シグネットリング【鍛造】印台リングをオーダー 槌目が力強い!

いつもご観覧を頂きありがとう御座います
新潟県長岡市の宝石店で、結婚指輪を鍛造で
制作しているジュエリーコウキの2代目、池田です

今回、ご紹介する鍛造リングは半端ないです(*´Д`)
これはもう一般的な指輪と次元の違う指輪ですなw

どんな形の指輪かというと印台リングの指輪になります
シグネットリングとも言われている独特なデザインです

【シグネットリング オーダー】

今回制作をさせて頂いた鍛造のシグネットリングですが
とにかく見た目の重厚感も、実際の重量感もハンパないw

印台リングのレベルを超えた超印台リングになります
スーパーなシグネットリングのオーダー手作りです!

 

プロのジュエリー制作の仕事をして結構な時間が経ちますが
今までの中で俺が作った印台の中で1本としては断トツに重いw

最終的な印台リングの重さはプラチナで約45グラムです
最初から作ると約60グラムの重さが必要になってきます
60グラムのプラチナの塊から叩き出して削って作りました!

鍛造の結婚指輪の制作をメインとしているのでここまで重い
指輪を作る機会が少ないのもあるかと思いますが楽しかったです
たまには、こういう骨のある指輪作りも大歓迎ですね(*´Д`)

 

完成しておりますので完成した写真を見て下さい!
スペシャルな印台リングです(ゴツ過ぎて凄いですw)

シグネットリングに使用されたプラチナの重さ凄いのですが
印台リングに打ち付けられた「打ち出した槌目」も迫力満点!

シグネットリングの側面と、中側以外の全ての見える面に
槌目加工を何度も何度も重ねて打ち付けているんですよね

シグネットリング プラチナ

これはもう指輪というよりもプラチナの塊みたいw
超印台と表現したのが分かるかとおもいます(*´Д`)

ちなみに印台リングは、他の呼び名でカレッジリングや
シグネットリングとも呼ばれていますが日本ではこの形を

印台リング、印台(いんだい)として昔から呼ばれており
平な部分を判子や印鑑として使っていた人も多かったんです

 

 

シグネットリング 作り方

写真のようなドデカイ印台リングがどうやって形に・・・
どうやって作られるのかじっくりとお見せ致します!

まずは写真のような重量感のある印台リングを作るには
約60グラム(実際には62グラム)の地金が必要です
必要な分のプラチナを計算し溶解して1つの塊にします

溶解 プラチナ

約60グラムのプラチナを溶解(ようかい)

プラチナの溶解温度は約1800度弱
最低でも1800度以上の炎でないと溶けません

専用の器から、はみ出しそうな大きさですねw
この重さのプラチナを溶かすには一苦労ですね(汗)

しかし溶けた姿を見ると、太陽のように力強い!
指輪になっていないのに、既に存在感が凄いです

プラチナ

溶解したプラチナが冷めると綺麗な銀色になります

銀色といっても、シルバージュエリーの銀色とは違って
プラチナは奥深い銀色(ちょっと黒っぽい)なんですよ
ここからプラチナを叩いて育てていく作業が始まります!

シグネットリング プラチナ

60gのプラチナを鍛造(たんぞう)

金床(角床)と呼ばれている地金を叩く台にプラチナを置き
大きな金槌(玄翁)でバッチンバッチン叩いていきます!

地金(プラチナに限らず金なども)を鍛えながら造る作業を
鍛金(たんきん)または鍛造(たんぞう)と呼んでいます

さすが60gもあるプラチナは手ごわいですw
気合を入れて地金を叩き続けないとプラチナは育ちません
師匠である親父と私の親子で交替しながら鍛冶作業が進みます

シグネットリング メンズ

プラチナを、ナメス(溶かす)ナマス(焼く)

