結婚指輪の厚み 平均より分厚い2mm×幅4mm 重厚感を感じるリング

結婚指輪の手作り専門店ジュエリーコウキの池田です
宝飾職人で2代目の私、池田が書く指輪作り日記です

新潟県長岡市にある小さな店舗兼工房で1つ1つ丁寧に地道に
日本伝統技法の鍛造にこだわり指輪を作っている宝飾職人です

普通の手作り指輪とは違って、鍛造(たんぞう)で結婚指輪を
作っている全国的にも珍しい日本伝統技法で制作しております

ジュエリー職人

伝統技法の鍛造については前回の記事で詳しく説明しています

前回の記事はこちらです→伝統技法で鍛造の結婚指輪を作成

前回の記事を簡単におさらいをすると、結婚指輪の素材である
プラチナを鍛冶作業で鍛え上げて強くして指輪の形にしてから
叩き出し模様のデザインを入れて打ち出しリングを作りました

叩き出し リング

鏨(たがね)で何度も重ねて打ち付けた槌目なので珍しいです
模様に奥行と立体感があってまるで3Dみたいなデザインですね

今回の記事では槌目鍛造リングの両側面にミル打ちを入れます
ミル打ちがどうやって指輪に入るのかを見て頂きたいです(^-^)

分厚い結婚指輪×側面にミル打ち

一般的によくあるミル打ちとは小さい球体が繋がるデザインで
小さなミルの球体を光らせてダイヤのように魅せる事が目的で
普通に考えれば、結婚指輪の表面に打ち込むのが当然ですよね

しかーし!ミルを目立たせるのが目的ではなく隠れたお洒落や
デザインのアクセントに使ったり2人にしか分からない意味や
ミル打ちが側面や目立たない所に打ち込まれても良いんです!

発想の転換でミルがこんなにも見え方が変わるんですね(^-^)
という事でミルは結婚指輪の表面にあるのが当たり前という
一般的な固定概念を捨ててデザインをするのも魅力的ですね

 

結婚指輪の厚みが平均より厚い

結婚指輪の厚さが2ミリと分厚いので側面にミル打ちが可能

一般的な結婚指輪の厚みは1.5ミリ~1.8ミリが多くて
2ミリの厚さとなると結婚指輪としては分厚い方になります。

この2ミリという厚みがリングにあるので側面にミル打ちを
打ち込むことができるんですね(厚みが薄いと打てません)
それではミル打ちがどうやって入るのかを見ていきましょう!

指輪 厚み

厚い結婚指輪にミル打ち 作り方

ナナコ鏨や ミル鏨という鏨で打つ

ミル打ちをするにはナナコタガネと言われる鏨で打ち込みます
金槌でナナコタガネ(ミルタガネ)を叩いてミル打ちをします
タガネの先端が半球体に凹んでいて打ち込むと半球体が出ます

いきなり最初からハンマーで強く打ち込むのは危険すぎるので
まずは手打ちで軽く結婚指輪の側面にナナコ鏨で印を入れます

ミル打ちを入れる為のタガネは大きさや深さが何十種類もあり
リングに合うタガネを探して丁寧に合わせて1つづつ入れます

結婚指輪 ミル打ち 入れ方

仮打ちでミルを入れる場所を決める

ミル打ちが側面にバランスよく繋がって入るように調節します

この手打ち(仮打ち)作業は自分の中では凄く重要な工程です
仮打ちの段階でミルとミルの間隔や打ち込む位置を決めます

他の職人は勢いで、ぶっつけ本番でミル打ちをする職人もいる
みたいですが自分は確実に失敗なく美しくミルを入れたいので

仮打ちでバランスやミルの大きさ、ミルの間隔など、仮打ちに
納得をしてから金槌で本番打ちをするようにしています(^-^)

