プラチナ結婚指輪×ミル打ち【鍛造】リング幅が夫婦で違うのも有り!

手作り結婚指輪の専門店、ジュエリーコウキ
新潟県長岡市にある鍛造リングの宝石店です

当店2代目の私、池田が書く指輪作り日記です
日本伝統技法の鍛造を父から継承した宝飾職人

鍛造ハンドメイドのジュエリーがメインなので
日々、制作をしているジュエリーの制作工程や
制作風景などを詳しくアップしています(^ω^)

ジュエリー職人

この前のブログでご紹介をさせて頂いた鍛造の
手作りの結婚指輪~制作工程の続きとなります。

前回はプラチナを溶かして塊にして鍛冶作業で
プラチナを叩いて締めて鍛えながらリングの形
になった所までご紹介しましたがその続きです。

前回の記事はこちら
https://j-kouki.com/wedding-ring-5/

鍛造 結婚指輪 プラチナ

前回のブログでは、結婚指輪のベースとなる
平打ちリングを作るまでをご紹介いたしました

夫婦でリング幅の太さが違います

男性用のプラチナリングの幅の太さが5.5mm
女性用のプラチナリングの幅の太さが3.5mm
結婚指輪の肉厚はミルを打ち込むので同じです

そして今回の記事では、平打ちリングの側面に
ミル打ち(ミルグレイン)を打ち込んでからの
手作り結婚指輪が完成するまでをお伝えします

 

【結婚指輪 ミル打ち 製造工程】

さて、手作り結婚指輪の制作工程に進みます
新潟県長岡市のT様がご依頼主様です(^ω^)

ちょくちょくジュエリーコウキのFacebookで
リングの制作記事を見て頂いているみたいで
「イイネ!」を何度も押して下さり感動(涙)

お客様からのアクションは記事を書く励みに
なりますし、自分のテンションも上がりますw
本当にいつもありがとうございます<(_ _)>

DSCN0313

前回の指輪作りブログの続きです

平打ちタイプのリングの側面にミルを打ちます
まずは、ミルを打ち込む前にやる事があります

ハンマーでガッツリとプラチナリングの表面を
叩いて綺麗な真円に成形をしてから結婚指輪の
サイズを伸ばしたのでリングの幅が広がります

プラチナ自体が、叩くと変形しやすい性質です
しかも伸びる幅も均等ではないんですよね(汗)

