤはそれだけで
希少価値があるので着色をしたら逆にレベルが下がります

しかし色をつけるのは汚い石と決めつけるのも間違いです
というのもダイヤを研磨したり加工をするダイヤのプロが
どうすればよりダイヤを美しく魅せれるかで判断されます

 

最初からダイヤに色がついている
天然のダイヤモンドも存在します

天然色のカラーにより大幅に価値(相場)は違ってきますが
例えば滅多に見る事ができない天然色の赤色、レッドですが

ダイヤ10,000個に1つ 100,000個に1つとも言われるので
めちゃくちゃ希少価値が高くなりますので高額になります

イエロー系や茶色系のブラウンカラーは割と出やすいですが
それ以外のカラーダイヤとなると天然色では滅多に見ません

たまに見る代表的な色がピンク色の天然ピンクダイヤモンド
これはメレダイヤとして扱われる小さなダイヤでも1ルース
数万~10万以上、ピンクの濃さによって価値も変わります

 

人工的に色彩をダイヤモンドにつける事を
トリートメント加工 トリートメントダイヤ

天然のダイヤを放射線処理や高熱処理で石に色をつけます
放射線処理と聞くとドキッとしてしまいますが大丈夫です

ダイヤにも人体にも無害で影響がないのでご安心下さいね
トリートメント加工で生み出される色は豊富にあります
天然色には無い色合いも沢山ありますので色彩が豊かです

簡単にカラーダイヤモンドについて説明させて頂きましたが
店頭やネットショップでよく見るカラーダイヤのほとんどは
トリートメント加工をしたカラーダイヤモンドが一般です

結構前に0.3カラットの天然ピンクダイヤモンドの指輪の
ご注文を頂いた事がありましたが当時でもかなり高額でした
今はもっと高騰しているのでとんでもない価格だと思います

トリートメントダイヤの色の種類は
これだけあります(カタログです)

カラーダイヤ 種類

このカタログに写っているカラーダイヤモンドの他にも
他のメーカーで探すとまた違った色のダイヤもあります

婚約指輪に使わせて頂いたグリーンダイヤモンドですが
天然石にトリートメント処理をした人工色ダイヤモンド

傷無しでカットが綺麗なダイヤなので安くはないですね
トリートメント加工のダイヤでもピンキリという事です

カラーダイヤモンドの説明については以上になります
ここからの記事は、ダイヤを支えるリングの作り方です
ジュエリーコウキで指輪を手作りする時は溶解作業から

プラチナ 溶解

プラチナで指輪作り

カラーダイヤモンドを支える台座を作っていきます
台座といっても石枠を作るルースセッテイングでなく
指輪のトップにルースが入るスペースを作るんですね

カラーダイヤを指輪のトップに埋め込む事になるので
婚約指輪のセンターが肉厚になって幅も広くなります

そして婚約指輪の下にいくに従って細く薄くなります
このようなリングの形状の事を月形リングと言います

カラーダイヤのサイズ(直径や肉厚)を正確に計って
リングを作る為に必要なプラチナの重量を決定します
そして酸素バーナーで溶かして塊にして制作開始です

プラチナ 画像

鍛造リングの作り方

記事の冒頭にジュエリーコウキは鍛造の専門店だと
書きましたが当店自慢の鍛造製造で指輪を作ります!

鍛造とは鍛えて造る事から鍛造と呼ばれています
金槌でトンカン叩いて指輪の素材を鍛えていきます
刀を作る伝統技法も昔からありますがほぼ同じです

カラーダイヤが入る婚約指輪の地金をまず鍛えます
指輪の素材、プラチナを金床と呼ばれる鉄板台に乗せ
ヤットコで地金を固定をしてハンマーで叩き続けます

プラチナ900 画像

四面から叩いて四角形にします

溶かしたプラチナは丸い形です(溶解皿が丸いので)
この丸い形から最終的には四角形の板状に伸ばします

まず最初は丸いので四方向からハンマーで叩き上げて
四角形に整えていきます(万遍なく叩く為に四面です)

