結婚指輪【Pt900 鍛造】製造工程!幅4ミリ 平打ちリングに槌目加工

鍛造の結婚指輪 手作り専門店 ジュエリーコウキ
新潟県長岡市にある小さな工房で私が作ります!

今、結婚指輪を手作りするという事が流行っていますね(^-^)
当店でも手作りで結婚指輪を作っていますが他とはと違います
何が他とは違うのかというと伝統技法の鍛造で指輪を作ります

よくある手作り指輪はキャスト製法(鋳造製法とも言う)です
ロウワックス(材料がロウ)でリングの原型をロウ材で作って
原型を起こして溶かしたプラチナを流して固めて作る製法です

ジュエリーコウキの場合は、ロウ材で原型を作るのではなくて
最初からプラチナを金槌で叩いてヤスリで削って指輪にします

プラチナ素材そのものから手作りで作る日本伝統工芸なんです
世の中にあるジュエリーの1%しか存在しない希少な製法です

ジュエリー職人

画像のように(写真は私、池田です)金槌でプラチナを叩いて
鍛えながら指輪を手作りする事を鍛造(たんぞう)と言います

分かりやすくいうと鍛冶ですね=鍛冶場で指輪を作るイメージ
昔から受け継がれた製造方法で代々受け継がれた職人が必須で
私は父から受け継ぎ、父は東京の師匠の所で受け継いだ技です

 

【プラチナ結婚指輪 鍛造の製造工程】

さて、本日の記事も結婚指輪の制作工程をアップします(^-^)
結婚指輪の幅の広さが4.0ミリで肉厚のある指輪を作ります

リングに厚さがあると変形にも強くなるメリットもありますし
内側を丸く削って内甲丸に出来るので付け心地も良くなります
まず結婚指輪を作るのに必要なプラチナを溶かす作業からです

プラチナ 溶解

プラチナ溶解(ようかい)

プラチナに限らずゴールドやシルバーも含めて地金類を溶かす
事を溶解(正確に言うと難しい漢字の熔解が正解)と言います

結婚指輪は2本のペアリングですのでペアリングを作るうえで
必要となるプラチナの総重量を計算して割り出して溶かします
作ろうとするリング幅や厚み、デザインで総重量が変わります

溶かしたプラチナ

溶けたてのプラチナは真っ赤で高温

溶解皿という溶解専用の皿に入れて酸素バーナーで溶かすので
容器の形にそって溶け固まるのでこのような丸い形になります

溶けたてホヤホヤのプラチナは真っ赤で眩しく高温で熱いです
まるで太陽のようなエネルギーを感じる事ができます(^ω^)
ちなみにプラチナが溶ける温度は約1770℃という高温です

プラチナ 叩き方

鍛造の結婚指輪 作り方

世の中にあるジュエリーの中でも1%しかないと言われる鍛造
いよいよ鍛造で結婚指輪の作り方をガッツリと公開いたします

鍛造リングを作るうえで欠かせない道具が金槌と角床という台
画像のような四角い鉄板台を角床というのですが角床に地金を
乗せて金槌で力一杯に叩き上げ締め上げていく作業がスタート

プラチナ 鍛冶

プラチナを万遍なく叩いて締めます

満遍なくプラチナを鍛えられるように四面から金槌で叩きます
ヤットコというペンチのように強く掴める工具で掴んで固定を
させてハンマーでガンガンに叩いて地金を鍛え上げていきます

四方向から万遍なく叩いて締め上げていくので伸びていきます
溶かした当初は丸かったプラチナは長方形になって伸びます
これが鍛造リングを作る為の鍛冶作業で絞め作業とも言います

プラチナ 焼きなまし

地金を締める=地金の密度を上げる為

プラチナ密度を上げる為(密度を増す為)に鍛冶をしています
密度が増したプラチナで作る結婚指輪は頑丈で丈夫なんですよ
粘り強いプラチナになるので指輪の変形がしにくくなるんです

鍛え抜かれたプラチナに育てる為に叩いて締め上げていますが
同じ作業を繰り返し行っていると地金が締まり過ぎて硬くなり
密度を上げる事が困難になります(カッチカチになるんです)

そこで酸素バーナーの強烈な炎でプラチナを真っ赤に焼きます
この作業を”焼きなまし”と言ってプラチナが柔らかくなります
そしてまた叩いて締めて密度を上げる事が可能になるんですね

プラチナ 密度の上げ方

プラチナの密度が増す理由

何度も地道に繰り返す鍛冶作業でプラチの密度が増す訳ですが
その理由(メカニズム)は地金には微量な空気が含まれており
それが残っていると巣穴や、ひび割れの原因になるんですよね

鍛冶作業を繰り返す事で(叩いて締めて焼きなまし)地金中に
含まれた微量な空気がプラチナから放出するという事なんです
同時に粒子の締まって詰まるのでプラチナの密度が増します!