鍛造作業は金槌で地金を叩くだけではありません
酸素バーナーでプラチナの表面をナメしたり(溶かしたり)
ナマしたり(炎で焼く事)しての繰り返し作業なんです

ちなみにナマス温度は、プラチナが真っ赤になれば普通は
それでOKなんですが今回は重すぎるので溶ける寸前まで
ナマしていくギリギリの作業が続いていく事になります。

シグネットリング オーダー

印台の形(ベース)になるように四角く叩く

強力なバーナーでナマしたら、金槌で叩いて叩いて更に叩き
プラチナが締まってきて固くなったらまたナマスの繰り返し
正直、プラチナが強靭すぎて腕がもげそうですが楽しいw

地金を叩きながら印台の形に近づいていくように成形します
いきなり最初から印台のベースとなる形を造るのは無理です
まずは作る印台の幅を考えながら四角形になるように叩きます。

シグネットリング オーダー

結婚指輪を作る時にも同じように鍛金作業を繰り返しますが
今回使っているプラチナの重さが、桁違いに違いすぎるので

同じような力具合でやってもプラチナの育ちが遅いんですw
なので腕がもげるくらいの勢いでガッツガツ叩いて焼きます

1人でこの過酷な鍛冶を最後まですると腕や手がしびれて
腕の感覚がマヒしてしまい、肉離れなのか痛くなるんです。

シグネットリング

プラチナの塊が四角くなってきましたね

丸かった地金の塊が鍛金作業によって四角くなってきました
まだまだキッチリと綺麗な四角ではないので整えていきます

ちなみに、この四角い横幅が印台の横幅という事になります
とってもドデカイ印台がこの時点でわかりますよね(*´Д`)

これだけの凄い鍛冶作業を動画で見たいと思いませんか?
画像だけでは鍛冶の迫力の伝わり方が弱いと思いますので
動画で見て感じて頂きたいです(衝撃音が凄いので音量を注意)

 

鍛造の仕組みは、
言葉とおりに地金を鍛えて造る事

地金(プラチナやゴールド)の中には「ス」と呼ばれる
微量な空気泡が入っているんですが、その空気が地金の
強度を弱くしたりするので地金から放出させる作業です

角床という専用台にプラチナを乗せて、大きい金槌で叩き
何度も何度も叩いて叩いてプラチナを絞めあげていきます

絞めあげたプラチナを何度もナマス(炎で焼く事)
そうする事でプラチナの中の「ス」が抜けていきます

同時にプラチナの粒子が綺麗に整っていき、プラチナの
密度がぐんぐん増して粘り強くなり強度も上がります!
これが、地金が育つという鍛造や鍛金のメカニズムです。

シグネットリング

更に印台のベースに近づけていきます

まだまだ金槌での鍛造はつづきますので気合を入れます!
上の写真の段階ですとまだ四角形なので更に成形します

印台はトップ部分の肉厚が厚い方がバランスが良いです
厚みの部分もそうなんですが幅も重要となってくるので
印台のセンターとなるトップ部分以外の箇所を叩きます!

シグネットリング

金槌で金槌を叩く職人技

小さい金槌をプラチナ板にあてて、大きい金槌で
小さい金槌をガツン!と勢いよく叩くんです!

鍛造作業には色々な叩き方があるんですよね(^ω^)
金槌を使って金槌で叩く、これぞ職人技ですよね

この叩き方は金槌の特性を知っていないと出来ません
昔ながらの職人技ですが現代でもこの技術は素晴らしい。

シグネットリング

印台の形が少しづつ見えてきました

金槌を使った職人技で、印台の形が見え始めました
センターの平な部分はそのままで、指輪の腕になる部分を
一段落としながら肉厚を薄くしてバランスを整えたんです

ここまで細かく印台の作り方を説明している記事はないかとw
正直、技術の流失が怖いですが、普通の人には真似できない
という前提で、この手間を見て頂きたくて記事にしています

シグネットリング

ナマして(焼いて)叩いての繰り返し

鍛冶の作業はまだまだ続きます!気合を入れていくぞ!
叩いて叩いてナマしての繰り返しで印台の形を整えます

先程から同じような作業が、延々と続いているように
見えるかと思いますが、これが現実なんです!地道に

コツコツと形を整えていく事によって最高の品になります
時間なんて関係なく、職人が納得するまで叩くのみです!

