槌目とは?金槌で打つ跡【鍛造】結婚指輪にオリジナル 桜の槌目加工

結婚指輪を手作りで作る宝石店、ジュエリーコウキ
日本伝統技法の鍛造(たんぞう)で作る鍛造の専門店

鍛造リングとは、指輪の素材となるプラチナやゴールドを
ハンマーで叩いて鍛える鍛冶で密度を上げながら作る製法。

鍛造は日本伝統技法で、昔から代々受け継がれてきた技で
特殊な宝飾技術ですので全国的に鍛造リングは希少な指輪
お蔭様で全国各地から鍛造リングのご依頼を頂いています。

私、池田は当店二代目で宝飾職人として29年しています
師匠である父から鍛造技術を受け継ぎ鍛造を守っています
新潟県長岡市の自社工房で私が鍛造リングを作っています。

ジュエリー職人

【結婚指輪に桜の槌目加工】

ご紹介をさせていただく鍛造の結婚指輪は桜の槌目リング

大阪のお客様から制作のご依頼をいただき作っております
当店を探していただいて本当にありがとう御座いました!

前回のブログで、指輪作りの前半の工程をアップしました
本日はその続きの指輪作りとなりますのでご覧下さいませ。

前回の記事はコチラです→槌目加工の結婚指輪を制作

自作 たがね

桜の形をした鏨(たがね)を叩いて
結婚指輪に桜の花びらを打ち込む

前回の記事のおさらいになりますが桜の形をした鏨という
工具でリングの上から叩いて打ち込んで桜を作りだします。

前回の記事でも書きましたが、このタガネも自分で作って
桜の形を削り出した1つ1つ手作りして完成させた鏨です。

鋼を叩いて焼いて、削って磨いて制作した渾身の桜タガネ
この桜タガネを、槌目模様の結婚指輪に強く打ち込みます!

やり方は、桜の形に削った鏨の先端を指輪に当て固定して
鏨の根元をハンマーでガツンと強く打ち込んで凹ませます。

DSCN0766

桜の花びら1枚1枚を
リングに打つ槌目加工

前回のブログで、浅い鎚目を結婚指輪の表面に打ち付けて
ありますので、その槌目の上から桜を打ち込んでいきます。

適当に指輪に桜を打ち込んでは駄目、バランスを考えます
どの位置に花を入れればデザインになるか考えて入れます
最終的に何枚も入れる訳ですが、1枚1枚考えて入れます。

リングに入れた槌目模様が勿体ないと思うかもしれません
しかし、この槌目が下地というかベースにあるからこそ
桜の打ち出しの槌目加工に立体感が出て引き立つんですね!

槌目加工 リング

重複して鏨を叩くと、ぶれるので注意

桜の花びらのバランスを考えながらタガネを打ち込みます
何度も同じ箇所に打ち込むと、桜の花びらが重なりブレて
しまうので、1回で打ち込むのが綺麗に表現するコツです。

緊張しますが、本番一発勝負ということです

本当に一発本番で綺麗に打ち込むのはやはり難しいですが
何度も何度も練習して長年打ち込んだ技術があるからこそ
の感というかタイミングを体が覚えているので一発勝負で!

ちなみに、何度もリングの同じ箇所で鏨を打ち続けると
桜が重なってブレブレになりキズのようになるので要注意。

リング 槌目加工

複数枚の桜をバランスよく結婚指輪に打ち込む

どうですか?桜に少しづつ動きが出てきたと思いませんか?
花の枚数が増えていくにしたがって、動きが出てきました。

この現象は、桜の花を色々な角度で打ち込むことによって
桜の花びらが舞っている感覚を視覚で感じるからなんです。

もちろんですが角度だけで桜の花びらに動きが出たという
単純なものではなく、位置もそうだし打ち込んだ力加減で
桜の凹凸が出るのでそれも凄く関係しているんです(^-^)

リング 桜

自然体を出す為にアンバランスに
桜を打ち付けるテクニックも必要

バランスよく桜が打ち込まれていますが均等に同じ角度で
打ち込まれている訳ではなくて、よく見ると分かりますが
桜の花の向き?というか桜の角度や隙間が微妙に違います。

微妙に花びらの向きや位置、花びらの形が違う事によって
バランスを考えながら逆にアンバランスにもする事も必要。

ん~・・・説明がめっちゃ下手で申し訳ありませんがw
均等だけど均等じゃない所がポイント(どう説明したらw)
これは長年の経験で生きてくる職人のテクニックなんです。

桜 リング

桜がリングの中で舞っているように見えます
華やかで美しくて動きを感じる桜の槌目加工

バランス良くそしてアンバランスに(このバランスが重要)
体に染みついた宝飾職人としてのセンスもあると思いますが
指輪作りの基本をきっちりマスターしているからこその技術。

