手作りマリッジリング専門店、ジュエリーコウキ
当店2代目の私が職人として書く指輪制作の日記
結婚指輪の手作り制作が人気で今とても流行っていますが
完全なハンドメイドで結婚指輪を作る宝石店は少ないです
手作りと宣伝をしているジュエリーショップのほとんどは
ロウワックスを削り原型を作って地金を流し込む鋳造方法
鋳造(ちゅうぞう)とは、予め用意をした原型に溶かした
地金を流し込んで固めて作ったもので一般的な店で並んで
いる指輪は鋳造です(世の中にある指輪の99%の割合)
しかし当店、ジュエリーコウキで手作りをする結婚指輪は
鍛造(たんぞう)と言われる日本伝統技法で作る指輪です
地金を直接、叩いて鍛えて削って彫って作る完全な手作り
正真正銘ハンドメイドです(世の中にある指輪の1%以下)
写真は2代目の私、池田ですが鍛造の職人歴は29年です
鍛造は長い時間をかけて師匠から受け継がれる伝統技術で
新潟県の長岡市にある宝石店&工房で昔から作っています
鍛造で作り上げるマリッジリングは本当に珍しいんですよ
昔から受け継がれた技術、知識、設備がないと作れない為
全国でも鍛造リングが作れる専門店はごく一部なんですね
という理由があるので、田舎の小さなジュエリーショップ
でも全国のお客様からご依頼を頂けて本当に嬉しいですね
絶滅危機の鍛造製法ですが後世に残したいので頑張ります!
【マリッジリング ウェーブ】
前回でこちらのSカーブのマリッジリングの制作工程の
前半を書きましたので今回はその続きの記事になります
前の記事で鍛造製法の指輪の作り方や、鍛造のメリット
鍛造の仕組みなど細かく解説していますのでご覧下さい
前回の記事はコチラ→Sカーブリング作り方・曲げ方
前回の記事でSに曲げたリングをヤスリで彫金する最初の
制作風景をお伝えしましたが、更に続きの彫金の様子です
マリッジリングが完成するまでを記事にしていきますので
記事の最後までお付き合いを頂ければと思います(^ω^)
【マリッジリング ウェーブ 製造工程】
彫金作業の続きですがマリッジリングの表面に計算をして
設計図を描きその描いた線を元にして削っていく作業です
設計図と言ってもエタニティリングの時のようなめっちゃ
細かい線や目印は描きません。ポイントとポイントを繋ぐ
ラインや、ここからリングが曲がるという目印や、ここを
ヤスリで削り落とす目印といった程度になります(^ω^)
頭の中で完成をしたマリッジリングの姿がすでにイメージ
してあるので、そのイメージ通りにプラチナを削り落とし
肉眼でバランスを見ながらリングを作るという方法ですね
もちろん設計図を全く無視という事ではなくて計算をして
描いたラインがあるからこそバランス良く削り落とす事が
できますので下書きのラインと肉眼で確認をしたバランス
を上手く組み合わせながら削って形を作る事が彫金のコツ
マリッジリング下半分はストレートで甲丸
マリッジリングのデザインはS曲線がメインになりますが
結婚指輪の半分がS字、もう半分がストレートになります
その半分のストレートの部分は丸めて甲丸リングにします
S字カーブのセンター部分は斜めにデザインを入れながら
S字カーブのリングとストレートのリングを馴染ませます
プラチナを荒く削っていますがまだ荒仕上げではないです
確かに見た目は荒いですが、これは削っただけの状態です
荒仕上げはもっと丁寧にプラチナを細かく削っていきます
繋がるSカーブラインがポイント
側面から表面へ流れて側面に戻る
マリッジリングのデザインが、ほぼほぼ出来上がりました
センターのSカーブのラインが綺麗に表現されていますね
トップのSカーブに彫り込んだデザインをよくご覧下さい
結婚指輪の側面から表面へ繋がるように削って側面に戻る
繋がるラインはSカーブの動きを立体化させているんです
説明だけだと分かりにくいと思うので、実際に結婚指輪の
側面から表面へSラインが繋がってまた反対の側面に戻る
どの部分が繋がっているのか赤マジックで塗ってみましたw
メビウスの輪がモチーフ
赤くラインを塗ると分かりやすいです(後ほど消します)
赤く塗ったSラインが繋がっているのが分かりますよね
側面から始まったラインがセンターラインになってから
また側面に流れていくという永遠に繋がるラインです!
という事はメビウスの輪のようになるという事ですよね
永遠に繋がるメビウスの輪は結婚指輪にドンピシャです
永遠に繋がるLOVE!永遠に繋がる絆!最高です(*´ω`*)
結婚指輪の輪郭だけをS字カーブにするのも良いですが
輪郭だけではなく面も彫りだして曲線を個性的に魅せる
のも職人の腕とデザインのセンスだと思います(^ω^)
マリッジリングの幅の広さを、細くしたり太くしたりや
Sカーブの角度を変えるとまた違った感じで見えます
手作りだからこそのメリットで細かく対応ができますね
マリッジリング ウェーブが完成
マリッジリングの全体フォルムが完全に仕上がりました!