印台リング 作り方

ここで地金を育てる鍛金(たんぞう)の事を詳しく

鍛金、鍛造が続いていますが、地金が育つという意味が
何で育つの?と思っている方、不思議に感じる方などなど
いらっしゃると思いますので簡単ですが説明させて頂きます

地金には(プラチナやゴールド、シルバーなど)には
微粒の空気が地金中に含まれている事が多いんです
その微粒な空気を専門用語で「ス」と呼んでいます(^ω^)

既製品の指輪でよくある事が、巣穴という空気の小さい穴
この穴が厄介でリングの品質を大きく下げる事になります
穴が開いていれば当然ですが強度も弱くなりますよね?

シグネットリング

既製品のほとんどは鋳造(ちゅうぞう)という製法なので
予めあるデザインの型に、溶かした地金を流し込むんです
ですのでそのまま空気がはいったりして巣穴が出るんです

当店がこだわっている鍛金、鍛造には巣穴がほぼ出ません
何度も何度も叩いて「ス」を地金から放出しているからです

それでけではなく、先程も説明をさせていただきましたが
プラチナの密度を極限まで詰めて高める事ができるんです
そして印台の形になるように鍛造で地金を成形しています

印台の形を叩いている動画も見たいですよね!
先程の動画も迫力満点でしたが、こちらも引けを取りません

 

動画の鍛造職人はもう亡くなっておりますが自分の父であり
鍛造職人としての師匠になるので動画を後世に残します!

撮影時いい歳なのに鍛冶仕事は常にパワフルで迫力満点です
やっぱり、何十年も鍛冶をしている鍛造職人はタフですよね

シグネットリング オーダー

ヤットコではなく素手(指)で感覚を得る

基本的にプラチナやゴールドなどの地金を叩くときは
ヤットコや専用ピンセットなどを使って地金を強く掴んで

叩きますが、指輪の細かい角度や質感を確かめたい時は
ちょくせつ指で地金を掴んで金槌で叩く事も多いですね

指から伝わる感覚を鍛えていく事で鍛冶のバリエーションも
増えていくので大事な事ですが、怪我には本当に注意です!
怪我をしてしまったら何もなりませんので(;´Д`)

印台リング 作り方

印台のベースが完成間近ですね(^ω^)

大きなプラチナの塊がいよいよ印台っぽくなってきました
真っすぐな板状ですので、まだ指輪の形ではないのですが
センターは印台特有の四角形で丸めた時の想像が出来ます

しかし、まだ焦っては駄目ですw
この状態の板で丸めてしまうと印台の形にならないんです
このプラチナ板を丸める前にする作業がまだあるんです!

シグネットリング 手作り

まだ全体的にプラチナの板が太く(広く)感じますので
綺麗な印台のベースになるように金槌で叩き調整します
印台のセンター部分と腕が区別できるように成形します

先程の丸める前にやる工程があるとお伝えしましたが
まずはその工程をする前に、プラチナ板を整えないと
次のその工程に進めないので、キッチリ綺麗に整えます

シグネットリング

【重要】印台の真ん中を金槌で潰す

先程、大切な作業があると言いましたが、この作業です
印台のセンターとなるトップ部分のド真ん中を潰します!

せっかくここまで印台のベースを作ったのに何故(涙)
と沢山の人がそう感じると思いますが重要な作業なんです

想像をして下さい・・・
真ん中を潰す前の平なままで、丸めるイメージをして下さい
その状態で丸めてみると・・・上が平にならないじゃんw
そうなんです、そのまま丸めるとモッコリして印台じゃない

そこで写真のように印台リングの中心となる部分に
金槌をあててズドーン!と強く叩いて凹ますんですね!

プラチナ 印台リング 作り方

凹ます(潰す)だけじゃ駄目ですよ!

印台の中心部を潰しただけじゃ印台の形になりません
潰した箇所を丁寧に叩いて逆甲丸のように成形します

写真のように滑らかに丸くなるように鍛造をします
この滑らかな丸みこそ、丸めると印台の平になります!