指輪 ミル打ち やり方

地道に丁寧に正確に打つ

そりゃ~職人が1発本番でバンバン!とミルを打ち込めれば
ジュエリーを作る職人として見て超カッコイイと思いますが

カッコイイのと良い物を作るというのは違うと思いますので
私は意外と慎重派なんで確実に良い物を作りたいという考え

って事で1つ1つ地道にミル打ちの仮打ちをしておりますw
「地道に」この言葉は昔は何となく苦手だった訳なんですが

このジュエリー業界に入って29年。指輪を作って29年。
今はこの言葉の大きさ、意味、大切さを凄く実感しています

結婚指輪 ミル打ち やり方

ミル打ちの仮打ち 綺麗に仕上がる

どうですか~地道に1つ1つ手打ちをしたミルの仮打ちです
バランスがとっても良くてキッチリとミルが繋がっています

この仮打ちの段階でミルの円線がズレていたり隙間が均等で
なかったりするとNGですので調整しながら修正していきます
最後の1つを入れるのが凄く緊張します(綺麗に入るかが)

本番で金槌でガッツリと打ち込んでしまうと修正が困難です
仮打ちでミルバランスを仕上げて本番の打ち込みに備えます

ミル打ち 指輪

金槌で強く叩いてミルを打ち込みます

いよいよ本番ですよ!金槌でタガネの頭をトントンと叩いて
仮打ち状態のミルの円線を強く深く打ち込んでいく作業です
力強く鏨を叩き入れる事で球体のミルグレインが誕生します

写真の左半分が本番で金槌で強くミルの打ち込みをしました
右半分はまだ仮打ちの状態ですので左右を比べると一目瞭然
ミル打ちが仮打ちと本打ちとでは見た目が全く違うんですね

ミルとミルの間隔は、仮打ちの段階で完璧に仕上げましたが
打ち込む力加減やミルの深さを指先でコントロールしながら
慎重に1つ1つ丁寧に打ち込む技術と根気が必要になります

ミル打ち 結婚指輪

反対側の側面もミルを深く打ち込みます

ここですごく難しいのは片方の側面にミル打ちをしたように
同じ力加減でミルタガネを打ち込まないと駄目なんですよね

左右の側面でミル打ちの球体の大きさや形が変わるからです
そこで片側のミルの球体を確認しながら同じように打ちます

全部のミル打ちを金槌で深く打ち込むと下記の写真のように
ミルの丸い印が立体的な半球になって膨らみが出るんですね

ミル打ち やり方

リングの厚さに比例をして
ミル打ちの大きさが変わる

今回の結婚指輪の肉厚は約2ミリもある肉厚タイプなので
この大きさのミルを選びましたがリングの肉厚が薄くなると
そのバランスに合わせて小さいミルタガネを選んで入れます

ジュエリーコウキで制作をする結婚指輪の厚みは1.5ミリ
から1.8ミリが多いので、その度にミルを選んで入れます

逆に一般的な既製品の結婚指輪は凄く薄い厚さのモノが多い
ので側面にミルを打ち込むのは困難で出回っていないんです

平打ち 角落とし

結婚指輪の着け心地を良く
するために指輪の角落とし

結婚指輪の付け心地の良さというのは本当に超大事なんです
本当に大事なので超大事と言いましたが特に結婚指輪は重要
日常生活も含めて結婚指輪は1番長く指にするからなんです

まずはリングの角を落とす事によって着け心地が優しくなり
指に指輪の角が当たっても痛くならないようにするのが目的

リングの角を落とし過ぎてもリング表面の打ち出しの範囲が
狭くなりますしリングの側面のミル打ちも面も狭くなるので
結婚指輪全体のバランスを考えながら角を落とすことが重要

指輪 艶消し

結婚指輪の側面にミルグレインを打ち込んでリングの表面に
打ち出しを打ち込むとダブルで楽しめる結婚指輪になります

ミル打ちと、打ち出しのコラボはお洒落でアートな雰囲気が
強く表現されていて普通の結婚指輪には無い魅力です(^-^)

余談ですが、こちらのリングを制作する時になぜ打ち出しを
先に打ち込んでから次にミル打ちを打ち込んだのかというと

打ち出しをすると結婚指輪の幅が叩いて広がってしまう事と
側面に打ち出しを入れると凹凸が出てしまうのでミルを先に
打ち込めないという理由があるので計画的な進め方なんです

