ハーフエタニティリング 作り方 | プラチナ鍛造×ダイヤ彫り留め

手作り 鍛造リングの専門店 ジュエリーコウキ
新潟県長岡市にある工房で手作りをしています

当店2代目で宝飾職人の私、池田が書く制作ブログです
鍛造(たんぞう)という伝統技術で指輪を手作りします
鍛造とは指輪の地金を鍛えて育てて造る伝統技法です。

刀を作るような鍛冶作業で指輪を作るという伝統工芸
リングの地金をハンマーで叩いて鍛えての鍛冶作業で
作る事から鍛造リングと呼ばれている希少な製法です。

鍛えれば鍛えるだけ密度が増すので強くなるんですよ
密度の増した地金で作るエタニティリングは頑丈です
鍛造のエタニティリングは全国でもほぼありません!

鍛造職人

さて、前回の記事でハーフエタニティリングを鍛造で
作るという内容を書きましたが、その続きになります。

前回は、エタニティリングに入れるダイヤに合わせて
先端工具や鏨を使って彫り出す「彫り留め」の様子を
お伝えしましたが今回は指輪の完成までお伝えします。

前回の記事はコチラ→エタニティリング制作・彫金編

 

ざっと前回の記事のおさらいを簡単に説明いたします

鍛冶で鍛えて伸ばしたプラチナを丸めてリングにして
溶接でリングを繋げてからお客様のサイズまで伸ばす。

そしてハーフエタニティリングに入るダイヤの直径と
隙間と数を計算しながらリングに設計図を描きました。

設計図に合わせて指輪にドリルで穴を開けたり、鏨や
先端工具で削ったり彫ったりで石枠やフチや共有爪を
作り出すという彫金作業で彫り留めで、その続きです!

ハーフエタニティリング 作り方

【エタニティリング 爪の重要性】

彫り留めの終盤は、凄く小さい鏨(タガネ)を使って
ダイヤを留めるのに必要な共有爪を1つ1つ作ります

共有爪とは、一般的には爪で留める石留めの場合は、
1つの石に爪を4本で押さえて留めるのが普通ですが

共有爪というだけあって、石と石の間を爪1本、上下
で合わせて2本になりますが1つの爪を共有して使用

共有爪はエタニティリングにとっても重要な爪

ダイヤモンドが繋がって入るエタニティリングには、
必要不可欠な爪なのでダイヤとダイヤの間に隙間なく
作って尚且つ高さや間隔も均等にすることが必須です。

今回の場合は共有爪を使った彫り留めをしていますが
四本爪でダイヤを留める四点留めで作る事も多いです。

ハーフエタニティリング オーダーメイド

サイズ直しが出来るエタニティリング
それがハーフエタニティリング

結婚指輪と婚約指輪を、共有とした記念のリングなので
サイズが変わってもサイズ直しが出来るようにとの事で
ハーフエタニティリングを提案させて頂いていたんです。

エタニティリングは想像以上にサイズ直しが難しいです
その内容も記事にしました→エタニティリングのサイズ直し

 

作業工程に戻りますが、フルエタニティリングと違って
約半分のダイヤモンドが指輪の表面にずらっと繋がって

入る事になるので、ダイヤモンドの最後の箇所も綺麗に
タガネで真っ直ぐ彫って、彫り留めの端を完結させます。

こういった細かい部分の彫金作業も丁寧に心がける事で
エタニティリングの完成度がアップしていくんですね!

こちらのハーフエタニティリングにはダイヤモンドが
全部で18ピース埋め込まれます(直径1.6ミリ)

ハーフエタニティリング プラチナ

ハーフエタニティリングですが
リング半分以上にダイヤが入ります

ハーフ(半分)といってもリングの半分以上のスペースに
ダイヤモンドが埋め込まれるので結構な数が入りますね
上から見るとフルエタニティリングとほぼ変わりません。

そしてエンゲージリングとしても使って頂く指輪なので
ダイヤモンド全部がランクの高い質の良い石を使います。

石が小さくても綺麗な上質のダイヤだと輝きが違います
この綺麗なダイヤが並べば必然的に輝きが繋がります!
エタニティリングはダイヤの輝きが繋がるのが魅力です。

プラチナ ハーフエタニティリング ダイヤ

エタニティリングの石留め(彫り留め)