シグネットリング

指輪の形になるように板を丸めます

手間をかけて叩きあげた自慢の印台のベース板を丸めます
しかし肉厚が厚すぎて硬くて普通に丸める事ができません

硬い工具で強引に曲げてしまうと傷だらけになってしまい
打ち出しを打ち込む事が不可能になるので、傷をつけないよう
丁寧に丸めます(丸棒と木槌を使って丸める方法がベストです)

シグネットリング

しっかし・・・硬くて思い通りに曲がらない(涙)
傷をつけないように金槌ではなく木槌で丸めているのですが
何度も叩いていると木槌の方がボロボロに砕けてきましたw

いや~ここまで太っとい印台となると簡単には曲がらないね
指輪の肉厚も凄いんですが、幅もかなりの太さですので
炎でナマシながら(焼きながら)丸めていくしかないですね

印台リング プラチナ 手作り

完全な真円に丸められれば1番ベストな形なのですが、
さすがにこれだけの印台ですので多少の歪みが生じても
あとで真円に修正できますので、とりあえず丸めましょう

やっとベースの板を印台リングの形に丸める事ができました
丸めて出来た合わせ口に隙間が出ないように合わせましょう
この合わせ口に隙間があると溶接をした時に不具合が生じます

シグネットリング

ロウ(溶接地金)を隙間に挟み込みます

地金を溶接する事をロウ付け(ろうづけ)と呼びます
そしてロウとは溶接させる為の溶けやすい地金の事ですが
当店ではロウ付けではなく、共付け(ともづけ)です!

共付けとは、溶けやすいロウを挟み込むのではなくて
指輪本体の地金から一部を取って、薄く伸ばした地金を
ロウとして溶かす荒業です(融点は指輪もロウも同じ)

シグネットリング

印台リングの共付け作業

薄く伸ばした地金を挟み込んだら酸素バーナーで溶解!
溶解という事は指輪も挟み込んだ地金ロウも溶かす事で
融点が同じ約1800度ですので指輪も溶けてしまいます

しかし共付けを極めると、指輪が溶解する地金の範囲を
極力少なくして共付け部分を目立たなくする事が可能です
当店では結婚指輪にも、この共付けを採用しています(^ω^)

印台リング プラチナ

そこまでして危険な溶接をする理由は、溶けやすい一般的な
ロウは基本的に弱いので変色したり割れたりする危険性が

あるんですが、共付けは指輪と同じ地金なので強いんです!
強度が強い、変色に強い、素材が同じなのでメリット大です

デメリットと言えば、指輪が一緒に溶けてしまう事です
そこは職人技術を磨いていけば共付けも綺麗にこなせます

シグネットリング

印台リングを真円にしながら形を整える

共付けをした印台を丸棒に入れて、金槌で指輪を叩きます
印台の指輪を真円にすると同時に印台の形を整えるんです

写真を見て下さい(とくに親指をw)
印台を叩きすぎた衝撃で親父の親指が裂けました(汗)
それほどまでに強烈な衝撃が続いていたという事ですね

職人は怪我がつきもので仕方ないんですが痛いですよw
しかし怪我よりも作業に納得できない方が心が痛いです
職人は自分が納得するモノを作る事が喜びなんですよねw

シグネットリング 作り方

印台の形を整えつつサイズを伸ばす

印台リングが真円になったらサイズも伸ばしていきます
そしてサイズを伸ばしながら成形作業も続けていきます

どんどん綺麗な印台の形になってきましたね(^ω^)
須田さんからのご要望で、印台の角を極力丸くして常に
身につけられるようにとのご指定なので角も軽く叩きます

印台リング

印台リングの形が揃ったら彫金作業の開始

金槌での鍛造で印台リングの形がバランスよく揃いました
次の作業は、叩きまくって広がった指輪の幅を削ります
印台リング自体が大きいので、大きいヤスリで削り出します

これだけの大物を削るのもやはり大変です(汗)
印台リングが大きすぎるので、なかなか削れない(;´Д`)
しかも粘り強く育ったプラチナなので粘って削れないw

印台リングの表面は綺麗な槌目の模様が出ているので
ヤスリを滑らせて槌目に傷をつける事は許されません!
槌目が綺麗に入っているからこそ打ち出しが映えるからです

印台 プラチナ

印台リングの形が綺麗に整いました!

