ブライダルジュエリーの専門店・ジュエリーコウキです
当店2代目の私、池田が職人として書く指輪作りブログ
というのも私は指輪を作るバリバリの職人です(^ω^)
鍛造(たんぞう)という日本伝統技法で作る指輪です
新潟県長岡市の田舎の小さな工房で地道に作っています
手作りが流行っていますが誰でもできる手作りではなく
昔からの伝統技術を受け継いだ鍛造職人という事ですね
江戸時代から伝わる刀鍛冶と似ている製造方法なんです
例えばプラチナで結婚指輪や婚約指輪を作る場合ですが
指輪の素材となるプラチナを鍛えて造るという製造方法
特殊な製造方法から全国で一握りの宝石店のみ製造販売
最初から最後まで鍛造で作り上げた品を
鍛造リングや鍛造ジュエリーと呼びます
前回の記事でカラーダイヤモンドの事を語りましたが
今回の記事で実際にカラーダイヤで婚約指輪を作ります
緑色のグリーンダイヤモンドを使ってエンゲージリング
を手作りする訳ですが制作工程の続きとなります(^ω^)
前回の記事はこちらから → カラーダイヤモンド比較
0.3ctのカラーダイヤを使いエンゲージリングを作ります
どんなサイズのカラーダイヤでもバランス重視で作ります
まずは完成した婚約指輪をご覧ください。こんな感じです
カラーダイヤモンドは緑色のグリーンダイヤを使いました
カラーダイヤを埋め込むプラチナリングは”月形甲丸”です
カラーダイヤモンドのルースで
エンゲージリングを手作りします
月形甲丸(つきがたこうまる)とは
甲丸リングは定番で有名なので皆さんご存知かと思います
昔はカマボコと呼ばれており”板に乗った蒲鉾”に似ている
事からカマボコと呼ばれていて昔から定番のデザインです
月形リングはリングを横から見ると三日月に見える為です
横から見ると厚い部分と薄い部分があって確かに見えます
月形リングを甲丸にすると月形甲丸リングという訳ですね
さて、それではカラーダイヤを使ったエンゲージリングが
完成するまでを記事にしますので最後までご覧ください!
前回の工程でアップをした制作画像からの続きです
真っ直ぐに伸びていますが丸めると月形リングに!
このプレートを丸める前に最終の確認が必要となります
それはリングのサイズ(号数)を確認する事なんですね
ちなみに10号のリングに必要な長さは約55ミリです
例えば、1ミリ長くなったら1号も号数が伸びてしまい
逆に1ミリ短くなったら1号も号数が縮まるんですよね
お客様のリングのサイズを確認してから長さを揃えます
鍛冶で伸ばした板を丸めてリングにする
幅と厚みが一定なストレートなリングなら板を綺麗に
丸めやすいのですがカラーダイヤが入る部分だけ厚くて
他の部分が細くて薄くなっているので丸めずらいんです
肉厚が薄い部分はすぐに曲がって丸める事ができますが
肉厚が厚いカラーダイヤが入る部分は硬くて丸めずらい
ので色々な工具を使って綺麗に丸めていく事になります
リングに丸めた繋ぎ目を”ロー付け”
ジュエリー業界では溶接作業の事をロー付けと言います
リングの繋ぎ目に隙間がでないようにピッタリと合わせ
合わせた隙間に薄く伸ばしたプラチナを挟み込むんです
そして酸素バーナーの強烈な炎で薄いプラチナを溶かし
リングの繋ぎ目を完全一体化させて馴染ませていきます
リングと同じ地金で溶かす場合は共付けと言います
ロウ付けは指輪本体よりも融点が低くて溶けやすい地金
を使って溶かすのですが、共付け(ともずけ)の場合は
指輪本体と同じ地金で溶かすので強度も強く相性も良い
ただ溶けにくいので(指輪と同じ溶解温度なので難しい)
難易度が高くなりますが当店は共付けを推奨しています
推奨する理由は、強度も高くひび割れや変色がしにくい
共付けで繋ぎ目がない完全なリングの輪が完成しました
そしてリングの形状になったこのリングを丸棒に入れて
金槌で全体を叩いて婚約指輪のバランスを作りだします
婚約指輪のサイズの号数を伸ばす
