ルビーの指輪と おばあちゃんの物語 | 母から娘へ 受け継ぐルビーの意味

手作りジュエリーの専門店、ジュエリーコウキです
当店2代目の私、池田が書く指輪作りのブログです

ジュエリーコウキのメイン商品はブライダルジュエリーです
結婚指輪と婚約指輪を鍛造という伝統技法で作る宝石店です

出回っている手作りジュエリーのほとんどが鋳造という製法
ロウワックスなどで製品の原型を作って、その型に溶かした
地金を流して固める製法で手作りしたのは原型という事です
世の中のジュエリーがほぼこの製法で95%以上の割合です

ジュエリーコウキがいう手作りは鍛造(たんぞう)と言います
原型を作るのではなくて地金そのものを鍛冶で鍛錬して鍛え
密度を上げながら作る伝統技法で全国で5%以下の割合です
全国的にも希少な技術なので全国各地からご依頼を頂きます

 

さて、本日のブログですが宝石にまつわるエピソードです
いつもはリングの制作工程を書いていますが今日は違います

当店は宝石店なので宝石の魅力をもっと広めたいと思うので
色々な方々がもつ宝石にまつわるエピソードを募集しており
ブログでご紹介をする内容は50代女性から頂いたお話しです

ルビーという宝石にまつわるお話しなのですが読むにつれて
物語のようなそんなイメージを膨らませてくれるお話しです

宝石は人それぞれ物語りがありますが本当にそう思いました
では、記事をご紹介いたしますので最後までご覧下さいませ。

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おばあちゃんのルビーリング

その”ルビーの指輪”は、昭和初期に祖母が
そのまた祖父に貰った歴史のある指輪だそうです。

大ぶりのルビーの指輪は
柔らかな深い赤のオーバルカットで
クラシックなリングの土台にセットされていて
その細工とルビーの雰囲気が見事にマッチしていて
私が小さいころからの、あこがれのルビーリングでした。

おばあちゃんの実家は、昔は裕福な地主で
今も農家をやっているのですが太平洋戦争後の
農地解放の後は普通の規模のコメ農家になり
往時の繁栄の面影はないのだそうです。

昭和初期のおしゃれの最先端、
モダンガールとして育てられた祖母は女学校を卒業したころに
その大きいルビーの指輪を贈られて、大切にしていたそうです。

その後、お見合いで旧陸軍の将校だったお爺ちゃんと結婚、
生まれ育った土地から、いきなり海を越えて、おじいちゃん
意外に知る人もない、気候風土も違う満州へと旅立ったのです。

勿論、そのルビーリングも大切にして持っていたそうです。
思えばまだ、その後に訪れる悲劇に比べたら
おだやかな時代だったのかもしれません。

彼女は、残念なことに一人目の女の子を死産で亡くしてしまい
私の母を身ごもった時に内地にたった一人で返されたのです。

その時、持ち帰ることが出来る荷物が殆どなかったなかで
お守り袋に入れて肌身離さず大切にしていたルビーリング
だけが財産のようなものだったそうです。

たった一人で満州から汽車で朝鮮半島の釜山へ
そして船に乗って本州、また長い旅路をへて実家に
たどり着いたという祖母は、当時まだ20代半ばでした

後の、私が知っているおっとりしたおばあちゃんの
風情の向こうがわに、そんなハード極まるドラマが
あったとは、ちょっと信じられませんでした。

 

守り続けたルビーリング

昭和18年、私の母が生まれたころには戦況が悪化して
祖父とも連絡がつかず、諦めて腹を括って実家で
娘を育てようと決意していたのだそうです。

幸い、満州から南方に転戦した祖父も早い時期に
復員してこられて、母と、戦後に生まれた叔母との
4人の暮らしが始まったのだそうです。

軍人の世界しか知らなかった祖父との新しい暮らしは貧しく
だまされたり、借金の保証人にされたり、
と随分な苦労を重ねた時期もあったのだそうです。

しかし、そんな暮らしの中でも、
祖母はそのルビーの指輪は絶体に手放すことはせず
時代が落ち着いたら、いつかまたおしゃれが出来て
このルビーの指輪を着けられる時が来るかもしれないから
と大切にタンスの奥底にしまっていたのです。

おばあちゃんの手元には、
おしゃれな宝石箱などはありませんでした。

タンスの引き出しから取り出して、
古びた手ぬぐいの包みをほどくと、
緑の革張りの小さな指輪の箱が出てくる…
そんな光景を今でもあざやかに思い出すのです。

 