プラチナ 鍛造

鍛造のメカニズム

鍛造製法の仕組みを詳しく説明をさせていただきます
鍛えて造るから鍛造だと言いましたが実際に”鍛える”
というメカニズムはシンプルなのですが奥が深いです

プラチナに限らず地金全般は(ゴールドもシルバーも)
微量な空気(気泡)が含まれている事が多いんですよ
その微量な空気の事を「す」と専門用語では言います

プラチナ 長方形

ハンマーで地金を叩いて、締め上げる作業を続けると
粒子が詰まってくるので地金がカチカチに固まります

そこで酸素バーナーで真っ赤に焼くと(焼きなまし)
また地金が柔らかく戻るので再度ハンマーで叩けます

叩いて焼いての地道な繰り返しで”す”が抜けるんです
同時に粒子が詰まっていくので密度が上がるんですね

プラチナ なます

鍛造リングは密度が増しているリング

気泡が抜けたプラチナでしかも密度が高いという事は
強度が上がったプラチナに変化したという事なんです

それだけではなく、地金の粘り強さも兼ね備えるので
リングが変形しにくくなるんです!素晴らしいですね
素材が頑丈なので凹みや傷もつきにくくなるんですよ

カラーダイヤモンドを使ったエンゲージリングなので
変形に強いというのは最大のメリットとなりますよね

※出来合いの既製品はリングが変形すると石が外れる

DSCN9139

カラーダイヤの肉厚に合わせて作る

結婚指輪の場合は、ストレートなフォルムが多いので
リング幅の広さと肉厚が同じサイズの場合が多いです

しかしエンゲージリングの場合はカラーダイヤモンド
をメインにして指輪の形を作る必要があるので指輪の
幅の広さと肉厚が当然ですが上と下で異なってきます

カラーダイヤモンドの尖ったお尻がリングの内側から
出ないようにその部分を分厚く作る必要があるんです
これから作る指輪の形状が「月形」という形なんです

DSCN9142

エンゲージリングのセンタートップ、カラーダイヤに
必要なリング幅と、肉厚を調節をして作っていきます
カラーダイヤモンドのサイズによって変わってきます

エンゲージリングのトップは肉厚にしていきますが
リングの下になる部分は細く薄くなるように作ります

今回の指輪はどうしてもメインがカラーダイヤなので
カラーダイヤモンドが指輪に入った事をイメージして
バランスを考えながら月形にする必要性がありますね

DSCN9149

月形リングの作り方(カラーダイヤ バージョン)

月形の形状を鍛造で作る場合、最初はごついんです
四角になった地金を叩いて伸ばすので当然ごついです

最初から細く作ろうとするとバランスが取れません
細く薄くしていくのはカラーダイヤが入る中心部分が
ある程度できたら全体を細く薄くする必要があります

カラーダイヤモンドが入る中心部も必要な幅と肉厚が
確保できればギリギリまで細くするとスッキリします
カラーダイヤありきのデザイン、バランスは重要です

DSCN0265

カラーダイヤが入る事を考えたフォルム

画像の形のプレートを丸めると月形リングになります
月形リングは最初はこんな不思議な形なんです(^ω^)

真ん中の幅広で肉厚の部分にカラーダイヤが入ります
カラーダイヤが入る所以外は細く薄くなっていきます
丸めてリングの形になる前にここまで仕上げるんです

次回の制作記事でカラーダイヤのエンゲージリングが
完成するまでをがっつり書きますのでお楽しみ下さい

今回の記事ではカラーダイヤモンドの種類や比較や色
またカラーダイヤを入れる月形の作り方を書きました
最後まで記事を読んで頂いてありがとう御座いました!

こちらの記事の続きは下記からご覧いただけます
グリーン カラーダイヤモンド 婚約指輪を手作り

 

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
5パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

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