ばらつきがある幅の太さを揃える為にヤスリで
側面を削って指定された結婚指輪の幅にします

メンズの結婚指輪が5.5mmの幅の太さ
レディースの結婚指輪が3.5mmの幅の太さ

DSCN0315

結婚指輪の横(側面)を削る

側面が上になるようにリングを、すり板に固定

そしてリングを、すり板と指で回すようにして
ヤスリで均等に削りながら、幅の広さを削って
男性と女性の結婚指輪の幅の広さに合わせます

結婚指輪のサイド、両方の側面にミルグレイン
を打ち込むので面を綺麗にして小傷を取り除き
ミル打ちが綺麗に打ち込めるように準備します。

リング ミル打ち

リングの両サイド ミル打ちを入れる

メンズとレディースの結婚指輪の幅が整ったら
ミル鏨(タガネ)で、ミルを打ち込む作業です

結婚指輪のサイド、側面の余白というか肉厚で
打ち込むミルグレインの大きさが決まるんです

リングサイドの余白が狭かったら小さなミル
逆にサイドの余白が広かったら大きなミルです
リングサイドの余白によってミル鏨を選びます。

指輪 ミル打ち

まず最初にするのが「仮打ち」

すでに何枚かの画像を見ていただきましたが
下書きのように1個づつ軽くマークをします
手の力のみでミル鏨を押し付けてマークします

軽くといっても意外と力を込めてミルタガネを
押し付けないと、クッキリとした跡がでません
この丸い跡がミルグレインという事になります

かといって、力を込めすぎると深くなり過ぎて
修正が効かなくなるので注意しながら進めます
このような感じで手打ちだけで仮打ちをします。

リング ミル打ち 製造方法

仮打ちでミルの数と大きさが決定

1個づつ球体の仮打ちをして並べていきながら
結婚指輪の側面にミルグレインが何個入るのか?
そしてミル打ちの大きさ、間隔などが決定します

ミル打ちとミル打ちの間のスペースは均等にして
合わせないとミルが離れたり詰まったりするので
間のスペースを全て揃えてバランスを合わせます。

ミル打ちリング プラチナ

職人として本当は仮打ちナシで、本番一発勝負で
ミル打ちをハンマーでガツンと深く打ち込めれば

作業時間も半分以下に短縮できますし職人として
勢いと度胸があってカッコイイ!とも思いますがw

しかし・・・そこまでの度胸と勢いがない(;´Д`)
職人として技術には凄く自信がありますが度胸はw

もしミルの大きさや間隔がブレてしまって失敗して
しまえば最初から作り直しになるので怖いんですw
度胸うんぬんよりも間違いなく一歩づつ進みたい!

プラチナ ミル打ちリング

ミルグレインの仮打ちが完了

手打ちでのミルグレインの仮打ちが完了すると
こんな感じでミル打ちがリング状態に繋がります

びっしりと結婚指輪の側面いっぱいにミル打ちが
繋がって入っているのでバランスも完璧ですよね

輪っかに繋がったミルグレインのスペースや位置
大きさも含め綺麗に仮打ちをする事が出来ました

※ミル打ちの最後の1粒を打ち込む作業が物凄く
難しくて、ミルとミルのスペースが一致しないと
ミル同士が重なったり、逆に開いたりするんです

ミル打ち 指輪

ミルを金槌で深く入れる本番打ち

仮打ちをしたミルの印に、ミルタガネを当てて
ハンマーでガツンと強く打ち込む本番打ちです
ここでの打ち込む作業も力加減が凄く重要です

一定の力加減で、全てのミルを打ち込まないと
球体の大きさや深さ、球体の膨らみ加減などが
変わってしまうので1つ1つを慎重に打ちます

ミル打ちを、結婚指輪の表面に打ち込む場合は
丸棒という工具に差し込んだり、万力で固定を

してから金槌で打ち込みますが、今回は指輪の
側面なので金床にリングを置いて打ち込みます。

ミル打ち 結婚指輪 プラチナ

ミル打ちに立体感が出る

仮打ちと違って本番のミル打ちは立体感が出ます
ミルを彫り出すミルタガネの先端は凹んでいます
強くミルタガネを叩く事で深く入り丸くなります

これが職人が手で1粒1粒、打ち込んだミル打ち
指輪の横に入るので物凄く小さいミル打ちですが
きっちりと丸く浮き出しているんですね(^ω^)

ミル打ち作業の様子を動画でアップしています
動画のリングは今回と別のデザインとなりますが
デザインが違っても基本的に同じ工程で進みます。

 

結婚指輪の彫金(ちょうきん)

地金を削ったり彫ったりして形を作っていく事を
彫金作業と言います(ヤスリや先端工具で削る)

ミル打ちが完了したので、彫金でリングを整えて
結婚指輪のフォルムを完成させていく作業ですね。

DSCN0349

リングの表面や側面、内面を削る彫金

プラチナは叩くと伸びやすい性質がありますので
金槌で何度も叩き上げたので幅が広がっています
主にリングを真円にしたりサイズを伸ばした場面

同様に、ミル打ちをした時にミルタガネで叩いて
表面、側面、内面とやっぱり若干伸びている状態
伸びて広がったプラチナの余りを削って整えます。

DSCN0350

表面と側面はフラットな真っ平にします

今回のリング幅の太さは男女で異なります
男性用の結婚指輪の幅の太さが5.5mm
女性用の結婚指輪の幅の太さが3.5mm

着け心地を考え、内側は滑らかに丸くします

結婚指輪の内側は丸く楕円形になるよう削ります
結婚指輪というのは特別な指輪で、ずっと末永く
指に着けていく大切な大切な指輪ですよね(^ω^)

大切な結婚指輪だからこそ、着け心地を1番に
考えるのが作り手である私の役目でもあります!
楕円形に丸める事で滑らかになり優しくなります。

ペアリング ミル打ち

プラチナリングの傷消し

ヤスリで削った細かい小傷が残っている状態です

いぶし銀が最大限に現れている状態の指輪なので
このまま仕上げる事もあります(それが荒仕上げ)