母から娘へ受け継がれるルビーリング

私が小さいころから、そのルビーの指輪を
見せてくれる時には必ず『キレイでしょう?』
と言って灯りやお日さまに透かしてくれるのです。

キラキラ輝くというよりは、ほんわりと柔らかく
赤い光を通すそのルビーの風情がとても好きでした。

江戸時代に生まれたという祖母の祖父が、
かわいい孫娘(祖母)のためにあつらえた
その大き目のルビーの指輪のデザインが大好きで、

『いつか大人になったら私にちょうだい』と言っていたら、

小さかった私の細い指に、
ぶかぶかのルビーリングをはめさせてくれて

『その前にあなたのお母さんが着けるのよ』
と答えた祖母も、先年、96歳で大往生しました
その大切なルビーの指輪は今、母の手元にあります。

 

古くなった祖母のルビーの指輪
新しくリフォームして心機一転

私が若いころに、おばあちゃんが
『もうしわくちゃの手になっちゃったから、似合わないし』
と言って母に譲り渡されたのです。

しかし、その時点で一つ残念なことが起こりました。

古い指輪の土台の爪の部分がが傷んでおり、
ルビーがリングから外れてしまう可能性が出てきたこと。

18金とプラチナのコンビの指輪のデザインだったので、
修復が難しいということで、ルビーを外して新しい指輪の
今風のデザインにリフォームしたい、と母が言ったのです。

『あなたに、このルビーリングを譲るときには、
好きなデザインの指輪に作り直せばいいから』と言われ、
それはもう仕方のないことだから、とあきらめたのですが。

 

仕上がってきた新しい指輪は土台が透かし模様になって、
より一層ルビーの赤色を引き立てるものとなったのにもかかわらず
『ああ、やっぱり変わっちゃったなぁ…』と
寂しい気持ちでいっぱいでした。

しかし、とある親戚の結婚式でそのルビーの指輪をつけていた
母の手を見て、おばあちゃんが『まぁ素敵!凄いわねぇ、
こんな風に指輪が生き返るなんて!』と、とても喜んだのです。

その時点ですでに祖母の手にわたって半世紀を超えていた石は
以前よりも着けやすい新しいリングのデザインになったせいか
母はフォーマルな席だけでなく、コンサートやちょっとした
お出かけにもルビーリングを身につけていくようになりました。

ずっとしまい込まれていた石、ルビーが
確かに息を吹き返したのかもしれません。

 

その母も、今はグレイヘアが馴染んだ年齢になり、
私に『そろそろこの指輪、使う?』と言うようになりました。

なんだか、あの大きなルビーのパワーにはまだかなわないような
そんな気持がして、そのまま母の手元に置いてもらっています。

若いころには、ルビーは若い女性の色だと思っていましたが
私も50歳を過ぎて、往時の母や祖母のその年齢を思うと、
むしろ歳を重ねた女性にこそルビーという宝石は
似合う宝石なのでは、と感じるようになったのです。

 

長い長い旅をしていた祖母の指輪、そしてルビー
母がリフォームをしたデザインでそのまま受け継ぐか
もしくはまた新しいデザインを選んで指輪を作り直すか。

出来れば、また、昔のように
クラシックなデザインが良いけれど、でも今のも好き。

私には息子しかいないので、
これはいずれ姪っ子(妹の娘)の所に行くのかなぁ。

これは、ただのルビーという宝石じゃない。
ずっと、その由来を覚えていて、大切に伝えてくれる
誰かのところで赤く輝いて欲しいなぁ、と思うのです。

 

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お話しを聞かせて頂きまして誠にありがとう御座いました!

代々受け継がれるルビーの指輪、何か凄いな~と思いました
リングの形を変えてもルビーは昔のままで受け継がれる事実
これこそ家宝なんだろうな~と思いながら記事を読みました

物語の主人公となるルビーの指輪、実物が見たかったですw
お母様が今お持ちとの事で指輪は見せて頂けませんでしたが
いつかルビーリングを受け継いだら実際の写真を見たいです

もし叶うならば、次にルビーリングをリフォームする時には
自分にリフォームのご依頼を頂ければ物語の続きが描けます!
いつかリフォームをしてみたいお仕事だと思いました(^-^)

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
5パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法
熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

結婚指輪の一覧です → ジュエリーコウキ 結婚指輪の一覧
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