バランスの取れた月形リングの形にする為にハンマーで
叩いて全体の肉厚を調整してきましたが次はサイズです
お客様が指定されたサイズの号数になるように合わせて
伸ばす必要があるので金槌で全表面を叩いて伸ばします
予定よりもワンサイズ小さいサイズで作っておかないと
叩いて伸ばした時に指定サイズを超える恐れがあるので
お客様の指定サイズよりも小さくする事がポイントです
彫金(ちょうきん)スタート
削って彫って婚約指輪の形を作る
バランスのとれた綺麗な月形リングが出来上がりました
そして次は削ったり彫ったりして婚約指輪を形にします
基本的にはプラチナリングやゴールドリングを削る場合
鋼のヤスリで削っていくのが彫金作業の流れとなります
荒い目のヤスリで削って形にして細かい目で整える流れ
カラーダイヤモンドが指輪のセンタートップに入ります
カラーダイヤが1番綺麗に魅せれるように考えての彫金
指輪幅とカラーダイヤのバランスなどここで決まります
エンゲージリングのメインとなる
カラーダイヤをルースセッティング
カラーダイヤモンドの直径と高さと角度を計算しながら
微調整を繰り返して、カラーダイヤを落ち着かせる作業
最初は小さなヤスリで、おおまかに削っていくのですが
ルースセッティングの彫金作業がどんどん進むにつれて
ヤスリだけでは対応が出来ない細かい作業に到達します
そこでリューター機にセットをして使う先端工具などや
鏨(タガネ)といった対応ができる工具を使い削ります
婚約指輪はルースセッテイングが重要
婚約指輪としてカラーダイヤモンドをより綺麗に魅せる
事ができるかどうかは職人の石留めの技術にかかります
というのも、少しでもルースが斜めに入るとNGです!
せっかくのカラーダイヤのカット面がブレてしまいます
カラーダイヤのテーブル面のどのカットを魅せるかなど
向きを考えながらのルースセッテイングが必須なんです
ここでのセッテイングが婚約指輪のポイントとなります
婚約指輪で1番重要なダイヤのセッティング作業が完了
あとはダイヤをスペースに落ち着かせて石留め作業です
鏨(タガネ)という鋼鉄の棒でカラーダイヤモンドが
収まっているプラチナのフチを叩いてかぶせていきます
カラーダイヤモンドの角度とテーブル面に注意しながら
焦らず微調整を繰り返し縁を叩きながら石留めをします
石留め作業に集中しすぎて写真を撮るのを忘れましたw
他の記事で同じ石留め方法があるので探して下さい(汗)
こんな感じでプラチナ枠に綺麗にダイヤが収まりました
カラーダイヤモンドの
種類により価値と価格は違う
前回の記事でもカラーダイヤモンドの特徴を詳しく説明
をしましたがカラーダイヤモンドといっても値段は様々
前回の記事はこちらから → カラーダイヤモンド比較
カラーダイヤモンドのカラーには天然と人工があります
ダイヤのルースは天然石ですが色が天然と人工という事
天然は最初から(産出時)ルースに色がついています
綺麗な天然色のカラーダイヤはほとんど手に入りません
人工は機械と人の手で人工的にルースに色をつける方法
価値があって価格が高いのは当然ですが天然色のダイヤ
ただ天然では出せないダイヤの色彩を出す事が人工的な
トリートメントダイヤには可能なんですね(七色が可能)
人気のブルーダイヤもほぼトリートメントダイヤですね
真っ平のプラチナリングを甲丸の形にする
カラーダイヤモンドの石留めが完了したら次の工程へ
真っ平な婚約指輪のフォルムを丸く削り甲丸にします
結婚指輪を甲丸リングに彫金作業する時と同じ流れで
リングの角を段階的に削り落として丸くしていきます
丸さを強調したい時は指輪の角を急角度で落とします
※ダイヤを埋めているフチの箇所は削り過ぎ注意です
伏せ込みでかぶせている地金が薄くなる為にNGです
荒い目のヤスリから細かい目のヤスリに
荒い目のヤスリから、細かい目のヤスリに替えながら
表面の削り目をどんどん細かく綺麗に整えていきます