今回の指輪はピッカピカに光る鏡面仕上ですので
小さな小傷を徹底的に消していく作業になります

小傷を消すには耐水性サンドペーパーで擦ります
耐水性というのがポイントとなる作業です(^ω^)

ミル打ち ペアリング

耐水性のペーパーヤスリが、ポイントというのは
水をつけながらプラチナリングを擦り仕上げると
水と研磨砂が混ざり、傷の奥まで浸透するんです

ヤスリの削り跡(ヤスリ目)が綺麗に消えるまで
ペーパーヤスリで何度も擦って、完全に消します
プラチナリングの全面が真っ白になるまでします

※側面は擦り過ぎるとミル打ちの先端が擦れて
せっかくの綺麗な球体が平に削れてしまうので
側面はミルの様子を見ながら擦るのがベストです

DSCN0354

シリコンポインターで仕上げる

耐水性の紙ヤスリで小傷を消した後は次の工程へ
リューターという高速回転をするペン型の機材で
先端にシリコンポインターをセットして使います

ここでの仕上げ作業の内容は、ペーパーヤスリで
擦ってできた髪の毛のような細かい傷を消す作業

写真のブラウンのシリコンポインターは研磨材が
含まれているので超極小の傷でも綺麗に消えます。

DSCN0355

続いての作業は、ブルーの柔らかいタイプの
シリコンポインターを使って仕上げていきます
ブラウンで傷を消してブルーで滑らかにします

ここまでの手順をご覧をいただいて分かるかと
思いますが、段階的に傷を消していくんですね

ここまで仕上げていくと目では傷は見えません
顕微鏡で見れば見えるかも?というレベルです

しかしまだ光らせる磨きの工程は終わりません
ヘラ棒というペンの形状に似た工具で磨きます。

DSCN0356

鏡面を出す作業~ヘラ掛け(へらがけ)

ヘラ掛けの作業は、かなりの力を込めないと
面が光りません。肉眼では見えない表面の傷を
潰して光らせているからパワーが必要なんです

磨き方は単純なんですがコツが物凄くいる工程
水をつけて、プラチナリングの面全体を何度も
ヘラ棒で滑らせながら潰して磨くという磨き方

力を入れ過ぎても面が傷になるので要注意!
この微妙な力加減は職人特有の長年の感覚です

ちなみに自分の右手の指にはヘラタコという
ヘラ磨きのタコがいくつもあります(;´Д`)

小指にも力が入るので小指が曲がっています
長年このような作業をしていると指が変形します
指は曲がっていますが性格は真っ直ぐですよ!w

DSCN0357

これが最後の磨き~バフ掛け(ばふがけ)

※バフとは地金を磨く「磨き布」の事です
1つのバフに何枚もの磨き布が密着しています

リューター先端にセットした小型のバフで磨き
大きなグラインダータイプのバフ機で磨き粉の
青粉をつけながら結婚指輪をガンガン磨きます

高速回転で回っている円盤状の布がバフですが
磨く摩擦力が半端なくて、プラチナは熱を通し
やすいので火傷をする事も多いので要注意です。

DSCN0363

バフ掛けをすると青粉がリングに付着するので
結婚指輪が曇っていますが洗い流せば落ちます

洗浄液で青粉などの油分や汚れを落とせば完成
輝きまくったピッカピカ鏡面仕上げの結婚指輪
鏡面というだけあって反射度が凄いです(^ω^)

まるで鏡のようにご自分の顔が映り込みます!
プラチナリングの鏡面はこうして出来るんです

結婚指輪 プラチナ ミル打ち

夫婦で結婚指輪の太さが違う結婚指輪

結婚指輪の幅の広さが、メンズとレディースで
違いますがデザインが同じなので違和感もなく
2本を同時に見てもバランスが合っていてOK!

さりげなく見える結婚指輪の横にあるミル打ち
横から見ないと分からないというのがポイント

指につければ更にもっと分からないと思います
さりげなくミル打ちを入れている所がお洒落です

長岡市のT様!結婚指輪のご依頼を頂きまして
本当にありがとう御座いました。感謝感激です
素敵な結婚指輪を生み出す事ができて光栄です!

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法

熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

ネット販売はコチラから→ジュエリーコウキ ヤフーショップ

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