ヤスリでの彫金作業で印台リングの形がバランスよく完成
しかしタガネで打ち出しを打ち込む作業が残っています

タガネを打ち込む下地に必要な槌目もまだ完全ではないです
槌目模様もここから更に重ねて打ち込んでいく事になります

金槌やタガネで何度も打ち込んでいくと、印台リングの幅が
広がってくるので、この現状の形をベースにしながらの
叩き出し作業をして幅が出たら削るという流れで進みます

プラチナを削ると出てくる「バリ」という鋭利な角も
出てくるたびに丁寧に削り落として作業を進めていきます

プラチナ 印台

本格的に槌目(つちめ)を打ち込みます

印台リングの全面はすでに金槌によって槌目があります
しかし新円にする為やサイズを伸ばす事がメインだった
ので、本格的に綺麗な槌目をバランスよく打ち込みます

金槌も何本か用意して槌目模様を打ち込んでいきます
下地となる槌目が綺麗に入ってからこその打ち出しです

打ち出しの下地だからといって甘く見てちゃ駄目です!
ベースとなる槌目がしっかりしていないとなんですよね

印台リング 槌目

印台リングの側面と中側以外の全ての面に打ちます
金槌の大きさを変える事によって、槌目の模様の
深さや大きさが変化しますので何本も使いましょう

金槌を何本も使う事によって、より重なり合うんです
金槌の形も変われば、叩く力加減も自然と変わります
槌目柄は自然の産物なので叩けば叩くだけ魅力が出ます。

シグネットリング

印台リングにタガネで槌目を打ち出しをします

いよいよデザインのメインともなる打ち出し作業です
槌目も完璧にしっかりと入れているので槌目のままでも

十分に魅力的で商品とみれば完成の域に達していますが
更にタガネで叩こうという凄く贅沢な印台ですw(*´Д`)

印台リング オーダー

いつも結婚指輪に打ち出し柄を打ち込む時に
使用している細目のタガネを使用したら何と!
印台リングの強度に負けて曲がってしまいましたw

プラチナを打ち付ける為の「強度な専用のタガネ」が
まさか曲がるなんて思いもしなかったので驚きましたw
ここまで・・・この印台リングは力強く育っていたのか

作り手として嬉しいというかワクワク感がキターw
という事で新たな極太タガネをこの為に制作しました!
タガネを作るのにも叩いて焼いて彫金して半日がかりw

印台

親父と造り上げたタガネは最強!

親父とこだわって作りあげたタガネは最高で最強です!
刻印を打ち込む時につかう刻印タガネを改良したんです

ガッツガツと勢いよく何度も打ち込んでも曲がりません
そして印台リングも、打ち込まれる度に更に強くなって
見た目のオーラというか雰囲気が凄い事になってきました!

印台リング 槌目 プラチナ

印台リングの角も打ち出しで叩いて丸める

一般的な印台リングといえば、カクカクしていて
リングの線というかラインというか、角がキッチリと
出ているものが多いし普通なのですがコチラは違います

須田さんが使いやすいように最初から丸めるんです!
しかもヤスリで削り落とす彫金とは違う落とし方で

金槌とタガネで叩いて強引に角を丸くしていくんです!
そうする事で超強い角になって、角が減りにくいんです

印台リング オーダーメイド

印台リングの印鑑の面も、超こだわっています

昔は印鑑としても使われていたトップの四角い部分ですが
このメインスペースもタガネで何度も重ねて打ち付けます

印鑑面にも超こだわっており、湾曲になっているんです!
その形を例えるなら、昔のブラウン管テレビのような湾曲
その美しい曲線美のおかげで着け心地が更にアップします

プラチナ 印台リング

打ち出しに凄味が増してきました!