花びらがリングの中に全部入らなくても、一部分だけ入って
いるだけでその風景を切り取ったかのようにも見えるんです
細かい部分になりますがこの積み重ねで完成度が上がります。

結婚指輪 桜

結婚指輪ですの2本が同じに見えるように
花びらを入れる流れを統一させる事も重要

2本の結婚指輪のサイズが違ってても見た目を統一させます
2本の指輪を重ねると花の流れが揃っているのが分かります。

桜の花びらが舞ってるシーンを再現できたのが嬉しいですね
どの面からみても、桜の花びらがヒラヒラ舞い踊っています
自分で言うのも何ですけど、凄く綺麗な桜吹雪ですね(^-^)

やっぱりリングの下地に打ち込んだ槌目の存在が大きいです
しっかりとした槌目があるからこそ打ち出しも映えますので
こういう伝統技法はこれからも未来に繋げていきたいですね。

DSCN0776

結婚指輪の側面を削ってリング幅を調節

打ち出し模様をプラチナの結婚指輪に打ち込むと必然的に
リングの幅に影響が出てきますので全体の幅が広がります。

叩いて広くなった結婚指輪の幅をヤスリで削って整えます
こちらの桜の結婚指輪の幅は3.5ミリが完成版なので
リング全体が3.5ミリになるように計りながら削ります。

画像に写っている木製の板、擦り板にリングを固定をして
指輪の両方の側面を同じだけ削っていって幅を合わせます。

槌目加工 ペアリング

適当にヤスリで側面を削っている訳ではない

というのも、桜の花びらの打ち出した位置を確認しながら
桜の花びらの、どの面が1番綺麗で魅力的に魅せれるかを
それを考えながら側面を削る事が重要になる側面削りです。

1番よく見えてる桜の舞っている部分を削ってしまっては
せっかく舞った花びらが台無しになるので慎重に削ります。

リング幅を3.5ミリにする事だけに意識を集中しないで
まずは桜のどの場面を残して魅せたいかを意識するんです
それがバランスよく結婚指輪を魅せるポイントになります。

角落とし リング

リング角のバリ取り

結婚指輪の側面を削ると、鋭利な角がでてきます(汗)
そこで結婚指輪の角を落として着け心地を良くします

専門用語で削った時にできる鋭利な角を「バリ」と言って
本当に鋭利なので、作業中に指をスパッと切ったりします。

なので、バリが発生したら削って角をヤスリで落とします
指で角を確認しながら付け心地が良くなるまで落とします。

リング 角落とし

基本的にリングの角落としは、指への当たりが良くなって
つけ心地が良くなったら角を落とす作業は完了となります。

今回はお客様のご要望で、出来る限り角を落として下さい
とのご要望を頂きましたので出来る範囲で角を落とします。

しかし角を落とし過ぎると、せっかくの桜に影響するので
桜の花びらのリングのデザインバランスを崩さないように
出来る範囲でギリギリまで指輪の角を落としました(^-^)

ペアリング 槌目加工

バリを落とすとリングの角が痛くない

これでリングの角が指に当たって痛いという事がないです
結婚指輪は長く身につける大切な指輪なので付け心地が命!

リングの表面の着け心地が良くなったら次は内側もします
外側同様に、結婚指輪の内側の着け心地もすごく重要です
ですので次の工程は結婚指輪の内側を丸く削ります(^-^)

DSCN0784

つけ心地を良くする為にリングの内側を丸く削る

指輪の裏側は、指輪の表面みたいに角を落とすだけでは
指への当たり&着け心地が良くなりません!(キッパリ!)

リングの角を落とすというよりも丸めながら削るんです
指の形に合わせるように微調整をして丸く楕円形にします
そうする事で指の形に合って滑らかにフィットするんです。

指輪のつけ心地はこだわっているので付け心地に自信あり!
一般的な既製品には真似ができないレベルの滑らかさです
優しく指に馴染む感じ(吸い付く感じ)の付け心地の良さ。

DSCN0785

内甲丸(うちこうまる)という手法です
リングの内側を甲丸のように丸くします

画像を見てすぐ分かると思いますが、指輪の裏側が丸い!
指の形状に合うように丸くしてあるので滑らかなんですよ。

さて、ここからは作業の工程上、発生した小さな傷を更に
小さくしながら消していく仕上げ作業の連続になります
作業の工程上に発生したキズとは、ずばり彫金跡の事です。

まず紙ヤスリで、彫金作業でできた深い傷を小さくします
紙ヤスリといっても耐水性の紙ヤスリで、水をつけながら
擦ると傷の奥まで水と研磨砂が入って消えやすくなります。