いよいよメインデザインとなる荒仕上げの工程へ進みます
写真のままですとプラチナリングの表面がまだ荒すぎます
プラチナがまだ鈍いというか渋い反射で中途半端なんです
しかし「このままが良い!」という人もいらっしゃいます
その場合、この作業でストップして仕上げる事も可能です
この段階で仕上げると超荒仕上げという感じになりますね
まだまだプラチナが粗すぎるのでザラザラ感はありますが
傷が付きにくい(付いても分かりずらい)がメリットです
”アブラメ”というヤスリ目が細かい種類の
ヤスリを使ってプラチナリングを仕上げる
リング全体に目に見える深いヤスリ傷(削った跡)が多く
この削った彫金作業の跡を目立たなくする作業に入ります
完全にリングに付いた傷を消してしまうと鏡面磨きに近い
仕上げ作業なっていくので荒仕上げの魅力が生かせません
アブラメという種類の細かいヤスリ目で丁寧に仕上げます
仕上げるといっても荒仕上げなので削りながら仕上げます
削る向きを統一させる事によりヤスリ目を均一に整えます
アブラメヤスリで削る彫金の跡をヤスリ目と言うのですが
削っていく段階でプラチナ面が粗くても綺麗に光る段階が
出てきて光沢でもなく魅力的な輝きが出た瞬間でストップ!
この魅力的なプラチナリングが荒仕上げ
プラチナが独特な奥深い輝きを放っているのが分かります
光沢仕上げでもなく艶消しのマットでもなく「荒仕上げ」
プラチナにこの不思議な輝きが生まれるのは一瞬なんです
ヤスリの刃が荒すぎると傷が深く目立ち渋くて光らないし
ヤスリの刃が細かすぎても紙ヤスリのように白くなるので
彫金工程の中間にチラッと顔を覗かせる光が荒仕上げです
こちらの荒仕上げ加工はプラチナの他にゴールドでも可能
金のマリッジリングの荒仕上げも凄く魅力的です(^ω^)
マリッジリングの付け心地を良くする
指輪の表面が粗い仕上げといっても結婚指輪の内側までは
流石に粗くは仕上げていません(要望があれば荒くも可能)
結婚指輪は長く指に付ける大事な指輪なので付け心地が命
指の形にフィットするように指の形に合わせて結婚指輪の
内側(中面)を丸く楕円形になるように削っていきます
まずはリングの内側の角を削り落としてエッジを無くして
指輪の内側の面が甲丸リングのようになるように丸めます
Sに曲がった指輪ですのでSの流れにそって丸めていきます
このままで仕上げると内側も荒仕上げ
荒い刃のヤスリから細かい刃のヤスリで削るという順番で
マリッジリングの表面と同じように丁寧に削り仕上げます
一般的には荒仕上げのマリッジリングの場合は、リングの
内側はピカピカ鏡面に仕上げますが(滑らかで付けやすい)
お客様のお好みで指輪の内側も、写真のように荒仕上げで
粗く仕上げる事も出来ますので希望の方はお知らせ下さい
マリッジリング内側を滑らかに仕上げる
一般的に荒仕上げの結婚指輪を作る時は、良い着け心地を
優先させたいので小傷を完全に無くして仕上げていきます
まずは作業工程の画像はありませんが紙ヤスリで擦ります
耐水性の紙ヤスリに水を含ませながら擦ると小傷の奥まで
水と研磨砂が浸透するのでどんな傷でも消えやすいんです
プラチナを滑らかにするには、まずは紙ヤスリで彫金跡の
小傷を徹底的に消す事が1番のポイントになるんですよね
シリコンポインターという研磨ゴムで磨く
耐水性の紙ヤスリの次はシリコン製の先端工具で磨きます
リューターの先端に設置をして高速回転をさせて磨きます
シリコンポインターにも荒い物から細かい物まであります
そして最後はヘラ棒でヘラ掛けをしてバブでガンガン磨き
マリッジリングの内側面がピカピカの鏡面に仕上がったら
最後は超音波洗浄機で油分やミクロの汚れを流して完成!
Sウェーブ S字マリッジリングが完成!
とっても魅力的な輝きを放つ荒仕上げのマリッジリング
付け心地も見た目以上に抜群でビックリすると思います!
一般的なジュエリーショップや宝石店で見れない仕上げです
それもそのはずで職人が1つ1つ鍛造と彫金で作るからです
人の手で指輪を手作りをするからこそ対応が可能な手法です
荒仕上げの結婚指輪は長年、使い込めば使い込むほどに~
荒仕上げの面がビンテージ調になっていき馴染んでいきます
お客様の使い方でマリッジリングが変化するので魅力的です
本日のマリッジリング作りの記事はこれで終わります(^ω^)
最後までご覧を頂きまして誠にありがとう御座いました!
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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです
その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為
伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います
指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。
お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。
ネット販売はコチラから→ジュエリーコウキ ヤフーショップ
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