何度も重ね打ちをしているので、柄の奥行も出てきましたが
それよりも凄味が半端なくにじみ出てきているのが分かります
この圧倒的な雰囲気・・・作り手の俺ですらビビッていますw

今までかなりの数の打ち出しリングを制作してきましたが
ここまでの雰囲気を出すには、ここまでの重さのプラチナや

打ち付けるタガネの強度、そして打ち込む力加減や数など
必要だという事がわかったので、勉強になりました(*´Д`)

シグネットリング メンズ

印台リングの横部分も下部分も凄い事になっています

印台面だけじゃなく、その他の部分の打ち出しも凄いです
結婚指輪の打ち出しは、ここまで深く入る事はないですし
ここまで深く入れると、結婚指輪は壊れてしまいます(汗)

しかしこの印台クラスになると、指輪が壊れるくらいに
力強く叩かないと打ち出しが綺麗に入らないんですよね

この先、ここまでの打ち出しをするか分かりませんが、
自分にとって凄く良い経験&勉強になった打ち出しでした

シグネットリング

つけ心地を良くする為、印台リングの中側を丸く削る

これだけの重量がある印台リングとなると着け心地が超重要!
印台リングの表面は、叩きあげて丸め着け心地を良くしました

しかし印台リングの内側は真っ平のままです
この状態で指につけると、重すぎる上に内側が真っ平なので
内側の面積が大きく締め付けた感じで着け心地が悪くなります

その状態を改善するにはヤスリで中側をガッツリ削ります
丸く削っていく事になるのですが丸め過ぎにも注意なんです

重量が凄すぎるので丸め過ぎると指の中で遊んでしまうんです
平甲丸のような甲丸と平打ちの中間ぐらいの楕円形がベストです

印台リング プラチナ

彫金作業で印台リングの側面を整える

いよいよこれが最終調整の彫金作業となります(^ω^)
印台リングの形をキッチリとバランスよく削って仕上げます

彫金をする時にヤスリを使うので細心の注意が必要です!
こだわって打ちまくった槌目や打ち出しには傷は禁物です
1つ1つの模様が偶然の産物なので修正が効かないからです

シグネットリング

色んな角度から印台リングのフォルムを確認しましょう

ノギスやスケールで計る事も必要ですが、肉眼で見た時の
バランスもとっても重要となるので眼光をギラギラさせます!
ここら辺も熟練された職人じゃないと厳しい作業だと思います

ちなみに下の写真の印台面が黄色く写っているんですが・・・
とくに気にしないで頂いてよろしいでしょうか(*´Д`)

これはカップヌードルカレー味のカップが映り込んで(涙)
仕事柄、忙しいのでサクッと簡単に食べられるカップ麺を
昼飯としてよく食べているんです。ずっとそういう生活w

ちなみに「どん兵衛のカップうどん」にお湯を注いで
10分待つと触感がモチモチします(どうでもいい情報w)

印台リング ごつい

最終仕上げ作業です(傷取り&磨き)

印台リングの表面の打ち出し加工をした部分はこのままで
彫金をしたリングの側面と内面を研磨したり磨いていきます

まずは耐水性の紙ヤスリで擦って小傷を消していきます
なぜ耐水性が良いのかと言うと、耐水性の紙ヤスリに水を

つけて地金を磨くと研磨砂が水と混じり合って細かい小傷の
奥まで浸透して、より傷が消えやすくなるという仕組みです。

印台リング 幅広い

先端工具の「研磨ゴム」で更に研磨をします

シリコンポインターという研磨ゴムでプラチナを研磨します
ヤスリの傷を紙ヤスリで消して、紙ヤスリの跡を研磨ゴムで
消していきながら磨くという流れで進んでいくんです(^ω^)

シリコンポインターで磨き倒したら、磨きの王道「ヘラがけ」
このヘラがけ(ヘラ磨き)が鏡面を出すのに凄く必要です!

印台リング ハンドメイド

ヘラがけ(ヘラ磨き)

シグネットリングの仕上げ作業も後半に入りました
ヘラがけ、一般の人には聞きなれない言葉だと思います

自分も弟子入りして初めて聞いたとき、雑巾がけみたいな
似たような何かかと勘違いした程です(アホですいませんw)

やり方は、水分をつけた指輪にヘラ棒を強く押しあてて
プラチナの表面を強く潰して、滑らせながら磨くんです

強く潰す事によって光沢というか鏡のような鏡面が出ます
ヘラ棒の先端が尖っているのは細かい箇所にも対応する為。

シグネットリング

印台指輪の「肉厚」が物凄い件!