ちなみにロウワックス製法(キャスト製法)などに代表される
鋳造製法は原型に溶かした地金を流すので鍛冶作業は無しです
世の中のほとんどのリングが鋳造製法で大量生産をしています

プラチナ 伸ばし方

四角形の角材から板状に潰して伸ばす

ここまで来るまで万遍なく四面からハンマーで叩いていたので
四角形の角材になっていたのですが、ここからは角材ではなく
プラチナが板状になって伸びるように厚みを潰していきます

一気に厚みを潰すと今度は幅の太さが一気に広がってしまって
バランスが狂うので、厚みを潰しながら幅も同じように潰して
幅が広がらないように調整してサイズを保ちながら伸ばします

プラチナリング 手作り

ただ伸ばしている訳ではなく
指輪のサイズに伸ばしている

プラチナ塊を角材にして伸ばして最終的には板状になりました
地金を金槌で叩いていれば、そりゃ板状になっていく訳ですが
ただ密度を上げる為に地金を伸ばしている訳ではないんですよ

2本の結婚指輪の幅の太さや厚み、そしてサイズの号数になる
ように計算をして計りながら伸ばしていたという事なんですね
1枚の地金から2本の指輪が誕生するので2本分のサイズです

結婚指輪 つくり方

1つの素材から2つの指輪が誕生

指定サイズまで伸ばしたプラチナの板を2枚にカットをします
男性の結婚指輪のサイズ&女性の結婚指輪のサイズの2枚に!

なんて素敵でロマンチックな結婚指輪の作り方でしょう(照)
同じ1つの素材から2つの指輪を作る事によってお互いの指輪
から愛や絆を何処にいても感じる事ができるように考えました

このロマンチックな製法は大量生産の鋳造リングには無理です
1つ1つ手間を惜しまず手作りをする鍛造リングのみ可能です

ペアリング 作り方

今回の手作りをしている結婚指輪のデザインは幅も厚みも同じ
という事で1枚の板を2枚にしても問題がないのですが中には

幅と厚みが男女で違う場合もあるので、その場合は2枚にして
そのうち1枚をまたハンマーで叩いて幅や肉厚を調整をします

ちなみに10号という号数の指輪を作る場合は55ミリの長さ
が必要になります10号が2本なら110ミリという事ですね
しかし、ほとんどの結婚指輪は男性の方がサイズが大きいです

指輪 丸め方

地金板を丸めてリングにします

2枚になった地金板を丸めて2本のリングになるようにします
板状の地金を丸めるやり方は職人さんによって手法が違います

ヤットコで地金板を掴んで丸めたり万力で固定をして曲げたり
どれが正解というのは無いのですが私の場合は叩いて丸めます

丸棒という真円の道具に地金板を当てて木槌で叩いて丸めます
丸棒に沿って板を巻き付ける要領で丸めると綺麗になります
もともと真円の円柱棒なので巻き付けると綺麗な円になります

指輪 丸める

繋ぎ目に隙間が無いように合わせる

地金板をリングの形に丸めると繋ぎ目(合わせ目)が出ますが
繋ぎ目に隙間が少しでもあると溶接の時に不具合が出てきます
例えば溶接中に隙間が溶けて食い込んだり割れたりするんです

というのも合わせた隙間に薄く伸ばしたプラチナを挟みこんで
溶かして溶接をするというのがプラチナリングの溶接方法です
共付け(ともづけ)といって、地金同士を溶かしくっつけます

鍛造リング ロウ付け

ファイヤアアアアアアー!!

これが共付けの溶接作業です!溶解作業とほぼ変わらない作業
プラチナ同士を溶かしてくっつけるので部分的な溶解ですよね

ちなみに一般的な溶接方法は、ロウ付け(ろうづけ)と言って
プラチナリング本体よりも弱くて溶けやすい地金を挟んで溶接

ジュエリーコウキでは結婚指輪には頑丈になる共付けをします
しかし同じ地金同士なので溶接に難しく熟練された技術が必要
失敗をしてしまうと指輪の溶接個所がドロドロに流れます(汗)

プラチナリング ロー付け

結婚指輪のデザインはひとまず置いといて、指輪の幅や厚みに
こだわるお客様が昔よりも明らかに増えている感じがしますね

例えば男性と女性で幅を変えたり幅は同じでも厚みを変えたり
お客様それぞれの個性に合わせて指輪を作るのは楽しいですね

 

【幅4ミリの結婚指輪】

今回、ご紹介する結婚指輪の幅の広さは少し太目の4.0ミリ
一般的には3ミリ前後の結婚指輪が1番多いと言われています
リング幅が4ミリとなると幅が広い部類に入りますね(^ω^)

今回のリングにこだわる部分は幅と厚みだけではありません!
結婚指輪の表面に鏨(たがね)で打ち出し模様を打ち込んで
結婚指輪の両側の側面にはミルを打ち込む事になっています

打ち出しを打ち込む前には金槌で槌目(つちめ)も入れるので
数えきれないほど金槌で叩いて作る鍛造リングという事ですね

プラチナリング 金槌で叩く鎚目模様

リングに槌目(つちめ)を打ちます

金槌(槌)で叩いて生まれる模様を槌目(つちめ)と呼びます

槌目を指輪につけていくのですが槌目?打ち出しじゃないの?
という声が聞こえて来そうですがこれで大丈夫でいいんです!
まずハンマーで槌目を結婚指輪の全面に丁寧に叩いて入れます