細かい目のヤスリをアブラメと言うのですがアブラメ
で整えながら削る事で、深い傷も浅く小さくなります
深い傷とは、荒目のヤスリで削るとどうしても削った
面に深い削り跡が残るのでアブラメが必要なんですね
細かい目のアブラメで仕上げないと深い傷は残ります
サンドペーパーで傷を消して
シリコンポインターで舐めらかに
アブラメで仕上げても細かくて浅い傷は残っています
更にアブラメよりも細かいサンドペーパーで擦ります
サンドペーパーの種類は耐水性の紙ヤスリを使います
耐水性なので水をつけて擦る事で水と研磨砂が混ざり
傷の奥まで浸透して擦れるので小傷が綺麗に消えます
サンドペーパーで傷と凹凸を綺麗に消す事ができたら
次はシリコンポインター(研磨ゴム)で仕上げます
荒ヤスリ→アブラメ→紙ヤスリ→シリコンポインター
この順番でどんどん小傷を無くしながら擦り続けます
シリコンポインターですが、こちらもヤスリと同様に
荒いゴムから柔らかいゴムまで揃っているんですよ
荒い研磨用のゴムでサンドペーパーの細い線のような
線傷を消して(ヘアーラインと呼ぶ)そして柔らかい
磨き用のゴムで表面を滑らかにしていきます(^ω^)
そして最後の磨き仕上げはヘラ掛けです(へらがけ)
ヘラ掛けを制する者は磨きを制すると自分は思います
ヘラ掛けをする事で面が鏡のような鏡面になるんです
光沢になったエンゲージリング
ヘラ棒をプラチナリングの磨きたい部分に押し付けて
面を潰しながら滑らせる事で鏡面が誕生していきます
かなりの力を指と腕に込めながら、ぐいっとヘラ棒を
指輪に強くあてて”押して潰して磨く”それがヘラ磨き
ミクロの傷がどんどん潰れて滑らかになり鏡面が誕生
つや消しのマット加工の場合は、ヘラ掛けはしません
ヘラ掛けは鏡のように反射をする鏡面を作る場合のみ
そして最後にバフ機という研磨機で一気に磨きます
バフとは研磨布や研磨紙が集まってできたものです
高速回転で回転するバフに指輪を押し当てて磨きます
回るバフに指輪が持っていかれないように握りながら
バンバン徹底的に指輪を磨き鏡面度を増していきます
強烈な回転数で指輪が高熱になるので火傷に注意です
超音波洗浄でバフの繊維を洗い流せば
カラーダイヤモンドの婚約指輪が完成!
ピッカピカの光沢面になったプラチナの婚約指輪に
グリーンのカラーダイヤがマッチングでバッチグー!
親父ギャグセンスはいまいちも指輪センスは最高です
ちなみに今回は、ピッカピカの鏡面で仕上げましたが
つや消しのマット加工で指輪を仕上げる事も可能です
カラーダイヤモンドの見え方も変わるんですよ(^ω^)
無色透明のダイヤモンドで婚約指輪をよく作りますが
カラーダイヤモンドで作る婚約指輪も一味ちがうので
お客様のお好みでダイヤを選んで頂ければと思います
完成までお付き合いを頂きありがとう御座いました!
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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
5パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです
その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為
伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います
指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。
お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
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