結婚指輪 鍛造

結婚指輪の表面は桜の打ち出した槌目
が入って完成しているので何もしない

桜の打ち出し槌目が入っている表面は完成していますので
ヤスリで削ったリングの側面とリングの裏側だけをします。

仮にもし間違えてリングの表を紙ヤスリで擦ってしまうと
桜の輪郭がだれてしまい桜の凹みも薄くなってしまいます。

次はリューターというペン型(歯医者さんみたいな道具)
の機材を使い結婚指輪の全体を磨く仕上げ作業になります。

DSCN0788

紙ヤスリで擦った細かいキズを消す

紙ヤスリでリングを擦ってキズを小さくして消しましたが
今度は、紙ヤスリで擦ったときに出る細かい傷を消します
ヘアーラインと言って、まるで髪の毛のような細い傷です。

リューター機の先端に、研磨ゴムのシリコンポインターを
セットをして、シリコンポインターを高速回転で回します
まずは茶色い研磨ゴムを使います(研磨材がはいっている)

指輪の一定の場所だけを磨くと、そこが凹んでしまうので
注意をしながら万遍なくバランスよく全体を磨くのがコツ。

茶色の研磨ゴムでヘアーラインを消したら次の磨き工程へ
青色のシリコンポインターで同様にバランスよく磨きます
青色のゴムに研磨材は含まれておらず磨き専用のゴムです。

DSCN0789

シリコンポインターの仕上げ作業も
紙ヤスリ同様に、指輪の側面と裏側

打ち出しリングを光沢に光らせる場合のみ、青色のゴムで
リングの表面を磨きますが、艶消しの場合は何もしません。

青色のシリコンポインターでのリングの磨きが完了したら
次は磨きにとても重要な鏡面磨きの”ヘラ掛け”に進みます
これまでの磨きでは光沢まででしたが鏡面の磨きをします。

超硬ヘラ棒というペンのような特殊な棒の工具を使います
力強くプラチナに当てて押して表面を潰していく方法です
この作業は本当に重要でこの作業次第で輝きが変わります。

DSCN0801

ヘラ掛けで鏡面仕上げ

シリコンポインターの青色で磨いているので、ある程度は
光沢に光っていますがそれでもヘラ棒で磨くのとは違います
鏡のような鏡面を出すには、ヘラ掛けは1番重要なポイント。

間違って違う方向へ滑らせると、深い傷が出来てしまうので
細心の注意をしながらする緊張感たっぷりの磨き作業です。

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バフ掛けで最終磨き、鏡面の完成

ヘラ掛けが終われば指輪はピカピカの鏡面になっています

しかし、ヘラ棒で力強く押し込んで指輪を磨いていたので
ヘラ掛け跡という本当に分からないほどの凹みがあります
その跡をバフという高速回転の円盤型の布で磨きあげます。

バフ機はパワフルに回転するグラインダータイプの機械と
リューターの先端にセットする小型のバフの2種類あって

凄い勢いで円盤の布が高速回転をしているので、しっかり
指輪を掴んでいないと、指輪が飛んでしまうので要注意!

DSCN0803

結婚指輪を艶消しマットに
仕上げれば完成となります!

これで桜の花びらデザインの結婚指輪が完成となります!
艶消しのマット加工で、桜の花はもちろんですが下地の
鎚目も艶消しで、結婚指輪の表面全体が艶消しになります。

打ち出しの艶無しマット加工はとても素敵なんです(^-^)
結婚指輪を長年して、使い込むたびに凹凸部分の艶消しが
薄くなって味わい深く変化して楽しむ事がずっと出来ます!

凹んだ打ち出しのマット部分は、艶消しのままで凸部分は
日常生活で使い込むたびに摩耗して光っていくんですね。

そして凸部分のプラチナは、滑らかに丸まり摩耗するので
使い込むたびに付け心地も良くなり馴染むという逸品です!

桜 結婚指輪

桜をモチーフにした結婚指輪です
花びらが舞って見える槌目リング

桜の花が、結婚指輪の中でヒラヒラと舞う様子が見えます
結婚指輪を艶消しのマットにしたことで桜がよく見えます。

もちろん光沢に光らせて同じデザインの指輪を作ることも
可能ですが、光り過ぎると花の輪郭がよく分からなくなり
花びらが何処にあるのかよく見ないと分からなくなります。

一般的によくある桜を線で表現した模様ではなく、珍しい
凹んだ桜の花びら、桜の花を打ち出した槌目の結婚指輪。

是非、結婚指輪の長年の変化を楽しんで頂きたい指輪です
制作のご依頼を頂いたお客様には心から感謝いたします!
結婚指輪を作らせて頂いて本当にありがとう御座いました。

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法

熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

ネット販売はコチラ→ジュエリーコウキ ヤフーショップ

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