というのも、打ち出しを入れる下地に槌目が必要という訳です
何もしないで打ち出しを入れるのと一手間くわえて槌目の上に
打ち出しを重ねながら打ち込むのとでは完成度が全然違います

実際に何度も実験的に打ち出しを叩いてみましたが一目瞭然!
断然に槌目模様の上から打ち出しをした方が見栄えが違います

プラチナ 鎚目リング

プラチナリングの表面全面に綺麗な槌目模様が入りましたね!
例えば家の建築でいうなら基礎を丁寧に造ったイメージですね

どんなモノでも基礎って本当にめちゃくちゃ大事なんですよね
芯や土台がしっかりしていないと良いものが造れませんからね

もちろんお客様のお好みで、このままの鎚目模様が良いです!
となればこのままの鎚目模様で仕上げる事も可能ですよ(^-^)

プラチナリング 鏨で叩く

打ち出す槌目を鏨で打ち込みます

いよいよ打ち出しをプラチナリングに打ち込む作業に進みます
打ち出し加工とミル打ちの2トップのデザインとなりますので
まずは打ち出し加工をプラチナリング表面に生み出す作業です

角床に置いてあるプラチナリングと4本の長い角棒があります
この角棒が鏨(たがね)と言って、これを指輪に打ち付けます

ちなみに鏨も鍛冶作業で叩いて焼いて作ったオリジナルの工具
焼きなましを繰り返したタガネなので強度も反発度も抜群です

プラチナリング 打ち出し

打ち出した槌目は味わい深い

先に入れてある槌目の上からタガネを当てハンマーで叩きます
この鏨での打ち込み作業で打ち出した槌目が誕生します(^-^)

とりあえず自作のオリジナルのタガネは4本を用意しましたが
自分が作ったオリジナルタガネの本数はかなり数がありますが
今回はこの4本のタガネを使い分けて打ち出し模様を魅せます

鏨が何種類もある理由ですが鏨の硬さ、鏨の面の形、長さなど
タガネによって叩いた槌目が変わるので考えながら選んでます

1種類の鏨だけでも模様は作れますが、模様が単純になります
複数の鏨を使う事で模様がブレンドをして深みが出るんですよ

プラチナリング 叩き模様

打ち出した槌目模様の奥深さ

結婚指輪の全面にバランス良く打ち込む事がとにかく大事です
1枚目の打ち出し写真と2枚目の打ち出し写真を比べて下さい

打ち出し模様の雰囲気というか見え方が、かなり違いますよね
2枚目の写真の打ち出し模様がより魅力的に見えると思います
タガネで打ち込めば打ち込む程、味わいが増していくんですよ

タガネの大きさや形、打ち込む角度、叩き具合や力加減などで
その全ての偶然が重なり合って、打ち出し模様は誕生します
このような工程だからこそ独特な奥深い雰囲気を感じるんです

結婚指輪 叩き出し

艶の無いマットも奥深さに拍車をかける

打ち出し模様がキラキラと輝きを放つ鏡面仕上げも可能ですが
ご紹介をしているデザインは模様が光らないマット加工です
打ち出しの打ち込み作業と同時にリングにマット加工もします

艶が一切無いマット仕上げの打ち出しデザインも魅力的ですよ
打ち出しの特徴としてリングを使い込めば使い込む程に凸した
部分は光り凹した部分は変わらず艶消し、これが味となります

お客様の結婚指輪の使い方次第で(日常の生活で)指輪の外見
が変化する(育っていく)というのも艶消しの魅力になります

結婚指輪 打ち出しデザイン

打ち出した槌目加工のプラチナリング

とっても味のある魅力的な打ち出し模様が出来ました(^ω^)
槌目模様が下地になっているからこそ打ち出しが引き立ちます
もし槌目模様が下地になかったらここまで奥行き感は出ません

打ち出しリングは何回も作っても同じ打ち出しリングは不可能
先程もお伝えしたように全ての偶然が重なり合って出来る模様
だからこそ全く同じ模様の指輪を作りだす事が不可能なんです

リング 幅を狭くする

リングの表面に打ち出しを施すと、どうしても結婚指輪の幅が
叩く前よりも広く出てしまいます(タガネで表面を叩くから)

広がって出たプラチナリングの幅をヤスリで両側面から削って
指定の結婚指輪の幅に調節をして打ち出しリングの完成です!

もう1つのメインデザインでもあるミル打ち作業に入りますが
次回の記事で続きを書きますのでどうぞ宜しくお願い致します
下記の「作業工程のつづきを読む」で続きをご覧くださいませ

作業工程のつづきを読む

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法

熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

ネット販売はコチラから→ジュエリーコウキ ヤフーショップ

結婚指輪の一覧です → ジュエリーコウキ 結婚指輪の一覧
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