指輪 内甲丸

リングの内側の角を落として丸める

指輪の付け心地を良くする為に先程は表の角を落としました
今度は指輪の内面の角を削り落として更に滑らかに丸めます

リングの内面の角を落としてから指の形に合わせてヤスリで
内側を丸く滑らかに削る事で指輪が入りやすくなります(^-^)
指を曲げても痛くもなく圧迫感もなくストレスを感じません

甲丸リングの丸さに似ている事から指輪の内側を丸くすると
甲丸の内側という事から内甲丸(うちこうまる)といいます

指輪 傷を消す

指輪にあるヤスリで削った傷を消す

結婚指輪の表面(打ち出し)以外はヤスリで削っています
という事はヤスリの削り跡(彫金跡)があるので消します

耐水性の紙ヤスリで傷を消すように仕上げていくのですが
耐水性なので水分を付けながら指輪を擦ると水と研磨砂が
混ざり色んな形や深さの傷の奥まで浸透してよく消えます

紙ヤスリで小傷が消えたらリューター機という高速回転の
機材にシリコンポインターというゴムを装着して磨きます
肉眼で見える小傷がなくなるまで徹底的に丁寧に磨きます

指輪 磨き方

光沢になるまで徹底的に指輪を磨く

肉眼で小傷が見えなくてもルーペなどで拡大をして見ると
凄く小さい傷があるんですが、もはや小傷という表現より
薄い跡みたいな感じです(実際にはミクロの傷なんです)

そのミクロの傷を消すのに必要なのがヘラ掛け(へらがけ)

ヘラ棒という道具で指輪を磨きますが指輪にヘラ棒を強く
押しつけてリング表面を潰しながら滑らせて磨く手法です
鏡のような鏡面が現れるまで根気よく磨く最終仕上げです

結婚指輪 磨き方

結婚指輪の最終仕上げ

指輪のヘラ掛けで磨いて出てくる薄い潰した跡を消す為に
バフ掛け(ばふがけ)という磨き布で徹底的に磨きます
高速回転でバフを回して磨くと鏡面の反射度が増すんです

結婚指輪の表面は打ち出しで艶消しのマット加工で仕上げ
側面はミル打ちに同じくマット加工で、内側は光沢仕上げ
光沢&艶消しの超こだわりまくった結婚指輪の誕生です!

結婚指輪 厚み 2ミリ

厚さ2ミリ、幅4ミリ
鍛造プラチナ結婚指輪

とにかく叩いて叩いて叩き出して作り上げた結婚指輪です
プラチナが1つの塊だった状態から金槌で叩いて形にして
ヤスリで削っての彫金で指輪を整えて更にミル打ちで叩く!

正直、何回叩いて結婚を作ったのか自分でも分かりません
金槌で叩いた回数とミル鏨で打ち込んだ回数と果てしなく
何千回、いやいや何万回は確実に叩いているはずです(゚Д゚)ノ

とにかく手作業にこだわり抜いて作った鍛造の結婚指輪です
全国的にもここまで手間暇をかけて作る結婚指輪は極稀です
これが全国で1%しかないといわれる激レアの結婚指輪です

結婚指輪 ミル打ち プラチナ

厚みがある鍛造プラチナ結婚指輪

”見た目と付け心地”で感じる事のできる重厚感が良いですね
確かに肉厚でごっつい感じですが重すぎる印象はありません

指輪の両サイドにあるミル打ちで繊細さも兼ね備えています
女性が指にしても似合いますのでお勧めできる結婚指輪です

艶無しマット格好の打ち出しは、使い込めば使い込む程に
凹凸に変化が表れて色合いも含めて深い味わいが出てきます
不思議な魅力を多くの皆様に体験して感動して頂きたいです

結婚指輪の制作のご依頼を頂きましたお客様には感謝です
記事を見て頂いたお客様にも感謝です。有難う御座いました!

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法

熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

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