印台リングの側面をヘラで磨いていたら自分の顔が映るw
いつも作る指輪では、側面に自分が写るとか少ないんです
顔が全部映るくらいの肉厚があるんだなと驚きましたよw

本当にこの印台の指輪は、どこから見ても凄いですよね
もちろんメインでもあるセンターの印台面は半端ないです
しかしその他の面も、パーツで1つ1つ見るとこれも凄い!

印台リング プラチナ 光沢

打ち出した槌目の1つ1つもヘラで磨きます

この作業は、正直かなりの手間がかかります(汗)
その手間を面倒くさいと思ったらそこで終わりです!
手間をかけてナンボだと思っているので精一杯に磨きます

打ち出し面は全て凹凸の組み合わせになっているので
1つのコマ、1つのコマという感じで磨いていくんです

その為にヘラ棒の先端も尖っているので対応できます
しかし先端の尖った部分の使い方を間違えてしまうと
深い傷となり修正できずに傷が残ってしまうので要注意!

印台リング

バフ掛け(バフモーター)で鏡面を磨き上げます

ヘラがけが完了したら「バフ」という円盤型の磨き布を
高速回転させて、ガッツリと印台の指輪を隅々まで
磨いていく作業になります(最終磨きの工程となります)

高速回転をしているパワフルな円盤布ですので危険です
力を入れてリングを掴んでいないと飛ばされるので注意
しかもプラチナが猛烈な熱を発生するので火傷にも注意

シグネットリング

鍛造のシグネットリングが完成!

ついに・・・ついに印台の指輪が完成しました\(^o^)/
約60グラムから叩き出しにこだわって作った印台リング
金槌で地金を叩いた数は軽く1万回以上は超えているでしょう

こんなに指輪を叩いて作ったのは珍しいですもん(*´Д`)
印台の指輪としては、私が作った中でも1番叩いています
プラチナ自体の粘り強さも凄そうですし強度も凄いですね

印台リング プラチナ

フォルムが洗練されて綺麗ですよね

印台の指輪によくあるカクカクしか角は一切存在しません
ハードでワイルドな外見の指輪ですがフォルムは優しい!

打ち出しの模様も凹凸が強いですが角が丸いんですよ~
ザラザラ感は一切ありません!見た目とは全然違いますね

触っていて分かるのですが指の一部になったような感覚
角と感じない柔らかい角が、一層フォルムを引き立てています
それではプラチナをガッツリ使用した印台リングの画像をどうぞ

メンズ 印台リング

シグネットリングを斜めから
見ても迫力があります

この迫力はたっぷり使ったプラチナの重量もありますが
槌目の力強い凹凸が斜めからみても入っているからです。

真っ平な面に槌目加工を施すことが圧倒的に多いですが
シグネットリングの角にも槌目を打つのは珍しいですね。

印台リング メンズ

シグネットリングの裏側にも
槌目が打ってあります

とにかくシグネットリングが見える部分には槌目模様を
とことん打ち込んだので何処から見てもインパクト満点
シグネットリングの裏側(反対側)にもこだわりますよ!

シグネットリング

手打ちの槌目は使い込むと味が出る

金槌と鏨を使って何度も何度も重ねて打ち付けた槌目
槌目模様の1つ1つが力強くてパワーを感じますよね

何度も重ねた槌目模様なのでシグネットリングを長く
身に着ければ着けるほど槌目模様に味わいが出ます!

深く打ち込まれた槌目の凹凸が経年劣化や使い込むこと
で凹凸が少しづつ摩耗をしていくので槌目が変化します。

シグネットリング メンズ

鍛造のシグネットリングは規格外

自分もここまで重い印台リングを作るのは珍しい事なので
とっても勉強になりましたし、刺激にもなりました!
鍛造職人としてまた一段、階段を登ったような感じですw

この指輪を作る為だけに、特注で制作した工具のタガネでの
打ち出し模様が、この先どういう味になるのか興味深いです
時間が経過するたびに、指輪が更に魅力的になるはずです!

 

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法

熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

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