共有爪をミルタガネできっちり寝かせて石留めをします

ミルタガネとは、ミル打ち(ミルグレイン)を打ち込む
為の鏨工具になりますが、この工具で爪を留めると爪が
丸くなって可愛くなりながら綺麗に留まるので超お勧め。

普通の爪留めは、四角か三角の爪の形になるのが主流で
ミル打ちのように丸くなるよう留める方法もお勧めです
エタニティリングにマッチする相性の良い爪の作り方です。

ハーフエタニティ

丸い爪は光るのでダイヤと相性が良い

今回のリングは1.6ミリの小さいダイヤということと
ダイヤとダイヤの間に隙間がほぼナシという設計なので
爪をダイヤとダイヤの間の上下で留める共有爪なんです。

石の上下2ヵ所の爪だけで留める石留め方法になるので
一般的な石留め爪の半分の数まで減らす事が出来るので
余計な爪は使わずスッキリでダイヤを目立たせられます。

ルースとルースの間が空く設計の場合やダイヤが大きい
場合は、爪を増やして1つのダイヤを爪4本で留めます
エタニティリングのデザインによって留め方を変えます。

ハーフエタニティ プラチナ

ハーフエタニティリングにダイヤが
18ピース全部入って留まりました

指輪とダイヤのバランスと爪のバランスが絶妙で完璧!
1つ1つダイヤを丁寧に留めていくエタニティリングは
手作りとなると石枠作りから石留めまで手間がかかります。

ダイヤモンドが18ピース全部ハーフエタニティリングに
埋め込まれたのでハーフエタニティリングがついに完成!
と言いたい所ですが、まだまだ仕上げ作業が残っています。

確かに手間のかかる彫り留めの、石留めは終わりましたが
ハーフエタニティリングを磨く作業がこれから始まります
この仕上げの傷消し磨き作業も本当に大切な工程なんです。

石留めが綺麗でも、エタニティリングの磨きが汚かったら
それだけでエタニティリングが死んでしまいます(涙)
そんな事にならないように仕上げにも手抜き一切ナシで!

ハーフエタニティ ダイヤ

ハーフエタニティリングの小傷を消す

ヤスリで削ってでた細かい傷(彫金跡)を更に小さくします
耐水性の紙ヤスリがお勧め(水をつけながら使用します)
紙ヤスリで何度も擦り、傷が目立たなくなるまで擦ります

一部分だけ集中して擦り過ぎると一部が凹んだりするので
例え傷が何カ所もあったとしてもバランスよく指輪全体に
擦るようにするのが綺麗に仕上げるポイントになります。

小傷が目立たなくなるレベルまできたら、次は高速回転の
リューター機というペン型工具(歯医者さんのイメージ)を

リューターの先端にシリコンポインターという研磨ゴムを
セットして紙ヤスリで擦った小傷を消していく作業です。

ハーフエタニティ プラチナ

プラチナに残ったキズを段階的に
小さくして最終的には完全に消す

この作業も紙ヤスリと同様にバランスよく全体を磨きます
先程のように一箇所に集中してしまうと同じように凹みます。

まず、研磨用の荒いゴム、シリコンポインターで仕上げて
小傷が目に見えなくなるまで何度も磨いて消していきます。

そして傷が消えたら、磨き専用の青いシリコンポインター
で同じようにハーフエタニティリングの全面を磨きます
磨きを繰り返すとハーフエタニティリングが光ってきました。

ハーフエタニティリング プラチナ

ハーフエタニティリングの最終磨き

このように順番で磨き作業がリレー状態で続いていきます
うまく磨きのバトンタッチができないと、仕上げに影響が
出てしまうので1つ1つの磨き作業を丁寧にこなします。

プラチナにあったキズが全て消えて光沢になってきました
しかし、光沢といってもプラチナ特有の鏡面にはまだです
鏡のような鏡面にするにはヘラ掛けという工程に進みます。

ペンにも似ている超硬ヘラ棒という工具で磨くのですが
磨くというよりも地金に押し付けて滑らせて小傷を潰す?

そんなイメージのほうが合っているかもしれませんね~
なので結構な力で押し付けて磨かないと光らないんです
鏡面仕上げにする為に、ヘラ掛け(へらがけ)をします。

DSCN0708

ヘラ掛け工程でプラチナを鏡面仕上げ
ハーフエタニティリングがピカピカに

ハーフエタニティリングのリング全面をヘラ棒で磨きます
ダイヤモンドを抑えている共有爪も小さいですが磨きます
何度も磨いていくと、ピカピカ光る鏡面になっていきます。

この鏡面仕上げ(光沢仕上げ)は、ヘラ棒の磨き方次第で
決まる大事な最終工程なのでムラが僅かでも出ないように
とことん手間をかけて鏡面を生み出す凄く重要な作業です。

ハーフエタニティリング

バフ掛け(ばふがけ)

鏡のように反射をする輝きが出たハーフエタニティリング
ヘラで磨きあげたら最後にバフという高速回転の円盤布で
がっつりとハーフエタニティリング全体を磨けば完成です。

写真では、リューターの小さい先端バフで磨いていますが
この後はバフ機という大きな磨き機で仕上げて完成します
これで本当の最後の磨き作業ですので徹底的に磨きます!

DSCN0363

バフ機は物凄くパワフル!

バフ機はとてつもない勢いで回っている円盤型の布なので
ハーフエタニティリングが円盤の回った力で飛ばされない
ようにしっかりと指で掴みながらがっつりと磨き倒します

ちなみに、強烈なパワーすぎて指輪自体が超熱く熱します
素手で掴んでいるので火傷も日常茶飯事、危険な磨き作業
魂を込めて作っている指輪は、磨き作業も命がけでします!

エタニティリング

ハーフエタニティリングが完成しました
鍛造で作り上げたエタニティリングです

ついに手作りのハーフエタニティリングが完成しました!
指輪の素材、プラチナを鍛え上げて作った鍛造リングです
密度が増したプラチナで作ったので変形しにくくてグッド

基本的にエタニティリングはダイヤの石枠の集まりなので
石枠や爪などで地金が少なく強度が弱いというデメリット
がエタニティリングにはどうしても付きまといます(汗)

もしエタニティリングが変形をすれば爪が起き上がるので
ダイヤが外れてしまいます(既製品の修理をよくします)
石が外れるだけでなく石枠が潰れれば直す事ができません。

しかし、鍛造で作るエタニティリングは地金密度が高くて
強度もあるので変形しにくいというのが最大のメリット!
しかもフチもあるので強度が増すので安心感が違いますね。

エタニティリング プラチナ

鍛造のハーフエタニティリング

出来合いの既製品のエタニティリングはほぼ鋳造製法です
鋳造(ちゅうぞう)とは、エタニティリングの枠の原型に
溶かしたプラチナを流し込んで固める一般的な方法です。

世の中のジュエリーの99%以上がこの鋳造で出来た商品
石枠も爪も流し込んで作るので強度は流し込んだままです
そんな訳で既製品のエタニティリングは曲がりやすいです。

鍛造のエタニティリングは鍛えて造ったプラチナリングを
削って彫って石枠や爪やフチを作るので強いという事です。

当店で制作するエタニティリングは全て渾身の鍛造リング
フルエタニティリングでも、ハーフエタニティリングでも

同じ工程で手間をかけて、とことんこだわって造ります!
記事を最後までご覧頂いてありがとう御座いました(^-^)

 

フルエタニティリングの制作記事もあります!
指輪の全面にダイヤが入っているので凄く魅力的です

記事はコチラ → ダイヤ・フルエタニティリングの作り方

 

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ネット販売はコチラから→ジュエリーコウキ ヤフーショップ

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鍛造で作る結婚指輪は、ごく稀で希少価値のある結婚指輪
世界中の全てのジュエリーのうち鍛造で作られたリングは
1パーセント未満と言われるほど鍛造リングは少ないです

その理由は、鍛造リングは地金を金槌で叩いて炎で焼いて
じっくりと時間をかけて地金密度を上げていくという製法

熟練された技術や知識を持った職人のみしか作れない技法
鍛造リングを作る為の専門工具や機材など設備も必要な為

伝統工芸と言われる鍛造リングは日本の宝だと思いますが
受け継ぐ職人が激減しており鍛造リングは衰退しています
だからこそ鍛造技術を受け継いだ私が広めたいと思います

指輪作りの制作日記をご覧頂いて、鍛造技術に納得をして
私の結婚指輪をご購入して頂けると作り手として幸せです。

お気軽にお問い合わせOKですよ(^ω^)
こちらの「お問い合わせ」もしくはメールで
j_kouki_ring@yahoo.co.jp までお願い致します。

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